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Mの悲劇
僕のMの才能が目覚めかけているのかもしれない。彼女のSの才能が僕のMの才能を、あたかも磁石に鉄をくっつけているとその鉄が磁力を帯びるように、引きだそうとしているのかもしれない。そんなことを彼女がシャワーを浴びている間、真剣に考えていた。
「ありがとう、すっきりしたわ。」バスタオルを体に巻きつけただけの姿で彼女は出てきた。
「う、うん。それは良かった。」その姿に動揺した僕は極力平静を装うようにした。女のバスタオル姿なんて見慣れてるぜとでも言わんばかりに。二十歳でまだ童貞だけど。このボーナスステージをなるべく引き延ばすことが今の最大の天から与えられた使命だ。
「そういえば自己紹介まだだったね。僕は神谷誠。二十歳。三流大学に通っているけど、夏休み中ってところ。将来はマジシャンになりたい!」
「そう、どうぞ宜しく。あたしは葛城雀。十七歳。普段は高校に通っている華の高校生。普段はママは学校が終わった後に捜して」
「ガシャーン!うぉっ!?キシャーッ!タンッ、バンッ!バンッ!だぁーッ!ドーンッ!」