十字架を背負えっ!
それは別に関係のないことだ。
「今度の試験。みんなで一緒に勉強しようぜ」
舟虎太郎。相場竜彦。坂倉充蛇。3人はもうすぐ始まる試験勉強に備えて、みんなで勉強合宿をしようと狙っていた。
「俺んちでやろーぜ!」
とりあえず、俺だけ赤点は絶対嫌だからなー。巻き込んでやるぜ、相場、坂倉。英語わかんねぇーし。
「いいね、舟。気が利くじゃねぇか」
この3人で赤点になれば怖くねぇし、先生がなんだってんだ。お前の教え方が悪いって言ってやるぜ。数学ってなんだよ。この世に必要なのか?
「こーゆう時、家を貸してくれるのはありがたい」
舟と相場は毎回赤点近くにいるから、救ってやらないとな。それが友達だもんな。ゲームと漫画は没収しておこう。
「えいえい、おーーー!」
そんな男子高校生共を冷ややかな目で見る女子高生。つまりはクラスメイト達。
「坂倉くんは大変だね。試験前はいつもあーやって、あの馬鹿2人の面倒を見てるなんて」
「迎は坂倉に勉強を見てもらいたいんでしょ?」
御子柴と迎。
「いろんな先生からあの2人をなんとかしろって言われている坂倉くんは辛い位置だよね」
川中さんは、とっても坂倉が可哀想だと思って見ていた。
「十字架を背負ってる感じよね。ほっとけば良いのよ。現実に直面させることも友達なのにね」
そーいう御子柴だが毎回テストギリギリになって、迎や川中からノートを借りている。人の事はあんまり言えないだろう。
とはいえ、赤点にはならないどころかそこそこの成績を出している女子3人。
「1夜漬けにしろ、毎日勉強をするにしろ。覚悟を決める時、結果が来て欲しいものよね」
「どーゆうこと?御子柴」
「例えば、ダイエットのために3キロのマラソンを行っているのに痩せないとか」
「2日でキツクて止めたって言ったじゃん。みんなで1週間くらいやる?」
覚悟を決めて1日やるくらいはできるんだ。しかし、それが長く続かない。十字架を背負うということが中々できないのが、凡人や普通。
あるいはやっているフリだけに終わったり、別の誘惑に負けてしまうのだ。
「みんなでかー。嶋村とか、坂倉くんとかも誘ってみようか?」
「あの馬鹿2人も必要ね」
「四葉くんみたいな運動ができる人も居た方がいいね」
みんなで意志を合わせればきっとなんとかなる。一致団結して
「毎朝、3キロマラソンがんばろー!校庭、20週だね!」
女子のダイエットを堂々とお披露目する形となる。女子と一緒に走ろうだなんて誘われて、断る理由も得に無し。朝から体操着姿の女子と、学生服の男子とでは意識レベルがちょっと違うわけだが……。
「朝から川中さんや御子柴の可愛い体操着姿なんて眼の保養だぜ」
「後ろ走るか?それとも前?一緒に横で行くか?」
舟と相場はやっぱり馬鹿だった。ちょっと誘う奴を間違えたと、御子柴は後悔。
「迎ちゃん、走れるの?」
「だ、大丈夫!坂倉と一緒ならできる!」
イチャイチャ、高身長と低身長のカップル。
「私、運動音痴なんだけど……」
「大丈夫!私も一緒に走るよ、嶋村さん!」
仲間意識を高める川中と、運動が苦手な嶋村。
「とりあえず、相場、舟。お前達は絶対に前を走れ。全力疾走だ」
「なんだと?」
御子柴がこの馬鹿2人を倒せる男を呼んでいる。少し舌を出して、ちょっと羨ましそうな顔をする男。集まった男4人の中では確実にイケメンなのだが、性格に難あり。
「四葉くん。この2人が手抜いていたら後ろから襲って良いわ」
「朝から君達2人のランニングする姿に、手を出すななんて無理な話だ」
朝から天国と地獄状態。相場と舟は四葉に追いかけられながら、ランニングをこなす。その様子を楽しみながら自分も走る御子柴と迎、坂倉。
川中は楽しく前を向いて、嶋村と並走して色々な話をしてゆっくりとであるが2人で3キロ。校庭20週をやってみせた。
それから1週間、いや10日間。全員で毎朝、校庭20週の3キロマラソンを継続させた。
日に日にタイムが速くなった嶋村を始め、3キロの減量に成功した御子柴。川中も少し痩せたそうだ。
迎は坂倉との距離をさらに縮めて、四葉は度々楽しめたそうだった。
みんなで十字架を背負ってゴールまでやってきた。
「ああーーーーっ」
「全然できなかったーー」
ただ2人だけ。
「朝から全力疾走したからって、テスト中に寝る馬鹿がいるか!追試だ!!」
相場と舟は揃ってテストで赤点をとった。テスト中に体力を残さなかったというミス。いや、そうさせたかったのかもしれない。
御子柴はそーゆう奴だ。
試しに絵を描いてみました。
暇があれば描いて出したいですね。もっと上手くなりたいものです。
御子柴って絵に名が入ってますけど、形が絶対変わるという自信が満ちてる。