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プロローグ
かつて、その青く輝く惑星は『地球』と呼ばれ、見たこともないような、多種多様な生物が生活を営んでいた。人間は動物を飼い、土を耕し、花を愛で、星々をつなぎ合わせ物語を創った。太陽と月が交互に空を照らし、地には清らかな水が流れる。青々とした草木が茂る山と、透き通るような碧色の海…。僕の見たことのない、感じたことのない世界。
嗚呼、土の匂いというものを嗅いでみたい。
柔らかい草の上に立ってみたい。
こんこんと湧く水を飲んでみたい。
写真でしか見たことのない動物や植物に触れてみたい。
行ってみたい。あの惑星に、僕たち(人間)の故郷に。
君は『地球』を知るただ一人の人間、かつての『地球』人。