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08.さいごにかいたてがみ
君が、涙を零す。
零れ続けるそれを右手で拭っていたときに、左手に何かが触れていることに気づいた。
もったいないと思いながらも、気になってしまったので残された貴重な時間の中で、僅かに君から視線を逸らす。
私にあたり、はじける涙。
右手が触れる、君の滑らかな頬の感触。
ろくに力の入らない私を支える、君の腕。
そのどれよりも硬い、ひんやりとしたそれを見て、私はなんだか嬉しくなった。
やけに重たい自分の手を動かして、それを、握る。
ゆっくりと、だけど確実にそれを動かし、君に見せる。
泣き続ける君は、泣きながらも怪訝な顔をして、なんだかそれが面白かった。
「ラブレター、だよ。」
誰にも同じように優しくできた、残酷なほどに優しい君に。
私がどれだけ君を愛していたか、思い知るといいよ。




