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07.さいごにきいたおと
ポタポタ
堕ちる涙は絶え間なく。
君にそんなものは似合わないと思いながらも、それを止めるすべなんて私は持ち合わせていない。
笑ってほしいと望んでも、泣かせているのは笑顔を望んだ私だった。
重たい身体を・・・手を持ち上げて、君の白い頬を滑る滴を拭う。
昔とまるっきり逆だと思い、少し楽しくなるけれど、泣いている君を前になんて、とてもじゃないけど笑えない。
悲しいね、悲しいね。
だけど一緒に、泣く気にもならない。
きっと正しくは、泣く気力も残ってない。
今だって私の体からは、絶え間なく紅い液体が零れていて。
傷口に触れた覚えはないのに、私の手には紅いそれが付着していて、重たい手を動かして君の涙を拭うたび、それは君の頬に紅い線を走らせる。
私の体から零れ落ちた紅いものが、君の目から零れ落ちた透明なものと、混ざる。
その近くにある君の目はいつもと同じ色をしていて、私の体から零れ落ちた紅は薄くなっても、君の紅だけは変わらず美しかった。
「やだ、いやだ よ。」
私よりずっと大きな君が、以前と変わらないぬくもりを持って私を抱きしめる。
優しい君の心臓の音を聞いているこの瞬間が、私にとって何にも変えがたい瞬間だった。




