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06.さいごにかんじたかんしょく

あまり見た覚えのない、君の苦笑が切なくて。

そっけなくて、ぶっきらぼうで、素直じゃない君はあまり笑わなかった。

片や俺はいつも笑顔だと称されるくらいに笑っている子供だった。



だからこそ君は、愛想笑いすらしない。

気に入らないことがあったらはっきり言うし、たまに笑顔を浮かべる時は本当に幸せそうに笑っていて。


だけど素直に、好意を表せない人だった。



俺が君の期待に答えられないせいで、君が、困ったように、笑う。


必要なときには、必要な笑みを。

必要なときには、必要な言葉を。


確かに俺は、そうやって、そうできて生きてきたはずなのに。

何よりも大切な、大好きな君の望みを、俺は今、叶えることができないでいる。



愛してる、って素直じゃない君が言う。

笑って、と素直じゃない君が望む。



嬉しくないときも楽しくないときも笑ってこれた俺は、笑えないでいる。

泣き虫で意地っ張りな君は困ったように笑い、いつも笑顔だった俺は絶え間なく涙を零す。


君の涙を拭くのは、俺の役目だったのに。

泣いている君を隠す場所は、俺の胸の中だけだったのに。



「何で、なん で。」



零れた言葉は意味なんてなくて、君は困ったようにしか笑ってくれなくって、俺は泣くことしかできなくって。


俺の頬を撫ぜる、俺の涙を拭う。



そんな君の優しい手の感触が、悲しくて仕方がなかった。


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