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04.さいごについたうそ
周りの音が聞こえなくて、君が絶え絶えに紡ぐ言葉だけがやけに大きく聞こえた。
昔から俺の耳は君の声ばかり完璧に拾い、だけど他の音を拾わないなんてこと、決してなかったのに。
まるでこれが最後だとでも言うように・・・俺の名を呼ぶ君の声が。
危ないと叫んだ君の声が。
笑ってと望んだ君の声が。
何度も何度も、俺の頭の中で、耳の奥で繰り返し響いた。
だから・・・なんだろうか?
俺の目は壊れたおもちゃのようにひっきりなしに涙を零し続け、だけどその理由はわかりきっていた。
もともと低めの体温しか持ち合わせていない君の身体から、静かにぬくもりが失われていく。
暖かな紅とは対照的な色しか持ち合わせていないはずの君から、そのうちに隠された紅が失われていく。
「ごめん ね。」
泣き続ける俺に、君がついた最期の嘘。
君は君のせいで俺が泣いたことに謝ってくれたけど、
君が俺の身代わりになったこと、悪いだなんて思ってないでしょう?




