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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

屁 触れるべからず

掲載日:2026/05/17

これは、とある人から聞いた物語。


その語り部と内容に関する、記録の一篇。


あなたも共にこの場へ居合わせて、耳を傾けているかのように読んでくださったら、幸いである。

 さわらぬ神にたたりなし、とはよく聞くことわざだ。

 だがトラブルのもとは、そこかしこに転がっている。ひと目見て、危険ですよ~とオーラを放ってくれる神様レベルならいざ知らず、何食わぬ顔をして潜んでいることが多いから、おっかなびっくりになってしまう。

 正義感から注意をしたら、いきなり隠していた刃物を取り出されて刺される……なんてことが、平気で起こりうる事件だ。

 いけないのは注意の仕方だったのか? それとも刃物を抜いてしまうような自制心のなさだったのか? ほか諸々の要因が?

 研究は大切だろうけれども、どのラインがいつ爆発するか分からない……一周まわって、天運という形に落ち着いてしまうかもしれない。

 こうして無事に生きているだけだと、ふとむなしさを感じることもなくはないが、実はきわどい綱渡りをしていて掴んだ幸運という可能性もある。自覚がなくとも、すでにありがたいことの積み重ね……なんてこともあるかもしれない。

 私のちょっと昔の話なのだけど、聞いてみないかい?


 おなら。

 生きていて、こいつに接したことがない人はまずいないだろう。

 科学的には飲み込んだ空気や腸内で発生したガスが、肛門を通って外へ出される働きを指すという。場合によっては腸内環境が乱れていたり、病気が隠れたりしている兆候かもしれない。

 専門家が見れば、様々なものがコンディション把握の材料になるのだから人体は、ひいては世界は案外親切なのかもしれない。

 で、おならについてなのだけど、子供のころの私はおならの音がでかいことで、ちょっと友達には知られた存在だった。

 意識しているつもりはないのだけど、出物腫れ物所嫌わずというか。ふとした拍子にでっかい音を出してしまい、顔を赤らめてしまうことが何度もあった。

 臭いはまずしない。それが不幸中の幸いともいえるが、我慢し続けることも困難だ。

 お尻をすぼめた状態で居続けることなど、日常生活の中ではどだい無理な話であって、いざ解放されたならば、これまでのうっぷんを晴らすような長々とした音が空間を支配する。

 我慢するのは身体によくないと、大勢の人に注意されるものの、毎回毎回恥をかく羽目になる私の立場を本当に理解したうえで発言してくれているのだろうか。

 病院などで調べてもらっても、特に臓器に異常は見当たらなかった。なにが私にこうも恥をかかせているのか、内心では不安で仕方なかったよ。


 その私に転機が訪れたのが、クラスでの流行。

 にぎりっぺ、だ。

 古来から伝わる仕草、君もよく存じているだろう? 自分の放屁に合わせて、そのあたりに手をかざして握り込み、相手の近くで放す。

 このいたずらの波が我がクラスにもやってきて。私も不意打ちで何度かかまされて、嫌な顔をしたものさ。

 そして、おならにまつわるものといえば私自身も槍玉にあげられる。


「お前も握りっぺしてみろよ~」


 とクラスの男子を中心に、挑発される始末。

 みんながやるような、こっそりとした不意打ちなどできるわけがない。あの大音量を響かせたうえで、恥を上塗りしろといっているのとほぼ同義。


 大人になった今なら、軽くスルーできたかもしれない。

 だが当時からしてみたら、これ以上の侮辱は私としても我慢がならなかった。


 ――どうせなら、思いっきりぶちあげてやる!


 そう思い、わざわざおならの気配を感じてから数十分を耐え抜く方針。

 次の休み時間になるや、私はそれを存分に解き放ってやった。おしりのあたりに、あらかじめ手をあてがっておきながらね。


 結果をいうと、大惨事になった。

 別に、勢い余って「身」が出ちゃったとか、お約束なレベルのギャグじゃないぞ。

 まず、そのおならは強烈に熱かった。これまでおならをするときに、これほどまでの近くにいた者などいなかったから、気づくことがなかったよ。あるいはこのとき、たまたまだったのか。

 私はとっさに握り込んだものの、その拳の内側さえも、焼けた炭を握ったかと思うような強烈さでね。まともに握っていることもできずに、すぐに手放してしまった。

 休み時間で、助かったと思う。

 私が手を広げるや、そこからピンポン玉ほどの火の玉らしきものが、いくつも教室中に飛び交ったんだ。

 床に、壁に、天井に。けれどもクラスメートの誰にも当たらなかったのは、不幸中の幸いと言えた。玉たちはそれらの場所へ一度、二度と触れるや、ぱっと消え去ってしまったが、接したところにははっきりと焦げ跡が残ってしまう。

 最初は私の大きいおならを笑ったり、目を見開いたりしていたクラスメートたちの顔が一気に青ざめた点だけは、私の溜飲の下がったところではある。でも、このあとで先生にはいろいろ注意をされたっけなあ。

 以来、私のおならについて「いじる」ことはクラスのタブーとされたんだ。

 大人になって、あのようなおならはしなくなったものの、正体はわからずじまいだよ。

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― 新着の感想 ―
ず~と以前のことです。仲間うちで集まった時(座ってました)、屁が出そうになったら足を開いて、膝を曲げ、ライターを用意し、ブッとやってボッと燃やして喜んでいました。 バカですね~。(^^)
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