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遠隔生命核量子転移装置で殺そうと思ったけれどなかなかうまくいきません。先に俺が殺されそうです。

作者: 椎名 マリ
掲載日:2026/04/19

「データ読み込み、、完了。これより対象の心臓をテレポートさせます」

「ビビビビビビビビビビビィィィィィィィーーーーーー」


突如、そのハコは、真っ暗な部屋を白に染めるほどの光を放った。


「テレポート完了、、モードを切り替えます」


十メートル四方の透明なハコには、テレポートしてきたと思われる、タイヤが一つ転がっていた。


「また失敗か、、」


俺の名前は、江村 春。

透明なハコを使い、依頼対象を始末する。兵器開発者だ。俺は、十年前、誘拐された。以来、薄暗い地下室で、このハコの実験に加担させられている。誘拐されてから一度も地上に出ていない。

  

「今度はタイヤかよ、、、」


プログラムにミスはないはずなのになぜだ。このハコに人の顔の写真を読み取らせると、読み込まれた奴の心臓をここにテレポートさせ、殺すことができる。。。のはずなんだが、なぜか一向に心臓以外のものをテレポートさせる。顔の読み取りを行う人は毎回変わる。顔の読み取りを行った者は、その日のうちに死ぬらしい。まあそんなことはどうでもいい。そろそろ、結果を出さないと、俺が殺される。

明日はうまくいくといいな。


今日は、五十メートルほどのひもがテレポートしてきた。


今日は、人の両目がテレポートしてきた。


今日は、縦に五メートルはあると思われる巨大なガラスがテレポートしてきた。


今日は、杖がテレポートしてきた。


今日は、空気タンクがテレポートしてきた。

 


一方そのころ地上では、、、、、


「続いてのニュースです。三十代男性がバイクの事故により死亡する事件が発生しました。現場からは、バイクのフロントタイヤが消失していました。」


「続いてのニュースです。二十代男性がロッククライミング中に落下死するという事件が発生しました。現場からは、命綱に使用されるロープが消失していました。」


「続いてのニュースです。五十代女性が車の運転中に崖から落ち、死亡するという事件が発生しました。女性の両目が消失していました。」


「続いてのニュースです。十代の女性が東京タワーから落下死するという事件が発生しました。現場からは、ガラス張りの床の一部が消失していました。」


「続いてのニュースです。四十代男性が線路に落ちた後、電車にひかれ死亡するという事件が発生しました。」


「続いてのニュースです。二十代男性がスキューバダイビング中に死亡するという事件が発生しました。現場からは、潜水用タンクが消失していました。」


遠隔生命核量子転移装置。通称ハコは、心臓をテレポートさせることはなかったが、確かに人を殺していた。

心臓以外のものをテレポートさせ殺していた。


テレポート技術は、凶悪な犯罪者や独裁者、危険な宗教の教祖、テロ組織の理論家、非人道的な人体実験者などを遠くの場所から安心・安全に殺せた。読み取りを行ったものは死ぬという代償を負って。


翌年、危険な人物を殺し世界を平和にできるとし、この技術はノーベル平和賞を受賞した。


十年後、アメリカがハコの量産に成功した。


二十年後、すべての国は、自国の防衛のため、多くのハコを所持する。

顔の読み取りを行ったものは、その日のうちに死ぬという非人道的な装置だったということもあり、ハコの使用は国際法で禁止される。しかし、今日も不自然な死が多数報告される。


翌年、世界大戦が始まった。世界大戦は長期にわたって行われた。国は国民にハコと敵国の人の顔写真を渡し、こう言った。


「顔を読み込みを行ったものは死ぬが、読み取られた奴も死ぬ。これは、非常に幸運で名誉あることである。」

「従わなければ殺す」

「国のために喜んで死ね」


政府は国民に多くの子供を産ませた。ただ、顔の読み取り要員として、、



①どんな場所にいたとしてもテレポートされる。

②一度読み込んだ顔は取り消すことができない。

③顔の読み込みを行ったものは、その日のうちに、不慮の事故に合い、死ぬ。



戦争中は、異常な人口爆発と人口激減が繰り返された。

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