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第4話:「胎動④」

最後の護衛が倒れこむ。肩にひどい傷をおっており、似たように体の一部を大きく損傷した二人の男が倒れている。


「姫さま、どうか、早くお逃げを・・・

そういう男の顔を蹴飛ばして、けだるそうに男はつぶやく。男の手には血の付いた槍。

「ったく、手間とらせやがって」

「そういうな、これも任務の内だ」

「おめぇは何もしてねぇだろうがよ」

愚痴りながら槍を一振りすると、ぴっと血が跳ねる。


「さてと、では本題に移ろうか」

瞑目したままの男は咳ばらいをする。教団のシンボルマークを模した徽章がきらりと光る。男たちの視線の先には一人の少女。年は10~12くらいか。高位聖職者にのみ許された装束をしている。護衛が倒されたというのに、気丈なふるまいを崩さない。


「あなたたちは何者ですか、なにゆえこのようなことを」

「何者って、そりゃお前・・   ←肘打ちをくらう槍使い

「お初にお目にかかります、ルノー殿下、私共はアストレア教団付き私兵団、アウスバッハの者です。使徒の使いといえばご理解いただけますでしょうか」


少女の顔に動揺が走る。

「アウスバッハがどうして、なんの大義があって、そんな・・

「大儀ならあります、殿下」


瞑目したままの男は眉一つ動かず、感情が感じとれない。

「それは殿下がお持ちのそれです、それ」

そういって男は少女の首元その少し下を指さす。少女がそのあたりに手を添えるとそこには大粒のダイアモンドがひとつ。

「そう、それですよ、それ」

「なりません、これはわたしの家が代々うけついできたもの、渡すわけにはまいりません」


手持ち無沙汰にしていた槍使いが口の端を緩め、にっと笑う。

「そうか、だったら話ははやい。力ずくで奪い取るのみ」


その場に走る緊張の糸。だがそれは耳をつんざくような一陣の風に破られることになる。


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