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第2話:「胎動②」

「お前に聞きたいことがある」

片腕を失った男はうずくまり、血があたりに飛び散る。


「殺せ」

「そうはいかない、お前たちの目的をまだ聞いていないからな」

「はっ、しゃべるとでも」

意地を張っているのだろうか、男の口調は挑発的にきこえた。


「話すさ」

そういって俺は数歩歩く。そこには始めに切り飛ばした男。肩から袈裟けさ切りにされた傷は致命傷ではなかったのか、男は荒く肩で息をしている。その男の眼前へと俺は刀の切っ先を向ける。


「お前が話さないのなら、この男を殺す」

瞬間、一粒のしずくが波紋を生じるように、周囲に緊張が走った。誰かがつばをのむ音さえノイズのように聞こえる。弓使いは息をのんだように口を開かない。


「どうした、俺は本気だ。仲間の命が惜しくないのか」

不意におとずれる静寂。しかし、その静けさは意外な者によって破られる。


「待て、待つんだカイザー」

口を開いたのはシンであった。同期の中でも最優とされている。


「その二人に戦闘継続の意思はない。捕虜として丁重に扱うべきだ」

尚も続けようとするシンだが、その言葉が継がれることはない。


「シン、お前は現状を正しく認識していない。敵は何人だ、配置はその強さは。味方はどこに何人いてそれ  ぞれの戦闘能力は」

「俺たちは敵地のど真ん中にいる。ここは戦場だ。今この瞬間にも背後から心臓を刺されるのでは、そのくらいの心もちでいた方がいい。そして・・

少し荒げそうになった声を意識的におさえる


なにより、情報が圧倒的に不足している」

返ってくる言葉はない。当然だ。皆新兵同然で人の死はおろか血を見ることでさえ耐性のない者の方が多い。ましてや戦争の実際など知らなくて当然だろう。


「さてと、もう一度聞く。次はない。お前たちの目的はなんだ」

数秒の沈黙ののち、弓使いは重い口を開いた。


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