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【第3章:毒の英雄、世界を動かす~農村の場面:雪混じりの救い~】

セリーヌを失ってから数年――。

ロドリゴは二十代半ばとなり、黒い外套の背に「毒使い」の紋章を背負っていた。

その名は王国の隅々まで広がり、農村の子どもたちすら彼を「毒の英雄」と呼んだ。

今回は毒の英雄と呼ばれるまでのお話の農村編。

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あの日も雪混じりの雨が、大地を冷たく叩いていた。

王都から遠く離れた農村は、医者も不足しており、薬もなく、

熱病が流行すればただ祈るしかない状況だった。

そんな村に、一人の外套姿の男と仲間たちがやって来た

――それが毒使い、ロドリゴである。

雪混じりの雨が斜めに叩きつける中、農村の広場には咳と呻き声が満ちていた。

村の医師はすでに力尽き、薬草も底を尽きている。

誰もが諦めの色を瞳に宿したその時、ある一行が現れた。


外套のフードを深く被った男――ロドリゴ。

その後ろには、背に大きな荷を負ったバルトと、薬草の束を抱えるラヴィニアの姿があった。


「……熱病か」

ロドリゴは膝をつき、子どもの額に触れる。

火のような熱。呼吸は浅く、今夜を越せるかすら怪しい。


ラヴィニアが声を潜める。

「王都でしか採れないはずの熱病草を、どうやって……」

ロドリゴは短く答えた。

「似た効能を持つ毒草を、少し加工しただけ」


彼は子どもの傍に座り、

小さな鍋を取り出し、粉末状にした毒草を湯に溶かし込む。

鼻を突く匂いに、周囲の村人たちは一歩引いた。


子どものの傍にいた母親らしき女性が

「お願いします……何でもしますから……」と

ロドリゴらに懇願した。


ロドリゴは無言で薬をその女性に渡すと、

躊躇なくその薬を子どもの口元へ運ぶ。


夜明け前、咳が静まり、子どもは安らかな寝息を立てていた。

女性は泣きながらロドリゴの手を握りしめる。

「ありがとう……あなたの毒は、神様よりも優しい」

ロドリゴは何も答えず、外套を翻して仲間と共に雪の中へ消えていった。

ロドリゴの手は、幾度も命を奪える力を持っていた。

だが、その力で救われた命の方がはるかに多かった。


人々は彼を"英雄"と呼び、時に畏れ、時に称えられた。

けれど、ロドリゴ自身はただ一つの約束、

あの日息絶えたセリーヌとの誓いを守り続けていただけだった。


次回は3章~戦地の場面:血を流さない勝利編~

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