【第1章:毒を抱いて生きる】前編
人は生まれ落ちた時、その瞬間から何者かにならなければならない。
洗礼の日、それは全ての子供に課される「運命-さだめ-」の瞬間である。
だが、もし与えられたものが世界に忌まれる運命だったとしたら?
これは、全てを失った少年が「毒」という名の力を手にし、
初めて世界に拒まれ、はじめて歩き出すまでの物語。
その第一歩には痛みと空腹、凍える夜だけがあった。
ロドリゴはひとり、王都を離れて山の中をさまよっていた。
夜は冷たく、お腹は空き、足はふらついていた。
それでも戻る場所など、どこにもなかった。
ロドリゴ「……なんで、僕なの……」
雪がちらつく中、彼は力尽き、凍った川辺に倒れた。
???「え?!あんな所に子どもが……! 大丈夫!?生きてる!?」
目を開けると、そこには女の人がいた。
長い外套に身を包み、鋭くも優しい瞳を持つその人は、ロドリゴを背負い上げた。
???「少年、名前は?」
ロドリゴ「…ロドリゴ……」
セリーヌ「いい名ね。私はセリーヌ。おいで、温かいご飯があるから。」
彼女に連れられて着いた先は、廃坑を改装した家だった。
そこには、武器を手入れする若者、魔導書を読む女性、牙をむく獣人の姿もある。
皆、どこか普通ではない“はみ出し者”の匂いをまとっていた。
セリーヌ「ここは私たち“レジスタンス”の拠点よ。王に反旗を翻した者たちの集まり。
でもね、ロドリゴ──私たちは、ただの悪党じゃないわ。」
セリーヌは微笑みながら、暖かいスープを差し出す。
その香りだけで、ロドリゴの目から涙がこぼれた。
ロドリゴは涙を流しながら
スープをまるで飢えた孤児のように、ずずずずーっと啜り、
一気に食べ干した。
セリーヌ「よほどお腹空いてたのね。ところで、ロドリゴ。
なんで君はあんな所に倒れていたの?」
ロドリゴは洗礼のこと、その後家族に勘当されたことを話した。
そして空腹が満たされ安心したのか眠りについたのだった。
たった一つの職業が、少年の人生を奪った。
けれど、凍える夜の果てに差し出された温かなスープと、
名を呼んでくれた誰かの声が、少年を“生き返らせた”。
あの夜は、ただただ悪夢だった。
それでも、少年はもう一度だけ、この世界を、
そして自分の運命を信じてみることにした。
次に待つのは仲間との出会い、そして――毒の使い方を学ぶ日々。
後編へ続きます。




