20 番外編 ユーリ先生のホスト文化講座【ホス看編】
――ん? ホス看がわからない? ググれ。
冗談だって。それじゃ、キミにだけ教えてあげるね。
ホス看ってのは――
『この街で誰がイチバンいい男か』、『今、誰を指名すべきか』を一目でわからせる 伝説の顔面布告ツールだ!
たとえば、こうだ。
\どーん!/
【No.1ホスト・シエル】
《一晩3000万ルクスOver》
『その微笑み、すべての夜を奪う』
\さらに!/
【初指名No.1・ユーリ様】
『神の奇跡? いや、これは愛の導き』
写真? いらねぇよ。
油彩画だ。
金箔も乗せるぞ。
バックは夜桜。めっちゃ散らす。
あとで見に来た神官たちが言うんだ。
「こ、これが……神殿より崇高な、芸術……!」
アマーリエ? たぶん気絶してる。
つまりホス看ってのは、「この人を指名すれば間違いない」っていう輝きだな。
街中にぶちまける宣戦布告の旗みたいなもんだ。
そんなの、売れない画家たちに描かせたら――
才能、バクハツするに決まってんだろ?
芸術は金になる。
ホス看は、武器だ。
複数枚描かせて、魔道具師のチルチルに頼んで複製画を山ほど刷ってもらって、ブラインド販売してもいいよな。
100枚に1枚くらい直筆サイン入れてさ。シークレットでオフショット的なやつも入れたり。
たぶん、めっちゃ売れる。オレを推してくれるやつがめっちゃ買ってくれる。
接客しなくても稼げるなんて最高じゃね?
……ってわけで、いっしょに画材揃えにいこっか~。
ちなみに、ホステスはこういう派手な宣伝はあまりしない。
男ってのは、自分だけの「推し」を見つけて育てるのが好きだからな。
逆に女の子は、他の人がいいと言うものを安心して選ぶ。だからNo.1とかのフレーズが効く。
ホス看は誘導灯みたいなもんだな。
――んじゃ、悪い男に騙されんなよ。
【補足】
※現在は風営法により「No.1」や「一晩●●●万Over」などの営業成績を直接的に示す文言は使えません。
――ん-、でもここ、異世界だから。
警察も異世界までは追いかけてこないだろ。




