増える協力者
天文17年(1548年) 2月
丹波国 桑田郡 篠村八幡宮
「実はこの秋、若狭を攻め申す。その際は是非、ご協力を…」
コイツ……俺たちの『計画』を知っている…のか?
そうとしか思えない…タイミング、言っていること…全てが俺たちの計画の内容と噛み合ってる…
まず最初に、コイツは秋に若狭を攻めると言っているが、今の予定では丁度そこら辺で俺は丹後を攻めてる頃合い…早けりゃ落とせてるかもしれない…
そしてわざわざ農繁期の秋に若狭を攻めるか?無論、朝倉家の兵力を持ってすれば可能だろうが…
最後に、コイツは俺に助力を求めているが、今の我が家の版図では若狭には接触していない。若狭に行くのなら、敵領である丹後を通るか、遠回りして東の近江方面からしか行けない。
以上の点から、コイツは俺らの計画を知っていると考えるべきだ…
にしても漏れるとしても何処からだ?親父か三好家のどっちかだろうが……
とりあえずカマかけるか…
「ほう?若狭を…ですか?残念ながら今現在の我が家の版図では、若狭まで攻め入ることは…」
「おや?では秋の頃の貴家の版図ではどうでしょうかな?」
…コイツやっぱり知ってやがるな…
「…それはどういう意味で?」
「おや?それは貴方が一番よく御分かりでは?」
「……何処でこの話を?」
「貴殿の叔父上殿から……とでも申しましょうか…」
三好家か……一向宗繋がりで関係があんのかな?
「…ですが我が家に得が…」
「このことを公にされるよりは良いでしょう」
ぐぬぬ……そこを突かれたらもう詰みなんだよな…
「…しかし、何故この計画を黙認するのですか?」
山城守がそう質問したが、確かにそう思う。
朝倉家がこの情報を握って、それを黙認する理由はない……朝倉家にも、公には言えない何かがなければ…の話だが……
「…………あまり大きな声では言えないのですが…不仲なのです…」
「…不仲とは…何方と何方が…」
「実は……殿と奥方様が……」
ああ……なんとなく…背景が見えてきたな……




