そうだ、城…建てよう
天文16年(1547年) 12月
丹波国 桑田郡 篠村八幡宮
「…ちと狭いな…」
俺は今、約半年ぶりに丹波に戻ってきた……が、戻ってきてからの感想として、篠村八幡が手狭に感じる…そりゃ家臣も増えたしな………
俺的にはここらで何処かに城を建てて引っ越すか、それともどこかの廃城を利用するかのどちらかをやりたいところだが………
…よしっ!!引っ越そう!そうと決まれば早速親父に許可を取るか…
「四郎(長澤義遠)、居るか?」
「はっ、此処に」
「父上に文を書く。それを届けてくれ」
「承知しました」
そう言いながら墨を擦り、筆を動かす。初めは全く書けなかった崩し字も今ではかなり上達したが、前世の癖でどうしても最初に左から書こうとしてしまうな…
そんなことを思いながらも文を書き終え、乾かして折って渡す。前世ではメールするのがめんどいとか言ってたけど、戦国時代だとそんなことすら言えないんだよな………
三日後………
「殿!四郎が帰ってきました。大殿からの文を預かっているとのことです」
「おう、この部屋に呼んでくれ」
やっと来たか。さて、はたして親父は許してくれたのかな?
そうして四郎が部屋に入ってきた
「四郎、御役目御苦労。して、文は」
「こちらに…」
そうして四郎から文を渡されたが、見た感じめちゃくちゃ長文が書かれてるな…だって折られた紙の厚さがヤバいんだもん…
そうして文を見ると、予想の通り長文で書かれていた……
要約すると『確かにお前も大領を得たのだ。城を建てることを認めよう。但し、大掛かりな城は丹波の桑田郡内にしか建てるな。木材は宇津家に知らせてあるので融通してもらえ。また、城を建てる場所を決めたら知らせるように』
とのことだった。……実は既に建てる場所は決まってるんだよな……よしっ…
「四郎。お主は休んでおれ。孫平太!父上に言伝を頼む!越中!山城!共をせい!暫し駆けるぞ」
『はっ!』
「殿!一体何処へ!?」
「殿!言伝とは!」
「なに、少し城を建てる地を見にな。孫平太!お主は今から言う地に城を建てると父上に伝えよ!越中と山城はそこに向かうぞ!」
そう言う俺は既に鞍の上に座り、越中と山城も馬を従者に引かせて乗ろうとしていた。
「で、その地とは!?」
孫平太が慌てたように聞いてくる。俺は手綱を引きながらこう言った。
「口丹波…亀山の盆地じゃ!」
俺はそう言いながら、亀山に向かい駆け出していった
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