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腕白太閤

天文16年(1547年) 11月

山城国 葛野郡 妙顕寺


……遅い……


朝廷での山国荘を巡る話し合いから既に一月は経った…


幾ら何でもそろそろ誰を派遣するか決まっても良い頃だろ…


ただ単に決まっていないだけなのか?それとも何か意図が?


そんなことを考えていると、突如玄関の方が騒がしくなってきた。


そうして毎度お馴染みの孫平太が、いつもの様に大声で報告を寄越してきた。


「殿!勅使の方がお見えに!!」


「なにっ!?すぐ参る!お前は勅使の方をお連れしろ!孫次郎、其方は父上を呼んで参れ!」


『はっ!直ちに!」


…漸くか…しかしあの慌て様、誰が来たんだ?



そうして3分程経った頃、部屋の襖が開き、二人部屋に入ってきた。


一人は親父…そしてもう一人が……


「孫四郎殿、息災じゃったか?」


「ええ、太閤様こそ、近頃は大層寒う御座る。お体を大切に…」


そう、勅使はなんと、近衛稙家だったのだ。そしてこの人が来たということはつまり……


「うむ、そうさな……ならば本題に入ろうかの」


太閤殿下は公家らしくなく単刀直入に、勅令を述べ始めた。


「まず、波多野孫四郎晴秀よ。帝の名においてお主を正六位上丹波介に任じる。また、帝は折を見てお主を従五位下・丹波守に昇進させるとのことじゃ」


おお、まあこれはギリ想定外…丹波守への昇進……これはつまり、今まで非合法だった昇殿が合法になるということなのだから…


「また、波多野上野介。其方を従五位下右近衛将監に任ずる」


俺と親父は顔を見合わせた。父上の元の官位は正六位上の上野介。そこから従五位下に昇進するのはおかしくはない……しかし、武士からしたら正六位でも十分高い官位ではあるのだ。


「次に、山国荘についてじゃが………既に察しておるだろうが、派遣されるのは麿じゃ。無論、他にも幾人かの者が派遣されるがの」


ああ、やっぱり?まあ、山国荘という重要な土地に、地位があって尚且つ手の空いている人といえばアンタしかいないだろうな…


「それに伴い、まずは我らが住まうための館を用意してくれんか」


「孫四郎」


父上?何故俺の名前を呼ぶんです?……はぁ…


「承知しました。しかし、完成までに時を要しますので、その間は私の邸がある篠村八幡にお留まりを…」


「うむ、承知したぞ」


その後、少しの世間話に興じた後、再び嵐の様に去っていった…



………ああ…出費が嵩む……




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