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殿中にて

天文16年(1547年) 10月

山城国 愛宕、葛野郡 京都御所


「はっ!拙者、宇津家現当主、宇津()()に御座いまする」


「ほう?宇津家の当主は、確か………そうじゃ、長成という名だったと思うが…」


「長成は私めの兄に御座います。兄は五日前に自害し、宇津は波多野様に従属致しました」


「なんじゃと!?それは真か!?」


そう突っかかってきたのは元左大臣の三条公頼。あの武田信玄や顕如の舅で、更に細川晴元の元舅(晴元の最初の正室は公頼の娘)でもあるが、残念なことに史実では大寧寺で巻き添えを喰らった不遇な人でもある。


「三条卿、真に御座います。長成殿の首も御座いますが、ご覧になりますか?」


「……………いや…よい…」


そう言う俺だが、事実は異なる。何を隠そう今目の前にいる宇津頼重こそ、宇津長成なのだから…


そう、俺の策…それは簡単。朝廷の人間が誰も宇津長成の顔を知らないのをいいことに、長成が死んだと嘘をついてしらばっくれること…


仮にバレたとしても、朝廷にそれを責める力なんてないし、山国荘が戻ってくるんだから満足だろう。



まあ、ここまでほとんど、朝廷の要望を飲み続けてきたが、ただでは転ぶつもりはない


「とまれ…まずは本題…主上に山国荘をお返し奉ります」


そう言うと、公家達も『祝着じゃ!』などと叫び出したが…


「つきましては、皆様の中でどなたか、丹波に下向していただいてもよろしいでしょうか」


途端に周りの公家達がざわつき始めた…そりゃそうだ、いくら京から近いとはいえ山国荘は名前通り山の中。更に山国荘にいる間は中央から遠のく…つまり出世が望めなくなる。公家からしたら辛いだろう。


「無論、下向なされる方の生活費などはこちらが負担いたします。決まり次第お伝えください」


そう言うと幾分かざわめきが落ち着いた。ったく…現金な奴らだ…


そうしてその後、またも世間話を少しした後、俺達は御所をあとにした…



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