人材登用②
天文16年(1547年) 9月
山城国 葛野郡 妙顕寺
「はっ…ならば惣領様に申し上げます……我が荒木家を、召し抱えてはくれませぬか?」
「ほう、何故に…貴殿は確か池田殿に仕えておられるのでは?」
そう言うのは我が家の荒木の山城守。そして俺も山城守に賛成だ。お前は池田の家臣だろ?二股膏薬みたいなヤツは俺は嫌いだぞ?
「実を申し上げますと、我が家は父の代から池田殿に仕えておりますが、近頃その池田家は……揺らいでおりまする」
「ほう?揺らいでいる、とは?」
「まず、池田家はしばし前の話ですが、三好殿に戦で負け、従属しております。そうして勢力を落としておるのです。更に近頃は、殿の御嫡男である八郎三郎様(池田勝正)と弟君の久左衛門尉様(池田知正)が対立しておりまして、家臣達もそれぞれ徒党を組み、池田は水面下で分裂が進んでおります…」
なるほど、確かに史実でも池田勝正はそこの弥介くんと中川清秀を味方につけた池田知正に謀叛を起こされてたな…
「拙者はそのような主家に嫌気が差し、出奔を考えておりましたところ、惣領様の噂を聞きまして…」
「なるほど……承知した。我が家に来るのはお主とそこの弥介以外に何人ほどおる?」
「はっ…拙者と弥介の他には我が妻とその縁者、それと拙者の郎党およそ十五名ほどに御座います」
「うむ、承知した。然れば池田殿に気づかれぬように出奔し、この寺に来れるか?無論、我が家から5人ほど、護衛として忍びをつけるが…」
「それくらいならば問題はないかと…」
「よし!然れば疾く女房殿たちを迎えに行ってやれ」
「はっ!有難う御座いまする!」
その後、信濃守は弥介くんを連れて帰っていった。ちなみにもし俺に断られていたら人質兼最後の希望として弥介くんを置いていっていたらしい…
そういえば、確か荒木村重の母親は中川清秀の父親の妹だったはず、もしかしたらおまけで中川清秀がついてくるかもしれない………
これは良い拾い物したわ……ああ、でも瀬兵衛くん(中川清秀)、源頼光の末裔だから天子が嫌がるかな?
さて、それじゃあそろそろ、最優先で会いたい人物二人目を呼ぶか…
人材登用会は次回で終わらせる予定です。
ご感想等、お待ちしてます…




