最終処分場
ある国の議会にて。
「ご案内の通り、使用済み核燃料は高い放射能を数万年間保ちます。そこで、頑丈な地層の下に最終処分場を建設する計画です。その際は放射性廃棄物をガラスで閉じ込める事で、地下水へと染み出す事を防止します」
「地層の下って言ったって未来の人類が間違えて掘り起こしたらどうするんだ。看板を建てたって数万年も持つまい。無責任じゃないか」
「処分場は非常に地下深くに作られますので、間違って掘り起こすということはおよそ考えられません。意図的に掘らない限り到達する深度ではございませんので」
結局、最終処分場の建設は決定され、掘削が開始された。
用地には国内で最も地殻変動の影響を受けにくい地点が選ばれた。
それから数ヶ月の後。
「大変です。作業員が次々に不調を訴え、倒れてしまいました」
思わぬトラブルの報告が大臣の元に上がって来た。
「どういう事だ?有毒ガスか何かが噴き出したのか?」
「いえ、医者が言うには、放射線に被曝した可能性があるそうです。しかもかなりの線量です」
「そんな馬鹿な。処分場って言たってまだ放射性廃棄物を持ち込んでおらんのだぞ。ええい、つまらん憶測が広がってもいけない。原発で使う用の無人機があったろう。あれで直ぐに原因を調査しろ」
早速、技術者のチームが派遣され、ロボットが問題の現場に投入される。
「大臣、原因が判明しました。この画像を」
そこに写っていたのは、ところどころ欠けて歪な形をしたガラスのような無数の塊だった。ちょうど、長い年月をかけて核ゴミが風化したような形の——。