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灼炎の転生魔女〜いじめ自殺から最強魔女の娘へ!前世の因縁、全部終わらせます〜  作者: 明鏡止水
7章 ガロウの雷鳴

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706/707

706.隠された家系

 礼儀正しく扉をノックし、入ってきたのは1人の男性だった。

軍人の格好をし、あごひげを生やしたその顔には見覚えがあった。

さっきの討伐隊に参加していた、兵士たちの隊長だ。


「あら、ニック隊長。どうしたの?」


「リゼ様。・・・この方のことで、お話が」

ニックと呼ばれた男は、私の方を見ながら言った。


「アリアに?何の用?」


「その前に確認させていただきたいのですが・・・この方は、セリエナ様の娘さんなのですよね?」


「ええ。それがどうかしたの?」


 男は、どこか複雑な顔をした。

「セリエナ様の娘さんということは、つまり・・・」


すると、リゼは険しい顔をした。

「言いたいことはわかった。まあ、いずれ私も言おうと思ってたことだったし・・・いいわ、ここで言いなさい」


ただならぬ雰囲気に、私とサラとノエルは「え?何?」と言葉にせずして困惑した。

もちろん母も・・・と思いきや、母はどこか「悟っている」ような顔をしていた。


「あなたは、もしかしてもともと北ガロウに?」


「はい。私は以前まで、北ガロウの軍に所属していました。そして、カイル様のもとで働いていました」


 つまり、この人は北ガロウからの脱走兵・・・というか亡命者なのか。しかも、カイルのもとにいたとは。

正直ちょっと怪しいところだが、リゼの様子からしても信頼はできるのだろう。


「セリエナ様・・・アリア様に、あのことは話されたのですか?」


「いいえ。もしかして、あなたはわざわざそれを・・・?」


「はい。なんというか・・・なぜか、言わずにはおられなくて」


「そう・・・仕方ない人ね。まあいいわ。この件については、アリアは何も悪くないし」


何やら物々しい雰囲気だが、一体どんな話をされるのだろうか。

そう思っていた矢先、ニックは私と向かい合って座った。


「アリア様・・・美しいお方だ。セリエナ様に似て、とてもお美しい」


 面と向かってそんなことを言われると、照れる。

でも、彼は続けて気になることを言った。


「同時に、あの方にもよく似ておられる・・・レオナール様に」


レオナールという名前を聞いて、背筋が震えた。

今まであまり聞いてこなかったが、はっきりと覚えていたその名前は・・・私の父親。つまり、母の夫だ。


「私の父を、知っているんですか?」


「もちろんです。なぜなら・・・」


 そこでニックは言葉を切り、リゼと母の顔を見た。

リゼが頷き、母が力強く微笑むのを見て、彼は小さく頷いた。


「あなたの父上・・・レオナール様は、リゼ様とカイル様の父上の息子。あなたは、リゼ様たちの親戚に当たるのです」


「えっ・・・?」


私たちは、驚きを隠せなかった。

でも、母たちの反応からすると・・・それは本当のようだ。


「ど、どういうことですか!?」


 混乱したように尋ねるノエルに、ニックは落ち着いた声で説明した。


「リゼ様とカイル様の父、ロイ様はお二人が生まれた後に離婚し、別の女性と再婚してまた子供を設けました。それがレオナール様です」


「ってことは・・・アリアは、リゼ様からすれば腹違いの兄弟の娘、ってことですか!?」


「そうです。簡潔に言えば、アリア様はリゼ様の姪っ子なのです」


私は思わず母を見、リゼを見た。

母はうつむき、リゼは私を優しい目で見てきた。

その目つきには、なぜか母とどこか似たものを感じた。


「つまり、リゼ様はアリアさんの叔母・・・そういうことですか?」


 サラの問いにも、ニックは頷いた。


「しかし、それはカイル様にも言えること。カイル様はリゼ様の弟、あなたからすれば叔父に当たります」


そして、ニックはさらに続けた。


「カイル様は、あなたを殺そうとしています・・・セリエナ様のツテを利用し、リゼ様に協力するに違いないと考えて」


 つまり、私の叔父は私に生きていられると困るということか。

これまでは、リゼたちの壮大な姉弟喧嘩に巻き込まれたとばかり思っていたが・・・実は、私にも大いに関係のあることだったようだ。


「この前城に侵入してきた傭兵も、おそらくはカイルが雇ったものでしょう。そして、さっきの影も・・・」

リゼはそう言って、ため息をついた。


「でも、カイルの思い通りにはさせない。アリアは、私の姪っ子なだけじゃなく、大切な友人の娘でもある。絶対に、守ってみせる」


 彼女の顔には、とても固い決意が宿る。

さっきまで他人だと思っていたリゼが、実は叔母だった・・・その驚きもあって、少なからず誇張されて見えたのかもしれないが。

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