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灼炎の転生魔女 〜最強の炎の継承者〜  作者: 明鏡止水
1章 転生〜魔法学院入学

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2.異世界転生

 気づくと、私は暗闇の中にいた。

手足の感覚はないが、なんだか暑い。


でも、それはかつての暑い季節に味わったような、うだるような暑さではない。

どこか受け入れられているような、優しさを感じるような。


むしろ、心地よさすら感じる。

そんな暑さだった。



 やはり、私は死んだのか。

となると、ここはどこだろう。

地獄か、それとも他のどこかか。


いずれにせよ、天国ではないだろう。

何しろ、自ら命を絶ったのだから。


でも、この妙な暑さ……いや、温かさはなんだろう。

温もりと表現してもいいような温かさだ。



 と、突如目の前に光が差し込んできた。

それはみるみる大きくなり——そして私は、空間の外に出た。

でも、そこは見たことのない場所だった。


ラノベやアニメに出てくるような、ファンタジー感溢れるテーブルと椅子。

そして、かつて見たのとはまるで違う、明るい窓からの日差し。


体が動かないけど、目は動かせた。

そして、体が勝手に動いた。

否、誰かに動かされた。


 体に感覚が出てきた。

何かに両腕を掴まれている感覚がある。

それと、視界がいきなり高くなったので気づいたのだけど、どうやら私は誰かに持ち上げられているらしい。

 

かと思うと、全身にお湯がかかった。

というか、そのままお湯で体を洗われた。

私は全裸だったようで、大きな手で全身を余すことなくきれいに洗われた後、しっかりと拭かれた。


何だこれ?それに、何で服を着ていないの?

そんな疑問は、ほどなくして消え去った。


 というのも、体洗いが終わったあと、私はまた持ち上げられたのだけど、その際、目の前に大きな顔が現れた。


それは女性のようだったけど、真っ赤な髪にルビーのような瞳という、アニメキャラのような顔をしていた。


しかも、その服装も……少なくとも、現代日本の人間とは大きく異なっていた。

赤い帽子を被り、赤とオレンジ色のワンピースを着た、いかにもな感じの「魔女」だった。


 そして、その女性は私に何か言ってきた。

言葉はわからなかったけど、表情からして笑っているように見えた。


それはまるで、たった今生まれた赤ん坊を抱きかかえている母親のようでもあった。


 それで、私はやっと気づいた。

これは、異世界転生ってやつだ。

私、生まれ変わったんだ。

それも、たった今生まれたこの人の子として。


じゃなきゃ、こんなファンタジー感溢れる部屋とか、産湯みたいに洗われたとか、こんなアニメの世界から飛び出してきたみたいな人が出てくるとか、あるわけない。


 ラノベなんかで見ていた、異世界転生ってやつを自分がすることになるなんて。

しかも、この人は見た限り魔女、もしくは魔法使いだ。つまり私は……魔法使いの子供として転生したのだろう。


落ち着いて考えてみるまでもなく、めちゃくちゃ興奮した。

何よ、このロマンの塊みたいな現実。

前世でいじめられてた女子高生が、自殺したら魔女として異世界転生しました……って?

……ヤバい。何これ。



 私はそんな考えを巡らせている中、目の前の女性……もとい私の母親は、私を丁寧にタオルのようなもので包み、抱きかかえた。


そして私に笑いかけ、何かを喋って微笑んだ。

言葉はわからなかったが、何となく「かわいい」と聞こえた。


 もちろん、実際にそう言われたのかはわからないが、言葉にならない感動を受けた。

生まれてすぐ、そんな言葉をかけられるなんて……と。


私が母の目を見つめると、母はまた嬉しそうに笑った。

それで思った……かつて前世で生まれた時も、私はこうして母に抱かれたんだろうか。


そう考えると、何とも言えない気持ちになった。




 その後、私は木を彫って作られたらしいゆりかごのようなものに寝かされた。

中には、ふかふかのタオルが敷いてあった。

寝心地もよく、感覚的にはかつて寝ていた布団と大して変わりなかった。


そして私を置いた後、母は片付けをしているようだった。

出産直後なのに、あんなことをしていいの?と思ったけど、よく見ると周りには誰もいない。


 まさか、一人で私を産んだの?

しかも、ここって普通の家だよね?

日本……ことに元いた世界では、まずあり得ない光景だ。


いくら異世界だとしても、出産に付き合う人が一人もいないなんてのはおかしいだろう。

少なくとも、パートナーの男くらいはいるものだと思うが。



 そうしているうちに、夜になった。

私は母に抱き上げられ、テーブルの上に置かれた……さすがに直にではなく、敷かれたタオルの上にだが。


母は目をつぶり、唸るように何かを唱えた。

すると、空中に何かが浮かび上がった。

それは赤い文字だった──まるで、炎のような。


 一体、何をするところだろう?と思っていると、炎の文字が動き出した。

全部で二十個はあるであろうそれは、しばらくふわふわと動き回った後、最初とは違う並びで並んだ。


それを見て、母は頷く。

そして、私を見下ろして言う。


やはり何と言ったのかはわからないが、こんな言葉がはっきりと聞こえた。


「アリア。アリア・ベルナード……」


母はそれに続いて、「セリエナ・ベルナード」とも言っていた。

そのことから、私はきっと今聞いた言葉が、与えられた名前なのだろうと直感した。


 アリア……アリア・ベルナード。

それが、これからの私の名前か。

私……本当に生まれ変わったんだ。

そう、強く実感した。


同時に、言葉にしきれないくらいの喜びと興奮が襲ってきた。

よくわからないけど……つまり私、魔女の子として転生したんだよね?


魔女ってことは、当然色んな魔法も使えるのだろう。

それだけでも十分だけど、転生してそれになり、しかも魔女の母から生まれたというのもさらに拍車をかける。



 ……やばい、めちゃくちゃ嬉しい。

いじめられてた私が自殺したら、魔女の娘に転生しました、って?

エグいくらいロマンあるし、興奮するんですけど。


っと、まあ興奮するのはこれくらいにして、と自分を落ち着かせる。

なぜこうなったのかはわからないが、とにかく私はこれから魔女の娘だ。

それなら、これから頑張って生きよう。


 これから先、どんな人生が待っているのか想像もつかない。だが、少なくともいじめられ、散々苦しんだ前世よりはマシだろう。


この瞬間、私は決意した。

せっかく転生して、チャンスを得たのだ。

この人生を、精一杯生き抜いてやる。

途中で投げ出したりせず、最後まで。




 ――そう思った、その時。

ふと、頭の奥に焼きついた光景が蘇る。


あの教室。あの笑い声。あの女たちの顔。


(……忘れてない)


私は、あいつらを忘れてはいない。

この世界で会うかどうかはともかく──このことは、絶対に忘れない。


たとえ異世界に転生しても、消えない感情。

それが、私のこれからの人生の核となるものだ。

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