表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灼炎の転生魔女〜いじめ自殺から最強魔女の娘へ!前世の因縁、全部終わらせます〜  作者: 明鏡止水
3章 ゼスメリア生活・後編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

179/701

179.存在しなかった友

 年の瀬の寒さが一層深まり、ゼスメリアの校舎を吹き抜ける風も、もはや鋭い刃のようになっていた。


冬休みを目前に控え、生徒たちはどこか浮ついた空気を纏いながらも、年明けの実技試験に向けて準備を進めている。


そんな中、あの日は、何の前触れもなくやってきた。


 


「ねえ、サラ。シルフィンって今日休み?」


 昼休み、教室でサラと並んで机に向かっていた私は、ふと思い出したように問いかけた。


けれど──


「・・・シルフィン、さん?」


 サラは首を傾げた。


「それ、誰ですか?」


 私は、言葉を失った。


「え・・・?いや、ほら・・・私と同じ赤髪ので、炎の魔法が得意な子。何年も前から、仲良くしてきたじゃない」


だが、サラは困ったように眉を寄せるだけだった。


「ごめんなさい。そんな人、知らないです。もしかして・・・転校生でしょうか?」


「そんなわけない。ずっと前からいたよ、ルージュの組で、私たちと同じ──」


 言いかけて、私は声を止めた。

何か──おかしい。




 サラだけじゃない。他の生徒に聞いても、誰も彼女のことを知らないという。

レシウス先生を始めとした教師に尋ねても、「シルフィンという生徒はいない」と、きっぱり返された。


まるで、最初から存在していなかったかのように。


 


 放課後、私は一人で校舎の裏に向かった。


ここは、時間がある時によくシルフィンと話した場所だ。

風が抜ける小道、薄く積もった雪の上に、小さな足跡のような跡が残っている。


(・・・ここにいた。確かに)


私の中には、はっきりと彼女の存在が刻まれている。


 昨日まで、みんなで仲良く話していた。

以前は、卒業後に旅立つことを話し、自分は行けないと言いつつも、応援してると言ってくれた。


これまでの六年間、私と彼女はずっと一緒だった。

様々な事件を、一緒に解決してきた。



 それらの記憶・・・思い出すら、私の妄想だと言うの?


 



 私は焦って家に戻り、母に問いかけた。


「ねえ、母さん。シルフィンって覚えてる?赤髪の子で、私の友達で・・・」


けれど、母の反応も、他の大人たちと同じだった。


「・・・ごめんなさい。アリア、誰のことを言ってるの?」


 静かな声だった。でも、それが余計に怖かった。

心のどこかで、「まさか」と思っていた可能性が、現実になりつつある。


 

 一人だけ、覚えている私。

他の誰も、彼女の名前を知らない。

まるで──世界から、“存在そのもの”を消されたみたいに。


 



 雪が降り始めていた。細かく、静かに。


私は一人、凍える風の中に立っていた。


(どうして・・・)


どうして、あんなに近くにいたのに。

どうして、私だけが覚えてるの?


 

 そのときだった。


風が、一瞬だけ止まった。


まるで、何かが──世界の背後で動いたような感覚。


その直後、耳元で誰かの声がした。


「──気づいて、しまったのね」


 


 振り向いても、誰もいなかった。


ただ、空だけが不自然なまでに澄み切っていた。


(シルフィン・・・どこにいるの?)


 


 この違和感は、ただの夢や勘違いなんかじゃない。

私の中にある記憶が、確かな証拠だ。

誰が、何のために──彼女を“消した”のか。


その答えを、私は追わなければならない。

たとえ、それが邪悪な存在の仕業だったとしても──。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ