表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灼炎の転生魔女〜いじめ自殺から最強魔女の娘へ!前世の因縁、全部終わらせます〜  作者: 明鏡止水
3章 ゼスメリア生活・後編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

168/701

168.鍵と封印の真実

 記録庫の空気は、静かで重かった。

木製の本棚が並び、所々に積まれた巻物や羊皮紙が時間の流れを物語っている。


奥には閲覧机と魔導灯が設置されていたが、ほとんどの場所は半ば暗がりだった。


「すごい・・・全部、魔法や歴史の記録なんでしょうか?」


 サラが、周囲を見渡しながら言った。


「うん・・・前、母さんが言ってた。ここには、古代の魔法使いたちの禁術の記録や、封印に関わる文献があるって」


 私は急ぎ足で奥へ進む。

この学院には数百年の歴史がある。邪神ガラネルとの戦い、“神魔戦役”の時のこともまた、過去の記録として残されているはずだ。


──そして、もし運が良ければ、“鍵”についても。




「・・・あった。これ、見て」


 一時間ほど探して、私は埃をかぶった革表紙の古い本を見つけた。

背表紙には金の文字で、こう記されている。


『八封の鍵と十三の扉 ──邪神封印儀式の記録』


 ページを開くと、淡く発光する魔法文字が浮かび上がり、魔力に反応して内容を示してくれる。

サラが隣に寄り添い、ページをのぞき込んだ。


「“八封の鍵”・・・?」


「うん。読めるところから・・・」


 私は息を整え、声に出して読んでいった。


『八つの封印。それは“神の墜落”を止める楔。

封印は八つの魂に分けられ、各地に散らされた。

魂の主は死して輪廻に戻り、再び人として生まれる。

彼らは“鍵”と呼ばれ、その命が絶たれれば、封印はひとつ崩れる』


「じゃあ・・・私が、その“鍵”の一つ・・・」


 サラの声が震える。


「・・・たぶん、そう。封印は“力”だけじゃなく、“命”と結びついてる。サラが死ねば、そこに込められた封印の魂も崩れる・・・」


 私は喉が詰まるような感覚を覚えた。

それはあまりに理不尽で、重すぎた。


『鍵の魂は、いずれ記憶を取り戻す。

邪なる意志がそれを導くならば、封印は内側から崩れる。

されど、鍵が己を選ぶならば──未来はまだ、選びうる』




「・・・え?」


 サラが見開いた目で私を見つめた。


「つまり・・・?」


「“記憶”が戻るのは、鍵が力を持ち始めてる証拠。でも、サラが自分の意志で“それ”を拒むなら・・・封印が崩れるとは限らない、ってこと」


希望。わずかながら、確かにそこに在る。


「・・・でも、やっぱり誰かが狙ってる。私が“鍵”として覚醒し、力を暴走させることを・・・」


「それが、敵の狙い。サラを暴走させるか、殺して、封印を崩す。どっちでもいいってわけね」


 私の胸が痛んだ。

これほどの運命を、彼女に背負わせる世界が、私は悔しかった。


だが、まだ終わってはいない。


「サラ、あなたは・・・どんな過去があっても、今の自分を選んでいいんだよ。記憶も、力も、すべて抱えて」


彼女は小さく頷いた。瞳に、かすかに涙を浮かべながら、それでも強い意志を灯して。


「・・・はい。私、もう逃げません。記憶が戻っても、それでも私は、アリアさんと一緒にいたい」


 その言葉が、何よりも嬉しかった。


そのとき──




 記録庫の奥から、金属の軋むような音がした。

私たちは顔を見合わせ、同時に立ち上がる。


「・・・誰かいる?」


「いや、気配が・・・変だ」


私は魔力を練った。サラも、かすかに身構える。


 奥の陰から、何かがゆっくりと現れた。

それは──骸骨のように痩せこけた異形の魔物。

けれどその身体からは、人間の魔力の名残が滲み出ている。


私は直感した・・・これは、魔物じゃない。

とすると、なんだろう?

かつて、魔法使いだった者の成れの果てか?


「・・・また来たのね、サラ・ヴェルレイン。“鍵”よ。記憶を、力を、取り戻す気か・・・」


 呻くように語る声。

記録庫の奥深く、ずっと“何か”が眠っていたのだ。


「アリアさん・・・気をつけてください。こいつ、ただの敵じゃないです。“過去の記憶”が、私を試しに来てる・・・そんな気がするの」


「・・・戦おう。逃げる必要はない」


 私たちは再び、共に立った。


記録庫──それは“過去”と“未来”を結ぶ場所。

この戦いが終わったとき、私たちはきっと、また一歩先へ進めると信じて。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ