プロローグ
ご興味を持ってくれた方、ありがとうございます!!
拙作ですが楽しんでいただけるよう頑張りますので、応援お願いします!
人神が姿を消した。
その衝撃的なニュースは大陸中を駆け巡った。
最も衝撃を受けたのは、当然人族だった。
まず領土全体を覆っていた保護結界が消失した。
他種族にも言えることだが、各種族を守護する神によって領土内であれば自種族を強化、他種族を弱体化させる結界が張られている。
この結界によりそれぞれの領土は保護され、他種族の侵攻を許すことなくこれまでは調和が保たれていたのだ。
その結界が崩れたということは、それ即ちこれまで保たれてきた種族間の調和が崩れたことを意味した。
この世界は人族、獣人族、精霊族、巨人族、魔族の五大種族に統治されている。
人神の消失を聞いた人族以外の種族は、それぞれ違う反応を示した。
長く人族と友好的な関係を築いていた獣人族は、人族の未曽有の危機に協力的な姿勢を見せ、精霊族、巨人族は状況を傍観した。
そして、以前から人族を敵視していた魔族は人族の領土に向けて侵攻を開始した。
まず初めに国境付近の村や町が襲撃され、ついには外交の要衝であった城壁都市ドランザーレが陥落する事態となった。
事態を重く受け止めたアンリガルド帝国は各地に軍を派遣。
人族対魔族の構図が出来上がり、第一次種族戦争の幕が開いた。
本来人族の領土で人族軍が負けることなどありえないのだが、結界が消失したことにより戦力は拮抗。
個体の強さで突き進む魔族軍に対して、人族軍は数の力で対抗し、何とか侵攻を抑えていた。
そして現在、戦争が始まってから十年の時が経過した。
人族対魔族の戦争は熾烈を極め、人族側の友軍として獣人族まで加わり、他種族をも巻き込んだ争いへと発展。
全種族の中で随一の精強さを誇る魔族軍に対し、人族の戦力を明らかに下回っていた。
獣人族の協力を得たとしても、その戦力差が覆ることはなかった。
しかしこの十年間、人族は魔族の猛攻を耐え続けられたのには理由があった。
指揮官。
そう呼ばれる彼らは、特殊な力を有していた。
超常的な力を備えた人物を召喚し従わせる能力。
人神が姿を消した後、突如として能力が発現した指揮官達の尽力により、戦線は未だ均衡を保っている。
終わりはまだ、見えない。