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世捨て人龍の配信生活~迷宮の底で人型龍になったけれど生活を充実させたいので配信者します~  作者: 嘉神かろ
第6章 人と悪魔の物語

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第186話 楽園ジェットコースター

186

 百九十階層台はさっきまでの雰囲気とは打って変わって、神々しい天界の様相の強い階層が続いた。出てくる魔物も神話上、善性を持つ存在がモチーフになったようなものばかり。たぶん、ディオニューソスが冥府から母を助けたことで神々の仲間入りを果たしたことに由来するんだろう。


 この階層クラスの魔物となると、半分程度の力しか出せない今の私じゃファウロスを抱えたまま鎧袖一触とはいかない。必要があれば降ろすこともあったくらいだ。


「しんどかったらまた眠らせるから、遠慮無く甘えていいよ」

「すみません、ありがとうございます」


 さすがは聖獣。これまでの魔物のようにただ強い気配を放ってるってだけじゃないからね。あれらに支配された魂力は当然、害意が含まれてる。無用に争うつもりがないから敢えて支配を奪わず進んでたけど、どうもその害意にあてられちゃったみたいね。

 これは私のミス。気がついてからは害意だけを吸い出して中和してるけど、一度受けたダメージはしっかり残っちゃってるから。


 なかなか綺麗な場所だから、本当だったらゆっくり見て回りたいんだけどね。

 楽園とはこういった場所を言うんだろう。澄んだ青空に美しい翼の鳥が絵を描き、大地を花畑や清流が彩る。時々ある白い石の建造物が良いアクセントだ。


 まあ、その鳥も半分くらいは魔物なんだけど。聖鳥と呼んだ方が良いような神々しさなんだけどね、殺意が凄いんだよね。私が思わず笑っちゃったくらいに。


『ただいま まだ癒やし映像だった』

『癒やし映像だけど ジェットコースターだぞ』

『こういう時だいたい掲示板化するよね、ここのコメント欄』

『初期からそうだな。最初の頃はここで色々検証してたし』


 うん、リスナー達が遊びだした。まあ、休憩所代わりに使われるのはよくあること。まだチャットアプリみたいなのはできてないし。アプリ開発ができるようになるまでは長いかもなぁ。プログラムでどうこうって話じゃないし。


 ともかく、彼らがコメント欄で遊ぶってことは攻略が順調ってことだし、良いことだ。


 こちらからの返事は、一応ファウロスの手前していない。だから余計にコメント欄の会話が加速してるんだけど、まあ、時折襲ってくる魔物の処理はしてるから許して欲しい。

 うん、自分で言っててよく分からない理屈だな?


「次の階層だ。この勢いのまま行くから、一応衝撃に備えて」


 ファウロスの捕まる手に力が入った。これで登った瞬間魔物とこんにちはしても大丈夫だろう。私はともかく、ファウロスがそんな少女漫画の導入みたいな展開になったらそのまま死んじゃうしね。

 ていうか一回サンドイッチにしかけちゃったんだよねぇ。あのままぶつかってたら、ファウロスは潰れちゃってたよ。さすがに肝が冷えた。


 今度からこういった護衛しながらの高速攻略をするときは夜墨にも付いてきてもらおう。面倒くさい。もしあればだけど。


『今何階層だこれ』

『百九十八 もうちょっと』

『次の守護者は何だろな』

『なんでもハロさんなら余裕』

『残った神話ってなると限られるなぁ、神になったあとだし』


 次ねぇ。さすがにテュポーンとの戦いにまつわるようなのは出てこないと思う。そうすると、アレかなぁ、ヘパイストス。

 でも、ヘパイストスも神だし、それそのものが出てくる訳じゃないよねぇ。ケルベロスみたいに周辺の神話が影響して守護者が選ばれるパターンな可能性の方が高いか。


 元の神話は、拘束されたヘーラーを解放させるためにヘパイストスを神々の住まうオリュンポスに連行したって話。ヘパイストスは母であるヘーラーに捨てられた憎しみからヘーラーを罠に嵌め、黄金の椅子に拘束した。

 そのヘーラーの解放を拒否するヘパイストスを、ディオニューソスは酒に酔わせて連行したらしい。この功績でディオニューソスとヘーラーも和解したんだったかな。


 そうなると、怪しいのは黄金の椅子あたりか。この話に準えたようなフィールド型の守護者が来るって可能性もある。


 ……こんな綺麗な階層の後に酒をしこたま飲ませるギミックか。そんなアルハラ試練、やだなぁ。ちゃんと戦いたい。それか一緒に楽しく飲みたい。


「えっと、ハロさん、何かありました……?」


 おっと、少しだけげんなりした表情を作っちゃったよ。


「いや、何でもないよ」


 まあ、行けば分かるか。ファウロスにも無意味に怪しまれてるし、この予想はこれくらいにしておこう。


 それよりも、あいつが何を仕掛けているかを考えた方がいいよね。ここまで何もないと、嫌な予感もしちゃうし。

 ファウロス親子を使った実験なのは分かる。それがどういった実験かさえ分かれば、無用な被害は抑えられるはず。


 あいつは、人間という存在の、そのあり方を観察する傾向があるように思う。だとすると、候補はいくつか浮かぶんだけど……。


『あ、俺そろそろ晩ご飯だわ』

『私も。行ってきます』


 ん、もうそんな時間か。思考の海に沈むのはいったんこれくらいにして、腹ごしらえをしよう。ファウロスは弱ってるから、自分で何か用意しないとね。


 ファウロスが明日になって回復してるか怪しいし、朝ご飯にもなりそうなものを作ろうか。さて、何が良いかな。



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