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プロローグ 初恋、諦めるから子種をください

よろしくお願いします!



「フェイト、準騎士の資格を得たら王都に行って聖騎士(パラディン)になるそうよ」


「えっ!?なにそれ聞いてない!」


幼馴染で初恋の相手、フェイト=ウィルソンが王都に行くと知ったルゥカ。

婆腕(ばばうで)一本で育ててくれた祖母の許可を得てフェイトが勤める聖女教会のメイドとして働き始めて早や四年、ルゥカは潮時を感じていた。


ルゥカは昔からフェイトのお嫁さんになると(勝手に)決めていた。

決めていたからこそ絶対に離れないと王都にまでついて来たのに。


だけどその願いは叶わないと、ある日突然知ったのだ。


聖女ルリアンナを見つめる彼の苦渋に満ちた眼差しを見て、ルゥカは悟った。


フェイトは聖女を愛しているのだと。


だが聖女は婚姻を認められてはいない。

清らかな処女(おとめ)でないと神聖力が失われるからだ。


だからフェイトはあんな辛そうな目で聖女を見つめていたのだ。


決して叶わない、手の届かない想い。


今まさに自分がそれを感じているルゥカは、フェイトの気持ちが痛いほどよくわかった。


「フェイト……哀れ……そして私も哀れ」


その後すぐに、結婚願望がないような事をフェイトが言っていたと他の聖騎士が話していたのを耳にした。


「フェイトはルリアンナ様に操を立てて、生涯独身を貫くつもりなんだわ……」



フェイトのその心情に辿り着いた時が、ルゥカの初恋と幼い頃からの夢が終わりを告げた瞬間であった。



故郷に帰ろう。

ルゥカはそう思った。


両親を事故で同時に失い、幼いルゥカを引き取って育ててくれた祖母の事もそろそろ心配でもある。


初恋と夢を諦めて、故郷で祖母に恩返しをしながら生きてゆこうとルゥカは心を決めた。



だけど………


故郷でフェイトに出会って十五年。

ルゥカはずっとフェイトだけを想って生きてきた。

今さら新しい誰かに恋をするなんて想像すら出来ない。


叶わなかった恋を忘れるために他の男性と結ばれる、それも確かに良いのだろうけどルゥカには無理だ。


それならば……フェイトの事は諦めるから、結婚してくれなんて言わないから、子供だけでも授けてはくれないだろうか。


ルゥカの中でそんな考えが唐突に芽生えた。



もう大好きで大好きで大好きでたまらないから、

フェイト以外、他の人との人生なんて考えられない。


フェイトとの結婚は無理でも、彼そっくりの子どもと暮らせたらどれだけ幸せだろう。


もし自分に似ちゃってもそれはそれで絶対可愛いに決まってる。

それに半分は彼なんだから同じ事。



よし。

彼に“コダネ”を貰ってから故郷に帰ろう。


ルゥカはそう決めた。



「……子供ってアレよね?男の人の“コダネ”を貰って出来るとメイド仲間に聞いたわ。でも変ね、赤ちゃんはコウノトリさんが運んで来るのでしょう?どこで貰ったコダネ使えばいいのかしら?そもそもコダネってどんなもの?子の種(・・・)で正解なのかしら、それなら一体どんな種?丸いの?大きいの?小さいの?その種をコウノトリさんに渡したら赤ちゃんにして私のお腹に運んでくれるの?」


故郷の街や王都でも妊婦の姿は見た事があるルゥカ。

しかし祖母に育てられた影響か男女の色事は全くの無知で疎いルゥカである。


「図書館で調べるべき?それとも……」


ルゥカはメイド仲間で友人のドリーの顔を思い浮かべていた。


「ドリーに相談してみましょっと」



そして絶対にフェイトのコダネを手に入れてみせる!


それから故郷でおばぁちゃんと子供と一緒に仲良く暮らす!


それを固く決意したルゥカなのであった。






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― 新着の感想 ―
[良い点] 案内から読んでます! 第一話読んで、純心なのか考えが斜め上なのか のんびりと読んできますね。
[一言] 子種→子だね→お子だね〜(笑) 子種はキャベツ畑に撒いて育てると、コウノトリさんがそのキャベツを食べに来て、最後は赤ちゃんを運んでくれるんだよ〜 全部混ぜてみました! 新たなポンコツヒロ…
[一言] 一途で無知なヒロインですね。残念ヒロイン?まだヒーロー現れず…
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