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くだらない私の日常 新人なろう作家の日常妄想系エッセイ

夢を叶えるということ


 あなたの夢はなんですか?


 こう問われて、自信をもって即答できる人は一体どれほどいるでしょうか。



 小説投稿サイトに登録して、こうしてこのエッセイを読んでいるということは、漠然と小説家になりたいと思っている人も多いかもしれません。


 では、実際のところ小説家になるというのは可能なのでしょうか?



 小説家という定義を出版社から書籍化した商業作家と仮定して考えてみると、


 日本では年間数百人前後が新人としてデビューしているそうです。


 多いのか少ないのかわかりませんが、小説家志望の人口はおよそ500万人程度といわれていること、作家デビューに年齢は関係ないことを考慮すると、1万人に1人以下というとんでもない狭き門が出現しましたね。



 さあ、どうします? ここでやめておきますか?


 そうですか、続けますか。わかりました。



 さて、先ほど1万人に1人以下という数字を出しましたが、実際に投稿サイトなどに作品を公開している人に限定すれば、この数字は千人に1人まで跳ね上がります。


 つまり、実際に作品を書いてみて、それを投稿してみる。


 その行動を採れた時点で、あなたは周りのライバル9人を置き去りにしたということです。頑張りましたね。


 そして、定義とは違いますが、この時点であなたはすでに小説家になったともいえます。



 さあ、どうします? ここでやめておきますか?


 そうですか、続けますか。わかりました。



 さて、小説家デビューということを考えれば、編集部の拾い上げ、持ち込みなどもあるでしょうが、一番はやはり公募でしょう。


 デビューを目指すなら、各新人賞などに挑むわけですが、この時点で、ライバルとなる母数は一気に減って、数百人にまでなっています。


 とはいえ、やる気も、本気度も、実力も伯仲している、ここまで残ったいずれも精鋭です。


 この中から選ばれてデビューするには、実力は大前提、流行や相性、少々の運など、自分ではどうにもならないものにも勝利しなければなりません。


 

 作家デビューおめでとうございます!! 本当によく頑張りましたね。


 

 さあ、どうします? ここでやめておきますか?


 そうですか、続けますか。そりゃあそうですよね。せっかく作家デビューしたんですからね。



 巨匠、北方謙三氏によれば、作家として生き残っていけるのはおそらく百人に1人くらいだろうということです。


 作家デビューを目標にしていたために、燃え尽きてしまったり、本業が忙しくなって書けなくなったり、病気や家庭の事情、スランプなど、出版社の都合以外にも退場する原因は山ほどあります。


 そういう諸々の事情を乗り越えて生涯作家として生きてゆけるのが百人に1人ということなのでしょう。


 毎日10時間勉強して目標の大学に合格した、やったぜ今日からは遊ぶぞ!! ではなく、やったこれで12時間集中して勉強できると喜ぶことが出来るかどうか。



 さあ、どうします? 怖くなりましたよね? ここでやめておいたほうが良いですよ?


 

 ……そうですか、それでもあなたは止まらないのですね。



 編集者に駄目出しされ、華々しいライバルの活躍を見ながら、日々売り上げを気にしながら、読者の反応を気にしながら、それでもなお続けるのですね?


 流行を取り入れ、研究し、絶えずインプットアウトプットを繰り返し、バージョンアップをしてゆく。


 すべての時間を執筆に費やし、魂を込めた作品を直せと言われても、周りが喜んでくれるなら、と素直に受け入れて、書き直せるのですね。


 商業的な成功、あるいは有名な賞や称号を得る、そのことに価値と喜びを得られる人なのですね。


 


 皮肉でもなんでもなく、小説家に限らず、報酬をもらって商業的に結果を出し続けるというのは、本当に難しいことです。


 はっきり言えば、確率論ではなく、そもそもなれる人の絶対数が少ないのです。

 

 

 一番わかりやすいのが、大谷選手です。


 野球が上手くなることしか考えていない。生活のすべてが、思考のすべてがそこからぶれていないから、他の事も上手く行く。


 他人の話やアドバイスの中にも何か上手くなるためのヒントがあるかもしれない。そう思うから礼儀正しいし、きちんと話も聞く。素直に感謝が伝えられる。


 一見野球に関係ないようなことも、すべてが役に立つ、影響すると知っているから、決しておろそかにしない。


 敵を作らないことだってそう。敵を作れば足を引っ張られてしまうかもしれない。


 選手、監督、オーナー、審判、ファン、みんな人間だから、やっぱり感情はある。敬意をもって接することで、気持ちよく野球を出来る環境が維持される。



 理屈はわかっていても、実行するのは至難のわざ。


 たとえ実行できたとしても、誰もが大谷選手になれるわけじゃない。


 同じものを食べたって、190センチの長身にはなれない。


 同じ練習をしたって、ホームランを打てるようにはならないのです。



 

 さあ、どうします? え? ワクワクする? 


 そうですか、きっとあなたは商業作家になれますよ。


 周りから見れば過酷な状況を、楽しむことが出来るのですから。



 そして、自分にはなれそうもない。そう思ったあなた。


 大丈夫ですよ。そう思えた時点で、あなたは夢の実現に一歩近づいたのです。



 夢を叶えるってね、商業的な結果を残すことではないんですよ。


 自分がやりたいことをするために生きること。それが夢を叶えるということです。


 研究者が、ノーベル賞を受賞したからといって、研究をやめますか? やめないですよね。研究を続けることが夢に生きているということだからです。


 

 夢を仕事にするのは難しいと言われますけれど、それは夢と仕事をセットにする今の教育の悪弊だと思います。


 食べるのが好きな人は、料理人になれば良いと同じぐらいの暴論です。


 もちろん料理人になろうとする過程で、料理の難しさ、奥深さを知り、料理を作ってくれた人への感謝、食べる喜びが増すこともあるでしょうから、目指すことは何の問題もありません。


 そのうえで、やはり自分は作るより食べる方が好きなんだと気付いて、作る時間があるなら、色々なお店を食べ歩きたいとなるかもしれません。


 


 小説家もそうです。


 実際に書いてみて、自分は読む方が好きなんだと気付くことがあるかもしれません。


 それは、実際に書いてみなければ、本当の意味で気付くことのできない大切な事。


 

 小説投稿サイトには、色々な人が集まっています。


 本気で商業作家を目指す人、趣味で小説を書いている人。サークルや部活感覚で交流を楽しんでいる人。ひたすら読むことが目的の読み専の人。


 

 執筆を始めたばかりで、まだよくわからない人や、何年書いていてもスタンスが定まらない人もいると思います。


 大切なのは、自分が何をしている時が楽しいか、です。


 作家には向いていないと筆は折っても、応援することが大好きな人も居ます。


 ちなみに、毎日百作品近く読んで、必ず感想やコメントを残しておられる神さまのような方を私は知っています。


 そうやって、大好きな投稿サイト、ひいては小説界を盛り上げて守る。そういう生き方もあるのです。


 

 自身の経験を分析して、若手や新人の育成やアドバイスをするという関わり方、ランキング攻略が大好きな方、データ分析やツールの開発が好きな方もいらっしゃるでしょう。


 同じように小説が好きといっても、関わり方は千差万別なのです。



 夢とは、誰よりも苦労をして勝ち取るものでも、奪い合うものでもありません。ましてや苦しむものではないのです。


 他人からみれば苦労にしか見えないことが、自分にとっては苦にならない、楽しいと思える、それがあなたにとっての夢です。


 夢を叶えるとは、自分にとっての喜びのカタチを見つけ、それを楽しみに生きること。


 夢に生きるとは、自分が楽しいと思えるように生きることです。



 だからね、商業作家になることが夢の終着点だなんて思わないでください。


 たまたま夢が職業と部分的に一致する人もいるかもしれませんが、そんな人は滅多に居ません。


 それに、一致することが幸せなことだとも言えません。


 職業とは他者あってのもの。


 夢とは本質的に自分自身の魂のカタチですから、本来夢と職業は相容れず相性は良くないものなのです。


 仕事となれば、自らのカタチを歪めなければならない場面も必ずあるでしょう。するしないではなく、そういう葛藤と常に向き合わなくてはならないということです。



 ここまで読んできた賢明な読者さまであれば、気付いているかもしれませんが、


 夢=趣味と置き換えても良いんですよね。



 人類は長い歴史上、生き残ることだけで精一杯でした。


 技術の進歩や発明によって、やがて余暇が生まれ、ただ生きるだけではなく、生きる意味や目的を考えるようになりました。


 いつか人類は、労働から解き放たれる時代を迎えるでしょう。



 さて、有り余った時間。



 あなたは何をしますか? 



 もしかしたら、そこにあなたの夢のカタチのヒントが眠っているかもしれません。 

 


 視野を広げましょう。周りの人は全員先生です。反面でも教師です。


 求めましょう。手を伸ばさなければ何も掴めません。


 仕事のことは忘れましょう。夢と仕事はたいてい相性が悪いです。まずは夢の輪郭をつかむことに全力になりましょう。


 夢さえ見つけてしまえば、その夢に都合が良い仕事を探せばいいのです。


 

 夢を見つければ、少しだけ人生は楽しくなります。


 苦しい仕事も夢のための必要経費、スパイスだと割り切れば良いのです。


 

 だって、過酷な労働の後のビールは格別に美味しいんでしょう?


 

 私はお酒が飲めないから、コーヒーとすあまなんですけどね。

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i566029
(作/秋の桜子さま)
― 新着の感想 ―
[良い点] 夢が叶うといいですね
[一言] とても読みやすく面白かったです。読み進めているうちに偶然にも少し前に私が弟に何となく話した内容に似ている事が分かってきて共感の連鎖が発生しました。センキュー
[良い点] とても深くて良い内容でした。いろいろ考えるあまりしばらく呆然としてしまいました。 [一言] ずっと前から書きたいと思ってた。でも書けなかった。なろうと出会って今は書けるようになった。 小…
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