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ファンタジーはアイテムからでした

 

 彼らは皆、何かに怯えるように縮こまったりブツブツと何か呟いていたり、何もない所に攻撃したりと。

 どこからどう見ても普通な状態ではない事になっていた。

 それに、皆何故か衣服や露出している肌などが赤黒く、そして所どころに赤い水溜まりができていた。


「……なんじゃこれは一体。それにこの匂い、血か?」


「怪我の可能性もあります!!すぐに治療を!!」


 すると、イリスは、私に一言だけ言って補助から外れ彼らの一人の肩を触ろうとした瞬間。


「触っちゃダメ!!」


「へ?」


 私が、そう叫んだ時には既に遅かった。

 イリスは既に赤黒く染まった人に触れてしまっていた。

 そしてその瞬間、目に見えてイリスに異変が起きる。

 目は虚ろに何処を見ているのかも分からない状態に、そして何かをブツブツを言い出す。


「お主!!これは一体なんじゃ!!知っているのじゃろう!!」


「多分……竜の血」


「竜の血だと?それが一体なんなのじゃ?」


「竜の血はそのまま浴びたり飲んだりすると毒なんだよ」


 竜の血……。

 それを、一滴浴びれば、狂気や恐怖といった正気度の大幅な減少し長期的の発狂を起こし。

 一滴でも口に入れれば、全身を蝕む毒となり、身体の自由が効かなくなる麻痺を起こし、そしてそのまま死に至る代物だ。

 ゲーム内の時でも、それらの耐性あげてじゃないと面倒臭い事になる為、竜種の攻略の時は、ほぼ必須といって良かった。


「そ、それではこやつらはどうなるのじゃ!!」


「多分治療はできると……思う」


「……随分と曖昧じゃな」


「そんなに睨まないでよ!!私だって出せるか分からないんだから」


「出す??」


 精霊樹の心配を余所に目を閉じ自分に集中する。

 こっから先は貰った記憶を頼りに行動するしかないからだ。


 ゲーム時の時はメニューから、アイテムリストや倉庫等を選択し使用すればいいだけだが、今はリアルの出来事だ、それでは利用は出来ない。

 道具の出し方それ自体は理解できているが出せるかと言われたら分からないが正解だ。

 目的の物を想像しながら別空間にある倉庫に手を突っ込めば後はそれが勝手に手元に来る訳だが……。

 これは少々所かかなり疲れる。慣れてないのもあるかもしれないせいかもだけど。

 色んな情報が物凄く流れてきて集中すら難しい。


「汗がすごいぞお主!!大丈夫なのか!?」


「え……あ、うん大丈夫だよでもごめんね集中する為にも話かけないで」


 軽く汗を拭い、集中する。

 今回必要とするのは状態異常を治す薬だ。それを頭に思い浮かべると、少しだけど流れてくる情報が減った。

 どうやらこの方法で行けそうだ。

 そこから更に今回の状態異常の症状を治せる物を大まかに思い浮かべると急に情報が減り、そして残った情報がこれのみとなった。


【聖女の聖水】

 聖女のみが作れる伝説の聖水

 ありとあらゆる状態異常と呪いを完全回復するが物理的な傷は一切治すことが出来ないため注意するべし。


 これだ!!

 そして咄嗟に目を見開くと、何故か精霊樹が驚いている。

 どうしたのだろうかと視線の先を見ると……。

 関節から先の腕が無い。


「うわっ!!?え、え……どうなってるのこれ!!?」


「お主自身が突然腕を何もない所にやったではないか!!それは大丈夫なのか!?」


「え…っと大丈夫?むしろ何か掴んでる?」


「何故、疑問系なのじゃ」


 別段自覚してやっている訳では無いのだよこっちだって!!

 目を開けたらこうなっていたんだから疑問系にもなる。

 ……って今はそんな問答をしてる余裕なんてない。

 慎重に腕を引き抜くと……。

 豪華な装飾が施された瓶を手に持っていた。


「それはなんじゃ?随分と豪華じゃな?」


「聖水だよ」


 さてさて使用方法はどんなのかな?

 ふむふむ……。浴びさせたり飲ませたりと何でもアリと……。

 瓶の蓋を空けるとおもむろに匂いを嗅いでしまった。

 ……無臭ようだ。


「何をしておる匂いなど嗅いでおって」


「いや……つい気になって」


「よし!!」


 イリス目掛けて容器の半分位をぶっかける。

 ドキマギしながら見つめていると目に光が戻ってくると同時に。


「ご、ごめんなさい!!ごめんなさい!!食わないでもう食わないで」


 目の前にいた私に物凄く取り乱しながら抱きついてくる。

 どうやら相当怖い物を見たらしい何を見たか気にはなるが聞きたくはない。


「よしよし何を見たか知らないけど怖かったね」


 イリスをあやしながら一応人数分の聖水を取り出し、精霊樹にこれを皆に掛けるように頼むと潔く受けてくれた。



 そうして一人また一人と意識を取り戻すと先程のイリスみたいに取り乱す為どうにか時間を掛けて落ち着かせる事になった。

説明上今回出たアイテムは伝説となっていますが三桁単位で保持している物です

一切珍しくも無いため彼女は躊躇なく使いました

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