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●確認 ~ これで全部ですか?

●確認 ~これで全部ですか?


「うっ」

街道の脇に横たわっていたカーゴはすこし意識が戻ったようで、低いうめき声をあげた。

「体の調子はどうですか?」

仮面をつけたノワールは優しい口調でカーゴに問いかけた。

「うわ!」

カーゴはひときわ大きな声をあげ、思わず後ずさりした。

それもそうだろう。目が覚めたら、へんてこな仮面をつけた黒ずくめの人間がいるのだから。

「あ、あんた、だれだ!」

カーゴの震えた声での問いに、ノワールはあえて答えず、

「ご自分のおなかを触ってもらえますか?」

とカーゴに質問した。

カーゴは何を言われたかすぐには理解できなかったが、自分の腹を触ってみると、あったはずの傷がなくなっており、痛みも感じない。

「なんで?なんで?なんで?あなたが治してくれたんですか?」

そのカーゴの問いに仮面つけたノワールは答えなかった。


カーゴが周りを見渡すと、先ほど自分たちを襲った盗賊団たちが石造のように立ったまま固まって動かなくなっている。

「え?なんで???」

カーゴは目の前の光景を理解できずにいると、

「奪われたものはこれかどうか、中身も含めて確認してください。」

ノワールは先ほど、まとめ役から取り返したカーゴの袋を差し出した。

「え?これは?」

「盗賊団があなたから奪い取ったものです。中身が全部あるかどうか確認してもらえますか?」

「え?は、はい…。」

カーゴは言われるがままに、中身を確認した。中身は全く問題なく何も盗まれていなかった。

「だ、大丈夫です。何も盗られていません…。」


「よかった、まもなく騎士団が到着しますので、もうしばらくの間待っていてください。盗賊団たちは騎士団が到着するまでは、動かないでしょうから。」

そういうと、ノワールは煙のようにカーゴの目の前から消えた。

カーゴはまるで白昼夢を見ているかのように、しばらくボーとしていた。


その後、騎士団が、カーゴたちが襲われた現場に到着したのは、ノワールが去ってから30分後だった。

そして騎士団も、盗賊団たちが石造のように硬直している様子を目の当たりにし、何かの冗談ではないかと疑ってしまった。

しばらくすると、ノワールの針の効果から解放され、盗賊団たちは体が動きだしたところを、騎士団に逮捕された。

皮肉にもまとめ役に一蹴されたアインとベートがまとめ役の連行を担当したが、その時にあまりにもまとめ役がおとなしかったため、不思議に思った、とのことだ。

それもそうだろう。先ほど、自分たちを一瞬で切り伏せたまとめ役が、何の抵抗もしないで連行されているのだから。

実際のところは、まとめ役は何度もアインとベートを切りかかり逃走を図ろうと、しようとしていたのだ。

だが、それはノワールが打ち込んだ針のため、それを行動に移そうとするたびに体が硬直することが繰り返されたのだ。

そのため、連行されている最中、まとめ役は何度も、「なんでだよ、なんでだよ」と視点が合わない目で繰り返しつぶやいていた、とのことだ。

そんな事情を全くしらないアインとベートは、まとめ役の様子を見て、何かを企んでいるのではないかと、疑心暗鬼になり、連行中はずっと以上に神経をとがらせ、しまいにはノイローゼになりそうになった、とか。


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