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正義の執行人

ーーー横浜市明星町住宅街 21:43ーーーーーーーーーーー


 戦我原はいつものようにパトロールをしていた。すると、道の先の方から言い争う声が聞こえた。


「だから!俺は大丈夫だって!」


 そこでは制服姿の警察官が小学生くらいの子供に話しかけていた。警察官は補導したいようだが、当然子供は抵抗していた。そこに戦我原が近づいていった。


「やあ、弟よ。心配したよ。どこに行ってたんだい?」


驚いた様子の少年を横目に戦我原は即興で作った話を話し始めた。


「実は、さっき些細なことで弟とけんかしてしまって弟が飛び出してしまったんです。それで探していたんですよ。お巡りさん、ご迷惑かけてすいません。」


「そうなんですか。ならよかったです。」


警察官は安堵した表情で見送った。


「ありがとうございます。警官に補導されそうだったので。では。」


少年がお礼を言い、立ち去ろうとすると戦我原が呼び止めた。


「君、単刀直入に聞くが、君、虐待されているだろ?」


「僕はただ親と喧嘩してしまって…」


戦我原の質問に少年は怯えた表情で答える。


「じゃあ、なんで交番の方へ向かおうとしてるのかい?」


「それは…」


少年は無言のまま俯いた。


「本当は、警察に助けを求めようとした。しかし、警官に非行少年と間違われ、補導されそうになった。」


「安心しろ、僕は警察に通報する気はない。だから言ってみろ。」


「でも言ったら…」


「じゃあ、僕が家まで送ってあげよう。僕が話をつける。」


「大丈夫なの?」


「実は僕、正義のヒーローなんだ。だから話してごらん。」


「わかった…実は」


戦我原の言葉に少年は安心したのか、話し始めた。


少年は小学4年生の久我原界理(くがはらかいり) という名前で、最初は父親だけからだったが、最近は母親も一緒になって虐待していること、一度は警察が来て一時は良くなったが、また虐待が始まり、逃げ出したということを話した。


「よく話してくれたね。君はいい子だ。そんな悪い人は僕がやっつけてあげよう。」


戦我原は笑顔で答えた。


ーーー横浜市明星町住宅街久我原宅 22:00ーーーーーーーーーーー


「あのーすいません。あなたのお子さんを保護しました。」


戦我原は界理を連れ、久我原の家に上がり込んだ。


「えっ、なんなのこの子。」


侑介の母親はそう言い放った。


戦我原は母親の言うことを無視して間髪いれずに質問する。


「一つお話ししたいことがあるのですがよろしいですか?」


「えっ何?まぁいいですけど…」


侑介の母親は驚きながらも承諾した。


「実は彼が虐待を受けているって僕に相談してきたんです。界理君に対して暴力振るうのやめません?」


「私がしてるのはしつけです!!!!」


戦我原の話に界理の母親は机をドンと叩きながら反論する。


「戦我原さん、母さんを逮捕するのはやめてくれよ。」


「安心しな、逮捕はしないよ。逮捕はね」


戦我原がそう言った時机を叩く音を聞きつけた界理の父が奥から現れた。


「おい、何があった?」


「界理がチクったのよ。」


侑理の父親の質問に母親は答えた。


「なら親に逆らったから罰が必要だな」


それを聞いた界理の父は侑理に殴りかかった。


「それがあなた達の答えですか…わかりました。なら僕も…」


戦我原は界理の父親の拳を抑えるとフェニックスのカードを取り出した。


「君たちをしつけてあげよう〈フェニックス〉」


戦我原がそう言うと、炎が侑理の両親を包み込む。


「「熱い熱い熱い!!!!」」


「まだ前菜なのに?わかったこれで終わらせよう」


苦しみ喘ぐ二人に対し、戦我原は炎を消した。


「君たちは、言うことを聞かななったからとか理由で、熱湯をかけたらしいじゃないか。それに比べたら僕はマシだと思うけど?」


戦我原は無表情のまま、話を続ける。


「あなたには人の心ってのが無いの!?この人でなし!!」


それを聞いた界理の母は怒鳴りながら言い返す。


「それを君にそのまま返すよ。自分の思い通りにならないとすぐに、怒鳴りつけ、暴力を振るう、そんな人には言われたくないね。」


戦我原の言葉に、界理の母は何も言い返せなかった。


「じゃあ、最後の質問をしよう。なぜ君も、界理に手を出したんだい?侑理くんは、お母さんを信じていたんだよ。返答によってはもう一度バーベキューにするけど。」


「怖かった。最初は、自分も庇ってやられていたけど、そのうち怖くなって言うことを聞いてしまった。そのうち戻れなくなってしまった… 界理、ゴメンね…ゴメンね…」


侑李の母親は泣きながら界理を抱きしめ謝り続ける。


「少しは反省する気にはなったかい?」


「反省してます。今後このようなことはしません」


全身赤く焼け爛れた界理の母は泣きながら、戦我原に懇願した。


「うーん、どうしようかなー、ここは界理くんに決めてもらおう。」


そう言うと、戦我原は界理を呼ぶと、質問をした。


「界理君、これからどうしたい?このクズを許して痛い目を見るか、ここで裁かれて自由を得るか?」


「してあげて…」


「なんだい?」


「コイツなんか生かしても意味ないよ。僕はこれ以上苦しみたくない。だから楽にさせてよ!」


「そうか、そっちを選んだか」


戦我原がそう言い、フェニックスのカードで界理の母親を焼き払った。


その炎は部屋中を包み込みたちまち家に燃え広がっていた。


ーーーーーー横浜市明星町住宅街久我原宅 22:43ーーーーーーーー


戦我原は界理と共に燃え盛る家を眺めていた。


「綺麗だ…」


ふと界理は呟いた。その目はとても澄んで輝いていた。


正義の執行を終えた戦我原は立ち去ろうとした。


「待ってください。」


界理に呼び止められ、歩む足を止める。


「なんだい?僕は忙しいんだ。君にかまっている間に犯罪者が又罪を犯すかもしれない。」


「なら、僕を弟子にしてください。」


そう頼む界理に対し、戦我原は冷静に返答する。


「すまないね。君をこれ以上危険に合わせたくはないんだ。だから、明日までは僕の家に泊めてあげよう。そして明日、児童福祉課に行こう。」


「わかった。でもいつかは戦我原さんみたいに困っている人を助けられる人になりたい。」


「そうか、君が次の正義の執行人になってくれることを祈ってるよ。」


戦我原は少し微笑むと、界理と共に帰路を急いだ。


ーーーーーーーーーーーーーーー


翌日


「今日、暑いよなー」


「そうね。もうすぐ夏休みね。志門、夏休みになったら、色々出かけようね。」


「ああ、そうだな。」


二人が話しながら登校していると、ブルーシートがかけられた民家とと、何人かの人が集まって話しているのを目撃した。


時雨は近くにいた男性に質問する。


「何かあったんですか?」


時雨の質問に対して、気づいた男性が答える。


「俺も詳しいことはわからないが、この家が火事になってな。だが不思議なことに出火原因も出火場所もわからないんだそうだ。それにこの家にいた人も行方不明になってしまっていてね。最近、変な事件が多いから、気をつけるんだよ。」


「ありがとうございます。」


時雨は頭を下げると、志門と共に学校へと向かっていった。

3ヶ月ぶりです。シンワです。

色々リアルが忙しかったもので…

今回登場した少年〈久我原界理〉彼は一体どうなっていくのでしょうか…

急いで書いたため、誤字・脱字が多いと思いますが、訂正の指摘などをしていただけると助かります。

次回から、初の長編となります。時間がかかると思いますが、楽しんでいただければ幸いです。

引き続きCARD COLLECTORSをお楽しみください。

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