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黒い世界と虚空
黒い世界にいた
何も見えないのに自分だけは
はっきり見える
ボクが言った
『ボクはだーれだ』
ボクは僕
クスクスとボクは笑った
それが耳元で囁かれているようで
気味が悪い
僕は何も無いかを確認するように
闇に手を伸ばした
途端さっきまで見えていた手が
闇に飲まれて消えた
自分の体なのかどうかも
分からない手なんかよりも
暗闇に歩み寄りたいと思った
いっその事
僕全部を飲み込んでくれればいい
そうすればもう誰も傷つかない
それが1番だ
虚空を切った手は
何に引っかかること無く
だらんと落ちた
暗闇に臆せず入った




