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神様と心の臓
後ろ姿の人がいた
椅子の上にたっていた
目の前には輪っかになっている
紐がぶら下がっていた
後ろ姿しか見えないけど
泣いている様子もなく
躊躇いなく首に縄を通した
椅子はあっけなく倒れ
首を芯としてブラブラしている
それは人形のようだった
『自殺出来るのは人間だけなんだよ』
僕の中でボクの声が響いた
動物は自分で死ぬことも出来ない
可哀想だな
『可哀想だなって考えるやつは馬鹿だ』
なんで?
人間の方が可哀想だから?
『そーだよ』
なんで?
『自分で考えたら』
人間なんて脆い生き物だからかな
『かもね』
だから死ぬなんて行動になるんだよ
心の臓なんて体の中の
一つの臓器に過ぎないんだよ
それが止まるだけで
死ぬんだよ
いろんな臓器が
どんな動きをしても
心の臓が止まったら
簡単に死ぬんだよ
『笑っちゃうね』
どんなに優秀な人でも
いつか死ぬんだから
それが早いか遅いかは分からない
なのに自分で命を絶つとか
神様に逆らってるようなものだ
『それは神様が決めること』
君は神様じゃないの?
『ボクはただのボクだよ?』
じゃあ、僕も僕なんだね
いつかは死ぬんだよ
僕もボクも
『そーだね』




