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海岸の記憶
目が覚めた
海岸にいた
忘れ物を取りに来た
そんな記憶がある
忘れ物を忘れた
何をしようとしたんだろう
何がしたかったのだろう
思い出を忘れた
思い出せない思い出は
過去の偶像になる
記憶を忘れた
忘れたかった記憶
忘れたくなかった記憶
どんな記憶があっても
全て忘れたのだから
分からない
もうどうでもいいや
気付いたら暗くなっていた
ふと海に目を向けると
黒い波がうねっていた
『こっちにおいで』
甘い声で誘ってきた
いつの間にか
空に浮いていた月が
黒い波に反射して
不気味に蠢いていた
月が大きく揺らめいた
それに合わせて波がたった
そして波に呑まれた




