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傘と雨
今日も今日とて
雨の降る街を
僕は1人ベンチに座って
眺めていた
傘もささずに
雨に打たれていた
曇天から止むことを知らない
雨はずっと降り続いた
吸う息が体の中に冷たい空気を運ぶ
ふと雨が止んだ
空を見上げると
曇天の空に青空のような
傘が重なった
視線を前に向けると
黒い人が立っていた
どこもかしこも黒くて
人型をしているだけだった
顔も黒く
表情が読めない
何を考えてると
僕に傘を差そうと思うのだろう
黒い人は言葉じゃない音を出した
何を言っているのか分からない
言葉が通じない




