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鮮やかな霰
誰かに呼ばれた気がして振り向くと
目の前には扉があった
扉の隙間から光が漏れてる
僕は臆せずその扉を開けた
知らない街にでた
そこでは顔の分からない人達がいた
皆思い思い好きな事をしていた
嫌な声で騒いでいる人
ひたすら下を向いて歩く人
誰かと殴り合ってる人
小さく小さく蹲ってる人
逃げる様に走る人
顔が分からないから
表情が読めないのに
何故か皆心ここに在らずのように感じた
急に世界が暗闇に呑まれた
ありとあらゆる光が消え失せた
すると無数の霰が降ってきて
知らない人たちに
当たっては砕け散り
突き刺さっては消え
掠めては肉を削いだ
抉るような霰は降り注いだ
幻想的な霰はどこか薄ら寒さを感じた
永遠に思えるような時間が終わる
あとに残るは
思い出したように光だした世界に照らされた
『赤』を
『紅』で染めて
『朱』を上塗りしたような
『赫』の元人間だった臓物だけだった
散った霰が鮮やかに染まっていた




