序章:消えたキオク
まだまだ青二才なのでわからないことがいっぱいです。
皆様に最後まで
読んで頂けるような小説を書きたいと
思っていますので
どうか、よろしくお願いいたします。
・・・ん?
ここはどこだろう。
なにも覚えていない。
ふと目が覚めると見知らぬ白い天井が見えた。
俺は混乱している中、
隣で椅子に座っている青年に気がついた。
その青年は俺に話しかけてきた。
「うおい!やっと起きたなてめー!」
・・・てめー?
初対面のはずなのにえらい口のきき方だ。
俺は"ムッ"っとしながらもその感情を抑えて尋ねてみた。
「ここはどこだ?」
「はぁ?事故で頭でも打っておかしくなったのか?
どう見てもお前の部屋だろ。」
「・・・え?」
事故?
ここが俺の家?
試しに手足に力を入れてみた。
あまりにも正常に動いたので安心しながらも少しガッカリした。
なんて考えてる場合ではない。
俺は事故に遭った記憶なんかない。
混乱しているのを悟られないように青年に聞いてみた。
「俺はいつ事故にあったんだ?」
青年は飽きれた顔しながらだるそうに説明してくれた。
「3日前に自分で作った落とし穴に落ちたんだろ。
そんなことも忘れたのか?ホントバカな弟だぜ。」
おっ、おとしあなっ?
落とし穴ってあの落とし穴だよね?
自分で作って自分で落ちた?
しかしそれ以上に驚いた言葉を彼は発していた。
・・・俺が弟?
ということはこの青年は俺の兄貴?
そういえば落とし穴のことはおろか自分の名前すら思い出せない。
先ほど自分で発したはずの声も聞き覚えのないものだった。
そして・・・部屋にあった鏡を兄と称される人物に気づかれないように恐る恐る覗いてみる。
そこには見たこともない顔が映し出されていた。
また考えが混乱してきた。
とりあえず興奮する気持ちを抑えて兄と称される人物に話しかけてみる。
「すまない。何も思い出せないんだ。
落とし穴に落ちたことも、あんたのことも。そして・・・自分のことも。」
兄と称される人物は目をぱちくりさせて俺のことをじっと見ている。
なにかついてるのだろうか?
変な不安を覚えていると兄と称される人物は怒った口調で話しかけてくる。
「え?どういうことだ?思い出せないってなんだよ。
変な心配させといて今度はふざけてるのか?いい加減にしろよ?」
本当のことを言って怒られるとは・・・。
俺は泣きたくなったが今はソレどころではない。
「いや、本当になにも思い出せないんだ。信じてくれ。」
「じゃあ試しに聞くが・・・お前の名前はなんだ?」
俺は戸惑った。自分の名前すら思い出せない。
どうしたらよいのだろう・・・。
考えていると壁になにやら風景画が貼ってあることに気がついた。
見たところなにかの賞をもらっているようだ。
その片隅に名前が書いてある。
"麻白 隼兵"と書いてあった。
おそらく"ましろ じゅんぺい"と読むのだろう。
俺はわが意を得たりと自信満々に答えた。
「ましろ じゅんぺいだ。」
変な沈黙が流れた。
俺は不安になった。なにかまずいことでも言っただろうか?
「てめー!やっぱりふざけてんだろ!そりゃあ兄貴の名前だろっが!
それにまじろだまじろ!」
そうか。まじろと読むのか。俺は勝手に納得して満足した。
しかしすぐに我に返った。
すると俺の名前はなんなんだろう。
「今のはジョークだ。で、俺の名前はなんなんだ?」
こんなときにジョークを言ってられる余裕は俺にはない。
しかし必死に弁解した。
「お前は拓真だろ!麻白 拓真!」
俺は反応に困ってしまった。
自分の名前にピンとこなかった。
さすがに焦った。
こんな状態を記憶喪失というのだろうか。
いまいち実感がわかないがそう解釈した。
そして口に出し兄に説明をする。
「どうやら頭を打って記憶喪失とやらになったっぽいんだ。
本当に何も思い出せないし。」
やはり兄は驚いていた。・・・ように見えた。
「は?まじけ?お前運いいなー!」
・・・これが俺の兄か。
どこまで気楽なのだろうか。まぁ、めんどうなことにならなくてよかった。
すると兄は続けて言った。
「俺は今から学校行って来るから今日はとりあえず家でやすんでろ。」
そういうと兄は部屋を出て行ってしまった。
ちょ・・・、置いてきぼりかよ!
まぁこれで一人で色々考えられるからいいか。
そう解釈すると布団から出てけ伸びをした。