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臆病兎の錬金経営譚  作者: 桜月華
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91話 やらかした錬金術師

カレン・アシュリーの悪魔も真っ青な発明品による影響でルルア領地は未曽有のパニックに陥っていた‥‥



おいっ! 町が空飛んでるぞ!!


戦争よ! また戦争が始まるんだわっ


何でルルアが浮いてんだよ・・・


おい誰か戦闘職呼べっ


お母さぁん~


大恩あるアシュリー工房を皆で守るぞっ!!


竜だ! 以前にも現れた竜の仕業だ!!


そうだっ。 こんな異常な事竜の仕業に決まってる


また幻魔泣戦(げんまきゅうせん)が始まるの!?


コボルトさん安心してくれ、町の総力上げてアシュリー工房は守るぜっ



満員御礼のアシュリー工房に居た客の反応だけでこの有様だ

妖精は客達の混乱振りに大興奮で飛び回っておりコボルトが客達に慌てながらも冷静に指示を出す


「お客さんら落ち着いてくだせぇ! 子連れの方は子供の確認を、また地震が来るかもしれないんで外に出てくだせぇ!!!」


(なんだこの異常事態は!? 本当に戦争でも始まんのか…)


非常事態にコボルトは店内の客を外へと先導して散乱した商品棚を無視してカレンの部屋へと無事を確認しに駆け込む


(あいつは地下だろうし荷崩れに巻き込まれてねぇだろうな? 畜生、なんでこんな事にっ・・・・!)


「おいアリス! カレンは無事――――っは? 何だこりゃ??」


カレンの部屋に入ると室内は売り場とはまた違う阿鼻叫喚振りだった


星金貨500枚の商品をすっころんでパァにしてギャン泣きで嘆き悲しむカレン・アシュリー

魔導具の効果に空気も読まずに場違いに狂喜乱舞するお爺さん(賢者ルード)

震える手でエナジーポーションの空き容器を何度も口にするロックン(シャルマーユ皇帝陛下)

この結果に狂喜して大笑いするシャイタン(大悪神)

茶飲み姿のまま固まり放心する姉兎(アリス)


「カレンさんっ、カレンさん無事ですか!?」


更に追い打ちをかけるかのように偶々有給を満喫し自宅でのんびりしていたリールーが心配して駆け込みカレンの犯行がバレた。


床に蹲って泣いてるカレンの目の前には何かしらの破片が散らばっておりルードのおかしな狂喜振り、この一面だけでリールーは悟ってしまい腰を抜かしてへたってしまう


「な…な…なんてことを、カレンさん貴女なんて事を・・・」


「あっリルル聞いて! 星金貨500枚の魔導具が壊れちゃったの」


「この馬鹿っ!」


「痛いっ何するのリルル」


「今がどういう状況か解ってないんですか!?」


「え?」


カレン・アシュリーはまだこの異常事態に気づいていない

ドラゴンの魔導具を壊したショックの余り地震にすら気付かず泣き崩れていたのだ


リールーが切羽詰まった様子で端的に説明する

ルルアが城壁事浮上した事、住民は戦争を予期してパニックに陥ってる事、それでも一部の良心的な住民が団結してアシュリー工房を守ろうと自警団を組んでる事


どれも寝耳に水だった

説明を聞くにつれカレンの表情は青くなり自身のしでかした事を自覚する


自覚した結果


全力でとぼける事にした


「わ、私は関係無いわっ、戦争よ! 早く逃げましょ」


「―――貴女の其処の砕け散った魔導具が原因でしょ」


リールーがずばり指摘するがカレンはとぼける


「ち、違うわよ! これは全然関係無いの、きっと以前の竜様の仕業よ。早く荷造りしないと・・・」


忠誠を誓っておいてこの言いざまは竜の怒りが下りようものだが…


「待ってください。その魔導具の効果を教えくてださい」


リールーの最もな指摘にカレンは遂にそっぽを向いてしまう

代わりにシャイタンは愉悦を込めて端的に説明する


「使用者を宙に浮かす魔導具だったらしいが地に砕けてこの結果だ。大神でも権能無しだとこんな事出来んぞ。くははははっ!」


魔導具の効果が発揮してすぐ様シャイタンは配下に現状を確認させたがその結果はシャイタンをもってしても唖然とするものだった。


「あっシャイタンさんシー」


「ルルアが・・・ああ、ルルアが」


シャイタンの告げ口にカレンは諫めるがロックンは未だ茫然としていた


「ふひゃひゃひゃっカレン嬢の魔導具は無限の可能性を秘めとるのう!!! 神様でも出来んことをやってのけるとは」


ルードは街の危機などお構いなしに魔導具の効果に感涙し大興奮だった

事実神でも大地や空間、重力などといった権能無しに一都市を浮上させるなど出来ない


「私知~らない」


アリスも事の重大さを理解して全力でとぼける事にした

フードごしにうさ耳を抑えて知らぬ存ぜぬを通す腹積もりだ


「この馬鹿!!」


慣れた手つきでカレンの頭を叩きリールーがこの先の展望を思案して打開策を練る


「痛いっ」


慣れた痛みで涙目になるカレンだったが自業自得だ


「―――――コボルトさん」


頼りにならないアシュリー工房の面子にリールーが眼鏡を掛け直し的確に指示を下す


「あいよ」


「アマネさんと表の自警団に協力してあげてください」


「ああ」


アシュリー工房の前には戦闘職から民間人まで相当数の自警団が集まっており皆大恩あるアシュリー工房の為に集まっている


「アリスさんは自警団の方達の為食事を作ってください」


「はぁ? なんで私がそんな事を「やりなさい」


「ハイ」


リールーの冷徹な眼差しに耐え切れず納得させられる姉兎だった


「わ、私も姉様と料理に…」


「この馬鹿っ貴女は其処のいかれた魔導具の改良を何としても発明しなさい。今すぐ!」


一分一秒でも早くルルアを元に戻すのが最優先とカレンに新たな魔導具の作成を急かすリールーだが、カレンの反応は今一だった


「それが・・・ドラゴンの素材が・・・」


ドラゴンの素材を用いた魔導具の改良には当然ドラゴンの素材が必要なのだが生憎カレンの手元にもうドラゴンの素材は無い。その返事を聞いたリールーが溜息を付きつつ打開策を打ち出す


「はぁ、全く・・・組合長に説明してルルアにドラゴンの素材があるか確認してみます。兎に角今すぐ取り組んでください、今のルルアは経済都市なので一日でも早く戻さないと領主様が卒倒所か破綻しますよ」


事情が事情なだけにルルアの貴族でドラゴンの素材を家宝にしてる貴族が居れば領主の協力の元ドラゴンの素材が集まるかも知れないが可能性はかなり低い。ルルアの貴族でドラゴンの家宝があるとはリールーは聞いたことが無いからだ。


それでもこれしか打開策は無いとリールーは早速と組合長の元へ向かった。


リールーの指示の下其々行動に移ったがシャイタンとロックンとルードだけ卓に座ったままだった


「お、おいシャイタン。お前ならルルアを戻せるんじゃないか?」


シャイタンの出鱈目振りならこの状況を打破できるのではと一縷の望みをかけて縋るロックンだったがその返答はあっけないものだった


「俺には無理だ。配下の大地や重力を司る悪魔にも確認したがルルアを落とすだけなら可能だが領地の住民は潰れるとの事だ」


ルルア領地を元に戻すだけなら手段は幾つかあるがそのどれもが住民や建造物への被害がでるもので綺麗に元通りとはいかなかった


「そんな・・・・・」


「くくくっいっその事浮上都市ルルアと割り切ってはどうだ? 益々栄えるぞ」


数多の星を知るシャイタンからすれば浮上都市も珍しくなく、此処ルルアもそうしてはどうかと結構真面目に提案する


「おお!! それは良い案じゃ」


ルードは益々乗り気でその案を快諾するが‥‥

他星の浮上都市と異なり此処110の星では浮上都市と地上の行き来ができないのにどうしろというのだとロックンは2人のやり取りに匙を投げた。


「もう嫌だ」


その後、流石に陛下と賢者が一都市に足止めは拙いとシャイタンに頼んで転移でロックンとルードは本国に無事帰還出来た。


ルードは顛末を見届けたいと渋っていたがロックンの強引な連れ出しで事なきを得た

本国へ戻る前にロックンはシャナードの元へ赴き事のあらましを包み隠さず伝え取り急ぎ、戦争の危機は無いと伝えた


そして5日後、カレンの魔導具はドラゴンの素材が無いので机上の空論で幾つか錬成陣は完成したが…

やはりルルア領主の呼掛けであってもルルアにドラゴンの素材を保有してる貴族は居らず、ルルアの現状は変わらず浮上したままだった。


抑々アリスとシャイタンならドラゴンの素材どころかドラゴンの死骸そのものを用意できるのだが2人ともこの状況を面白がって静観していた…


アシュリー工房-カレンの部屋-


「どうしましょ」


カレンがお手上げと言わんばかりに匙を投げる

一緒にいるのはシャイタンとリールーでアリスは自警団用に炊き出しの準備中だ


「錬成はどれぐらい進んだんですか?」


リールーがこの5日間毎日欠かさない進展状況を確認する


「ドラゴンの素材で実地してみないと何とも言えないけど、恐らくは浮上の逆作用のある宝玉ができるわ」


元々失敗作の錬成品の反作用を創るのだからカレンなら容易く錬成陣を幾つか完成させたのだが…やはり肝心要のドラゴンの素材で行き詰った。


「はぁ~後は肝心のドラゴンの素材だけですか・・・」


紅茶で喉を潤し一息ついたリールーだがやはり素材でどうしようもないとうなだれてしまう

ルルア領地に素材が無くてもロックンに頼めば入手はできるだろうが、その肝心のロックンも此処ルルアで足止めされてると思ってるリールーはお手上げだった。


「カレン様なら地上とルルアを行き来する魔導具を作成できるのでは?」


根本的解決とは異なるがシャイタンは真面目な打診だった


「え? それは、どうだろ」


「ちょっとシャイタンさん、それじゃ問題解決にならないですよ」


リールーが釘を刺すがシャイタンは愉悦の笑みで答える


「くくくっ益々此処ルルアが観光名所として栄えるぞ」


そう、カレンの魔導具によってルルアが浮上したのならそれを活かす方向でシャイタンは考えていた


「確かに・・・地上と行き来する魔導具挑戦してみようかしら? いえ、挑戦してみるわっ!!」


ドラゴンの素材も無く、進展のない現状で唯一模索できるとカレンは意気込み地下工房に駆け込んだ



一方その頃シャルマーユ皇城では




「陛下、ご命令にあったドラゴンの素材の手配は済みました」


本国に帰国してすぐ様ロックは貴族の家宝一覧からドラゴンの素材を家宝にしている貴族を探し当てシグルトを介して蒐集する手筈を取った


「そうか、ご苦労。手放した貴族への礼は厚く頼むぞ」


「はっ」


皇帝陛下の命とはいえ家宝を徴収されるのは手痛いのでその補填を忘れず厳命する

後に家宝を手放した貴族にはドラゴンが発見されたら皇帝陛下自らドラゴン討伐へ赴きその死骸を丸々譲ってもらう約束を交わし貴族は益々箔が付くと大いに喜んだ。


「これで素材は揃ったが・・・」


「肝心のルルアへ行く手段がありませんね」


「ああ、あれ以降アリスもシャイタンも姿を見せないしどうしたものやら」


ロックの影に控えているスイに頼もうにも陸続きで無い為かルルアへの影移動は出来ずアリスかシャイタンの来訪を待つしか無かった


「事が事だけにおてんば姫にも頼めませんし困りましたね」


一応ルルアへ赴く手段のある賢者もいるのだが2人と浅からぬ因縁がある為隠匿となっており頼むに頼めなかった


「こればかりはあの2人が来るのを待つしかないとしてだ、それまでにルルアの来賓客への補填を算出するか」


「承知致しました」


自然災害なら兎も角、今回は人的被害なので表向きの説明とは別にルルアに集まっている貴族達へ補償が必要になるのだが、その金額がルルア領主シャナードが真っ青になる程で一領主で責任が持てない額なので本国で建て替える算段となった。


こうしてなんら進展の無いまま2週間が過ぎた


ルルア領地は相変わらず浮遊したままでカレンの地上を行き来する魔導具もまだまだ進展も無く、ルルアでは大勢の観光客が足止めを喰らっていた。


普段のルルアならいざ知らず、今のルルアは2重の税の引き下げで観光客や商人だけに限らず地方・他国からの貴族の来訪も凄まじく、そんな状態での今回の騒動は正に裏目だった…


そして今回の騒動解決のドラゴンに関してだが、シャイタンは現状を楽しんでおり解決する気が無く、アリスは炊き出しに駆り出され文句を言いつつもドラゴン狩りをせずにカレンと過ごしていた。


そんな折、カレンがロックンやお得意のお爺さんが姿が見えず心配だというのでシャイタンがロックを迎えにシャルマーユ皇城の執務室に転移し、やっと来たかとロックは文句を言いつつもドラゴンの素材を抱えてシャイタンと共にアシュリー工房に転移する





「あ、ロックン」


「ああ、久しぶりだなカレン」


アリスは台所に缶詰状態でコボルトとアマネは自警団に協力しておりロックを迎えたのはカレンだけとなった


「姿見えなかったけど宿大丈夫? なんなら此処に泊っても大丈夫よ」


リールーから今回の騒動で宿が何処も予約で一杯で急遽キャラバンサライ地区に仮設住宅を建てて凌いでいると聞きカレンはロックンとお得意のお爺さんを心配していたのだ


「いや宿は無事取れたから平気だ。それよりこれ使ってくれ」


カレンの心配は無用とロックは背負っていた荷物を解き机に並べる


「こ、これは!? もしかしてドラゴンの部位?」


カレンが待ち望んでいたそれらは成体のレッドドラゴンの眼球と角、鱗が8枚あった

鱗でカレンがそれらが何かを察した


「ああ私物で丁度持ってたから現状打破に使ってくれ」


とある大貴族の家宝だったがルルア浮上騒動解決の為と譲ってもらった一品物だ


「こ、こんな高価な物譲ってもらっていいの!? 今私お金無いけど・・・」


「俺も現状に困ってるからな。早くルルアには元に戻ってもらいたいから遠慮せず使ってくれ」


ロックの本心である。


「ロックンありがとっ。これでリルルからの苦情から解放されるわ、早速私錬成してくるわっ」


普段ならこんな高価な物受け取れないと固辞するのだがこの2週間リールーに散々苦情を言われ続けて参っていたカレンは遠慮なく受け取り早速とばかりに地下工房に駆け込んだ。


「ああ、そうしてくれ」


「ふむ、これで浮遊地も解決か。俺としてはこのままのほうが面白くていいんだがな」


黙って顛末を見ていたシャイタンがカレンが地下工房に降りた所で感想を零す

この2週間ルルア領地の住民の困惑振りに妖精と共にシャイタンもフラミーも大いに愉悦を味わい楽しめた


「馬鹿を言うな、この2週間でルルアに集う貴族や大商人への補填はとんでもない額になったんだぞ」


ロックの苦言通り領主シャナードから領地に居る貴族や商家の確認を取り、この2週間の足止めに掛かった補填額は財務大臣も真っ青になる程だった…


カレンに無事素材も渡せたので次なる用事とロックはシャナードの元へ向かい錬金組合のバージルも呼出し今回の騒動の補填の目途を付けに向かう。




その日の夕餉前


地下工房から「出来た~!!!」と一際大きい台詞がアシュリー工房に響き今回の騒動の発端となった魔導具の反作用効果のある魔導具を完成させた。


ドラゴンの素材は鱗が5枚残りこれにもカレンは大喜びだった。


そして隣宅のリールーに完成した魔導具を見せに行った所、リールーは久方ぶりに安堵してその魔導具の感想よりも早く使いなさいと言われ、カレンが地面に叩き割ったら発動すると言うのでリールーはひったくって怨みを込めて勢いよく地面に叩きつけた。



数分後、またもルルア領地は揺れ始め、ゆっくりと下降を始める



シャナード宅で熱く語り合っていたロックとシャナードとバージルは事態の収拾に向かったと安堵し、ルルア領民もやっと竜の機嫌が直ったと誤解を突き進め、錬金友達であるルーシェと親しい友人でもあるシドは運良くルルアを離れ其々故郷に戻っていたので今回の騒動を知らず、アシュリー工房では問題解決と大いに宴を満喫した。


かくしてカレンによる一連の騒動は表沙汰になることなくルルアは元に戻り、ルルア領地は落ち着きを取り戻した。



ルルアが元の形を取り戻して一週間後、市井では今回の騒動は竜の仕業ということになっており専ら巷では何が竜の怒りに触れたのか噂が絶えず、アシュリー工房では客達のその話を聞いて居たコボルトに意見を求められはぐらかすコボルトだった。


(むしろ今回の騒ぎが竜様の仕業になった事で怒りを買うんじゃねぇだろうな)


コボルトの心中はその一点に尽きた


そして閉店後、近年稀に見る上機嫌振りで笑顔のリールーが訪ねて来た


「コボルトさんどうも~♪」


「へ、へぇ…リールー嬢さんどうされたんで?」


久方ぶりのリールーの笑顔にコボルトが若干警戒しつつも要件を切り出す


「ふふっ。実はカレンさんに大事な話がありまして、カレンさん呼んでもらえます?」


「はぁ、ちょいとお待ちを」


カレンの部屋へ行きカレンを呼び出すコボルト

柱から顔だけ覗き込んでカレンがにべも無く言い放つ


「何よリルル、あれから言われた通り魔導具の作成は自粛してるわよ?」


あの騒動の後、カレンがドラゴンの素材余ってるから他の研究を、と口を滑らし、それにぶち切れたリールーがカレンの魔導具研究禁止令を出したのだ


「それは何より、其れよりカレンさんもっとこっちへ近づいてください」


カレンの第一声を聞いて益々笑顔になったリールーが手招きをしている

此処でカレンもリールーの様子が可笑しいと悟ったが不用心にもひょいひょい招かれてしまうカレンだった


「? な、なに?」


「実は今回の騒動で本国からカレンさんに素敵な贈り物があるんです♪」


「え? 何々もしかして事件解決したお礼?」


マッチポンプにお礼をする国など無く…

それに気づかずリールーの目の前に笑顔で立つカレン


「はいこれ」


実にいい笑顔でリールーはカレンの首元に一本のネックレスを付ける


「何これ首輪? って、ちょっと!? これ外れないんですけど!!」


その妙に不出来な首輪を掴むも首元にぴたりと張りつき剥がせないでいるとリールーから説明が施される


「カレンさんの為に本国で急遽作成された拘束具です。それとこれ、受け取ってください」


懐から一枚の書類を取り出しカレンに超現実的な事実を突き付ける


「拘束具って、なんでよ!? ―――――なにこれ、なにこれ…ぇ、ナニコレ?」


拘束具に手を当てたまま固まってしまうカレン




リールーの掲げるその書類には今回の騒動による金銭的負担をカレン・アシュリー個人が負う事となりその額驚きの星金貨400万枚だった。


視覚だけでは理解できないでいたカレンに口頭でも説明され泡を吹いて気絶してしまうカレンだった。


かくして幻神歴2961年3月30日カレン・アシュリーは借金奴隷となった……

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