90話 やらかす錬金術師
幻神歴2961年3月12日
アシュリー工房-地下工房-
ホワイトドラゴンの素材、鱗・眼球・尻尾の研究は入手してから半年以上経つが今だ進展が無い
なまじドラゴンの素材効果が凄まじいだけに可能性が多く、カレンの技量をもってしてもコンセプトが定まらないのだ
それでも研究は一歩一歩進み、ドラゴンの尻尾は購入時1m程だったのが今では半分の50㎝程となっている
これ以上の部位の損失は駄目だと一旦研究から離れコンセプトを定める事にしたカレン
(どれがいいかなぁ)
最初に閃いた魔導具は知的好奇心を兼ねた護身用にとドラゴンブレスを自由に再現できる物を、と思ったが肝心のドラゴンブレスを見たこと無いので頓挫、後にその資料をリールーに見られしばかれた
次に閃いたのは噂に聞くドラゴンの強力な催淫効果を利用した催淫香水、これは子宝に恵まれない家族に良いと思ったのだがリールーに「ルルアを強姦都市にするつもりかっ」とまたしばかれた
そしてさっき閃いたのがドラゴンの鞄だ。マイ鞄が無かったので丁度いいと思ったのだが翌々考えたら超最希少のドラゴンの素材で鞄とかありえないと頓挫したばかりだ。
(皆の意見でも聞いてみようかしら)
自室に上がると姉がベッドで微睡んでいた
「姉様、姉様」
「ん? どしたのカレン」
「ドラゴンの素材での魔導具に進展が無くて、何か助言があれば欲しいです」
「ん~ドラゴンの魔導具ねえ――――ドラゴンといえば偉そうで空飛んでうざい位しか感想ないなぁ」
姉の感想からはかつてドラゴンと対峙したことが解る内容だったが、カレンは気付かず他の人にも聞いてみようと意気込む
事実アリスは竜種とは今まで2体としか争った事はないがドラゴンは数えきれない程対峙し退治してきた
「そっかぁ」
次にコボルトに聞いてみた
「馬鹿なもんに使わないで売れ」
役に立たない相棒だ
次にアマネに聞いてみた
「ドラゴンの魔導具ですかぁ。今まで以上に凄いのは確かでしょうけど私も思いつきはしないですぅ、でも応援してますよぉ!」
可愛い声援を貰えた
シャイタンにも聞いてみた
「おや、まだ手元に残ってたのですか? てっきり既に灰にしたとばかり、之は申し訳ありませんでした」
なんて意地悪な奴だ
続けて森(神域)を散策してるとティターニアにも会ったので聞いてみた
「遺跡よっ! 遺跡の奥に隠して苦難の末に辿り着いた財宝が実は偽物でしたって最高じゃない」
全然最高じゃない
呆れて帰ろうとしたらフラミーに出会った
「おやカレン様、採集ですか?」
「違うの実は――――」
フラミーにも事情を打ち明けるカレン
「成程、ドラゴンの魔導具で悩んでいる。と」
「そうなの、何かいいアイディア無いかしら」
座り込んだフラミーに寄りかかり今までの人達同様尋ねるカレン
「ふむ、そういう事でしたらカレン様」
「何々」
「何が出来るのかはさておき、先ずは自分が何をしたいか考えてみては如何でしょうか?」
「ふむふむ・・・何をしたいか。。。。」
「う~ん」
無意識にフラミーの頭を撫でながら考え込むカレン
今迄ドラゴンの素材ということもあって確かにその可能性に期待して自分の意思は介在させてなかったと改めて思い知る
「所でさ」
それはさておき、横道にそれてつい以前から気になってた事を尋ねるカレン
「はい」
「フラミーもリリーみたいに翼あるけど飛べないの?」
フラミーにはリリーより立派な大きい黒翼があり気になっていたのだ
「飛べますよ」
即答だった
「!?」
カレンはその発言に驚かされうさ耳も驚きから逆立つがそれと同時にとある欲求が沸々と沸き起こる
「じゃ、じゃあ私を乗せて飛ぶ事も出来たり・・・」
「ええ、造作も無いです」
普段飛ぶ際は飛行魔法を行使してるフラミーだが自前の翼で飛ぶ事も勿論可能だ
「「・・・・・」」
驚きの余り一分程見つめ合い沈黙になったがカレンの意を悟ってフラミーから持ち出す
「良かったら乗ります?」
「いいの!?」
嬉しさの余りうさ耳が垂れるカレン
「ええ」
「じゃ、じゃあ」
フラミーには体格以上の翼があるのでリリーのように単純に跨るのは難しいので前のめりに跨りフラミーの首元にガッシリしがみ付く
「しっかり捕まってくださいね。人目に付くと拙いので高く飛びますので」
そう言うと同時にフラミーは黒翼を羽ばたかせカレンを背に難なく浮き、凄まじい勢いで急上昇する
「おおおおおおおおおお」
フラミーの首元にしがみついたカレンだが恐怖心もあったが始めて見る眼下の光景に圧倒され好奇心が勝って大興奮だった。
「如何です? カレン様」
今迄背に誰かを乗せるという事が無かったフラミーで以前の主だったシャイタンですらフラミーの背に乗る事は無かった。
シャイタン自身が飛行も転移も可能だからだが、その何方も行使できない新たな主に背中を預ける機会が巡って来た。
「凄い凄い!!!!! 町が一望できるわっ」
アシュリー工房の遥か上空で停止してフラミーが感想を尋ねるが言うまでも無くカレンは大満足だ
手を放すのは怖いのでしがみ付いたままだがこれで手が空いていたら拍手喝采する所だ
眼下のルルアだけに限らず名も知らない隣街まで視界に入り、どちらも人と建物でごった返しておりその光景はカレンには新鮮だった。
「折角なのでこのまま世界回ってみましょうか?」
主の興奮振りからつい軽く提案をするフラミー
フラミーの飛行速度なら世界を回る事は半日も掛からず可能故の提案だ
「世界!? 凄い是非お願い!!」
人は怖いがいつか他の街等で綺麗な光景を目にしたいと願っていたカレンの思惑がこんな形であっさり叶うとはカレン自身驚きで即答で願う
こうして一羽の兎と一柱による世界一周が始まった。
背に載せた主に負担がいかない様反射の魔法を重ね掛けして凄まじい速度で空を駆けるフラミーがふと主に問いかける
「時にカレン様はこの星の大陸が元は1つだったのは御存じで?」
「そうなの?」
「ええ、幻魔涙戦で大陸は4つに別れ、今いる此処は南東に位置するシャルマーユ大陸としてシャルマーユの他にフルーラ・ミスキア・ガナセルスそしてシャルマーユの属国となったテリアとパラミスがある比較的平穏な大陸です」
フラミーの言う通り南東のシャルマーユ大陸は他の大陸に比べたら牧歌的で落ち着いている
アリスがカレンと再会して安住の地として選んだだけに解るという物
大陸が分断される前はシャルマーユ地方は物騒だったのだが、分断後ロックによる革命でシャルマーユ大陸はアリスの眼に叶いテンゲン大樹海に居を構えた。
「へぇ~物知りぃ」
「人文学の権能がありますので人の営みについては大抵の事は」
人文学とは人間本性を追求した物で人間の行動原理や行為をフラミーは手に取るように理解できる
「アマネやシャイタンさんといい権能って本当便利ね・・・ね、他の大陸も行ける?」
未だ権能の本質を理解してないカレンは単純に羨ましいと思ったが、眼下に以前に訪れたシャルマーユ本国の皇城を見てまだまだ欲求は収まらないと他の大陸へと問う
「ええ、では南西に位置するドルシア大陸へ行きましょう」
船で3週間は掛かる航海もフラミーの飛行速度なら瞬く間でシャルマーユ大陸を離れドルシア大陸に着いた
「なんか・・・シャルマーユと違って何て言うか、ごてごてしてるわね」
生まれて初めて別大陸を目にしたカレンの正直な感想だった
「此処ドルシア大陸にはドルシアの他にジース・ヴェンド・クラン・デクルス・そして合衆国のセンドがあり大陸の特徴としては機械文明が発達してる事でしょうか」
ドルシア大陸では幻魔泣戦時の獣種への恐怖から抜けきっておらず、幻獣師、召喚師の地位は低く、その分機械で補っており4大陸で一番機械文明が発達しており各組合にある身分証作成の神器もドルシア発祥の物だ。
「ねぇ、なんかあちこちから煙が上がってるけどあれは何?」
遥か上空に居るにも限らずカレンの元まで届く機械音に圧倒されるがそれ以上にそこら中から煙が立ち上っておりそちらが気になるカレン
「あれはガスタービンです。ドルシア大陸では幻獣や召喚獣より機械を重視しておりガスタービン機関で国内を移動してるのですが、あの煙は体にあまり良くないので次へ行きましょう」
「ええ」
次なる目的地は寒冷地で今の装備で行くと体が冷えると心配し、反射に加えて熱風を纏うフラミー
豪雪地帯で視界は悪いが主に負担がいかない様配慮は忘れない。
「凄い雪ねっ」
「ええ、この大陸は年中雪が降り積もる寒冷地帯ですから、寒いのは苦手ですか?」
「いいえ、私元々テンゲン大樹海に住んでたから雪は慣れてるし好きよ。夏の暑さより冬の寒さのほうが好きね」
「なるほど、着きました。ここ北東はトルネリア大陸で海洋国家トルネリア・ペルナンサス・イシエイスの3大大国が支配してるのですが今は3カ国共戦争が予想されており物騒です」
大陸を3つの国で支配してる以上各国がシャルマーユ以上の大国ではあるがペルナンサスの度重なる失点で戦争寸前にまでこの大陸は張りつめており、各住民は別大陸へと避難を企てるがペルナンサスの御触れにより港には兵士を配属されており脱走者を防いでいる。
「此処がペルナンサスねぇ~ペルナンサスの秘宝のアイスルーンワンドであのアイスボックスできたから感謝してるわ」
そんな背景を知らないカレンはかつての秘宝の国と知り眼下の視界が悪くて見にくいが朧気に見える城に感謝の念を込める
「なんと、あの甘露はこの国の秘宝から生まれたのですか」
フラミーもお気に入りの神樹の果実の氷菓子の出元を知り軽く驚く
(たしかあの大戦時アリス様はグラムを賭けてましたね―――カレン様も秘宝を錬成といい主姉妹は神器泣かせな方々ですな、くくくっ)
「ええ、お礼言いたいとこだけど流石に秘宝を錬成しましたなんて言えないしね」
コボルトの口を酸っぱくした説教により秘宝を錬金術に使う事の暴挙振りが朧気に理解したカレンだった
「確かに、それに此処トルネリア大陸の現地語は言葉の訛りが酷く会話が難しいでしょう」
此処110の星に限らず星々は数多あるが其処に居着いた住民の言語は殆ど統一されているが一部は訛りのせいで会話が難しい所もありこの星ではトルネリア大陸が正にそれだ。
「次は…北西かしら?」
雪化粧のせいで観光もなにもないので残る大陸へと期待を込めるカレン
「ええ、この星で超大国ルギサンドが治める大陸ですな、行きましょう」
ルギサンド大陸は110の星で一番人口の多い大陸でルギサンドが事実上この世界のトップでありそれに付随して宗教理念でとある宗教国と同盟を結び現人神を国教としている
「うっわ~見渡す限り建物ね」
ルギサンド大陸に到着したカレンの第一感想は目まぐるしい程混雑してる事への驚きだった
「此処北西はルギサンド大陸で他にも宗教国シス・キルランド・ギルメア・他13の小国があるこの星で一番の巨大大陸で人口も一番多いです」
フラミーの言う通りルギサンド大陸はこの星で一番の面積を誇る大陸だが、それ以上に人口爆発が住居の建築を追い越しドルシアの機会文明も取り入れルギサンド大陸ではどこもかしこも人で溢れている
「ん~人が多いなら私は行きたくないわね」
景色としてはシャルマーユ大陸にドルシアの機会文明を取り込んだ様な光景だが上下左右どこを見ても祭りでも開いてるのかと思えるぐらいの混雑振りに気後れしてしまうカレンにフラミーも同意する
「―――それがいいでしょう、この大陸では妖精狩りや亜人狩り等盛んで街中で奴隷を連れ回す様な物騒な国々です」
異端審問官発祥の地だけに差別思想の激しい大陸でもあり、少しでも悪目立ちしたら亜人や獣人というだけで奴隷に出来てしまう人間種至上主義の大陸だ。
低位の妖精もこの大陸では狩られる側で背中の羽はルギサンド大陸では星金貨以上の期待値で取引されている
「うへぇ・・・・・自分も狩られる側だから他人事じゃ無いのよね」
無害な亜人でも奴隷とされてしまうこの地は玉兎族のカレン・アシュリーには厳しいと見切りをつける
そして眼下の賑やかな光景を無視して気になった事を尋ねる
「あれ、そういえばソフィの国が無かったわね」
「ソフィと言いますと主姉妹のご友人のソフィアの事ですかな?」
「そう! なんとソフィはお姫様なのよっ」
「では折角なのでソフィアの統治するゼファースへ行ってみましょう」
反転して途中まで来た道を戻りシャルマーユ大陸とドルシア大陸の間にポツンとある小島の上空で静止し、フラミーが眼下の島がゼファースと伝える
「うわ~小さいけど綺麗な所ね」
世界最小国で人口はルルア程のゼファースにカレンが驚いてキョロキョロ見渡すがルルア以上に自然の多い天然の島国という感想だった
「此処はシャルマーユ大陸とドルシア大陸の中間にある島国で幻魔泣戦時唯一被害の無かった国でソフィアのカリスマも合わさって世界一安全な国と言われています」
「被害が無いって、大陸分断されたんでしょ?」
「元々ゼファースは大陸から離れたこの地を治めてるのですよ」
何故空白地帯もある大陸ではなく態々大陸から離れた島国を選んだかというとゼファースの地には隕石が落下し、異界化した事で星石が発掘され、その希少価値からソフィアは島国を選んだ。
元々当時すでに錬金術師として大成し、地学も修めたソフィアの先見の明の賜物だった。
「へぇ~。 ね、フラミー」
「はい、何でしょう」
「私だけじゃなくて姉様も乗せることできる?」
「ええ、問題有りません」
「ほんとっ!? じゃあ今度姉様とゼファースに降りて見ましょ」
後に姉妹兎のゼファース観光が決まった瞬間だ
「了解致しました、それでカレン様、魔導具の知恵の一助になりましたかな?」
初志貫徹フラミーはドラゴンの魔導具の手助けになればと世界観光を提案したのだが肝心のカレンが驚きの連続でそのことをすっかり忘れていた
「・・・あっ、そうだった。ん~~~」
フラミーに跨ったままゼファースの上空で可愛く小首を捻らすカレンだが今回の世界旅行で1つ思いついたのがあり閃く
「閃いた!!! フラミーのお陰で良い魔導具が思いついたわ!」
「それは重畳です」
「早速帰りましょ!」
「はい」
帰宅後、早速カレンは魔導具の研究に専念するがどうしてもとある材料が足りず姉に頼る事にした
その材料というのがガナセルスの王族が占有している超希少金属でもある反重視結晶だった
以前マリステラの体重減の為にアリスとシャイタンが用意したもので今回も姉に可愛くおねだりしたところ2つ返事でアリスは快諾してその日の内に用意してのけた。
言うまでも無く王族が占有してる金属をなんの伝手もないアリスが貰える訳も無く、早い話前回同様盗掘だった。
こうして材料が揃った今、大規模錬成台の上には30を超える素材がありその中にはドラゴンの素材も含まれている
前代未聞の錬成なので成功するかは賭けだったがカレンの研究度合いと尋常ならざるエーテルの活性により錬成は成功・・・したかのように見えた
「あっ!!!」
手遅れで素材は全て消え大規模錬成台の上には10㎝程の宝玉が光り輝いていた
世紀の錬成の結果はカレンには微妙でうさ耳はしょんぼり垂れていた
それでも一応の効果は在る筈なので錬成された宝玉を持って自室へ結果報告する
「おお、カレン嬢。姉君とお茶頂いとるよ」
自室ではいつもの面子のアリスとシャイタンの他ロックンとルードが居りアリス手製のお茶と菓子を満喫していた
ロックンはいつも通りだがルードは最初買い物客としてきたのだがカレンが錬成中との事でアリスに誘われ自室で一緒にお茶を満喫していた。
「あらロックンにお爺さん、どうも」
友人のロックンに最常連のお爺さんまでいれば気分も向上するものだが今はそんな気分では無くフードの中のうさ耳も元気なく垂れていた。
そんなカレンの様子に気付かずアリスが錬成の成果を問う
「戻って来たって事はドラゴンの素材の魔導具完成したの!?」
「なんと! ドラゴンの素材を錬成したのか!!」
ルードが興奮気味に食い入るが反面カレンは沈んでいた
「それが・・・・」
「どしたの? いつになく歯切れ悪いわよ」
「一応成功はしたんだけど・・・」
「おお! どんな効果なんじゃ?」
「カレンとドラゴンの素材か・・・また凄いのが出来てそうだな」
ロックンだけエナジーポーションの準備して心構えを強く持つ
「空飛べるの」
カレンの一文に場は沈黙となり静まり返る
「「「「・・・・・」」」」
効果を聞いた4人は反応が綺麗に別れる
アリスとシャイタンは自力で飛べるので魅力を感じなかったが、ロックンとルードは別だ
正確にいうならアリスとシャイタンが異常なだけでこの星の住民からすれば空を飛べるとなれば誰もが驚くべき品だ、なにせ飛行魔法は戦中にのみ許された戦術級魔法の更に上の厄災級、それも古代のものなので魔法師でなくても垂涎の逸品だった。
「あ、あ~・・・それって空中に浮くの? それとも自在に空飛べるの?」
姉が追求するが遂にカレンは膝を折ってその場で泣き崩れる
「ううぅ・・それが自在に飛べるように考慮したんだけど空中に浮くぐらいしかできないの。それも一度きりの使い捨て・・・あぅ、折角のドラゴンの素材がぁ~」
そう、フラミーとの世界旅行をヒントに空を飛べる魔導具を開発したのだが、カレンの目標には届かず使用者が浮くだけとなり、しかも使い切りとドラゴンの素材を使ったにしてはカレンとしては涙目な結果となったのだ
「一度きりでも空に浮けるなんて凄いじゃないか!」
ルードは戦術級でも空に浮く事は出来ない事を知っているのでその凄さを説き目の前の宝玉も買おうと決めこむが、エナジーポーションを呑み終えたロックンにシャイタンが耳打ちする
(おい剣聖、貴様なら有効活用できるんじゃないのか?)
(・・・確かに。一方的に安全に蹂躙できるな)
剣術士が1人宙に浮いても戦果に影響ないがそれは剣聖となれば話は別だ
空中から斬撃を飛ばすだけで敵軍を一方的に蹴散らす事も可能だ
其れに思い至りルードより先にロックンが欲しがる
「なあカレン、それ俺に売ってくれんか?」
「なっ!? ロックン殿、カレン嬢の魔導具は儂が買うつもりですぞ」
「国力強化優先だ諦めろ」
「お爺さんはいいけどロックン許可証持ってるの?」
「―――あっ」
アシュリー工房の特別売買許可証はルードには発行してるもののロックンは無用と所持してなかった
「ロックン殿は無いようなので儂が買おうかの、幾らじゃ?」
「ん~・・・ドラゴンの素材を使ってるけど失敗して使い切りだし、星金貨500枚でどうかしら?」
「買った!」
(おいルードっ! 後で渡せよ)
(自費で買うんだから自分の物にしても問題無い筈ですぞ)
カレンが立ち上がりルードに手渡そうとした所でカレンの不運が発動した
けつまずいて宝玉を落としてしまったのだ・・・・・
「あっ」
あわれ星金貨500枚の宝玉は地面に激突して砕け散る
そして誰も望まない奇跡が始まる
幻神歴2961年3月19日
数舜してルルア地方では珍しい地震が起きるがその震度が尋常じゃなく、大地震だった
家の中に居た連中は気付かなかったが・・・
ルルア領地が城壁ひっくるめて地殻事空中に浮上した。




