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臆病兎の錬金経営譚  作者: 桜月華
85/148

85話 コボルト遊技場

幻神歴2960年12月17日



「遊技場? それはカジノとゆうやつか?」


「ええ、シャルマーユでは公共の合法カジノはありませんがそれを此処ルルアで経営したいと思っていやす」


昼過ぎ、驚きの提案を出したのはコボルトで場所はルルア領主シャナード家の客間


以前の領主によるアシュリー工房貸し切りの際にルルア領主と友誼を結んだコボルトがカレンの茶葉や新作料理を手土産にシャナード家を訪ね、以前にちらりと話題に出した相談事を持ちかける


その相談内容が遊技場だった


シャナードは顎鬚を撫でコボルトの話を熟考する


「ふむ・・・また突飛も無い話じゃな、友の意は汲んでやりたいが…カジノとなると儂の許可は出せるが―――コボルト殿はシャルマーユに公共カジノが無い理由は知っての提案かの?」


荒唐無稽と言う程では無いがかなり突飛も無い話題だったので先ず現状のカジノについてコボルトに確認を取る


幻魔涙戦(げんまきゅうせん)以前はそれこそ村以外何処の辺鄙な街でも公共カジノは乱立する程あったが戦争以降シャルマーユでは大陸内でも唯一公共カジノが無い国となっている


そんなシャナードの心配を他所にコボルトは事前に調べた事を手振りを添えて話す


「当然でさ。非合法のカジノは論外として、公共のカジノでも胴元に利益が出るように組まれていてその利率は15%から30%が基本配当です。そして戦後で貧しい一般層にはその利率でも娯楽に興じる事も出来ず廃れたんですよね? ですがあっしはカジノで利益を目的として無いので利率は維持費の5%未満に抑えるつもりでさ」


コボルトの推察通り戦後の非常に厳しい状況でカジノ等の娯楽は2の次3の次とされ今現在公共のカジノはシャルマーユには無い。

その代わり非合法の闇カジノが蔓延ってるがその総元締めの犯罪組織カイロウが何故か消失した為、今では闇カジノの摘発に躍起になっているのがシャルマーユ兵や番兵の急務だった。


ただ、コボルトの提案した利率に更に驚かされたシャナードが聞き間違いかと問い返す。


「ん? 待て待て、利率が維持費のみじゃと? お主が欲に溺れず適正価格、いや最早良心価格で商売を是とするのは存じてるがそれは最早損益も出る計算じゃろ、どういう絡繰りじゃ?」


シャナードが紅茶で喉を潤し気になる続きを促す


「まぁまぁ、先ずは順を追って説明させてくだせぇ、あっしも商人ですから慈善事業って訳じゃないんで。―――」


シャナードの感心を買えたと確信したコボルトは計画内容の詳細を明かす


・・・・・

・・・・

・・・

・・


「ふ、ふははははっ!!! 成程のう! それは妙案じゃ!!」


コボルトの計画の全貌を聞いたシャナードは客間に響き渡る程歓喜の声を漏らした

そんなシャナードの反応にやはり手ごたえを感じたコボルトは如何なものか最終確認を取る


「どうでしょうかね? 決してシャナード様やルルアへ害ある計画ではないと思うんですが」


「害じゃと? ダンよ! 友の今の話を聞いてどう思う。遠慮はいらん、正直に申せ」


シャナードの背後に付き従うダンに意見を求めるシャナード

2人は幼少からの付き合いで互いに信頼も厚く、公の場でなければ気軽に語り合う程だ


「はっ、無知蒙昧な私が今の話を聞いただけでもとても素晴らしい案件かと、コボルト殿の慧眼に心底感服させられました。むしろこの話はルルアだけに留めず本国に持ち込むべきかと浅慮の次第です」


「その通りじゃ! 友よ、この話は本国に持ち込んで大々的に進めさせてもらおう。なに、間違いなく色良い返事が貰えるであろう」


シャナードは領主としてルルアに新たな息吹が咲くのを楽しみにしていた


「有難う御座いやす。お手間を煩わせますがどうかお願いしやすシャナード様」


領主と商人の関係だが友人なので話の締めにとコボルトは気軽に手を差し出し、シャナードも応じて固く握手を交わす。




シャナードは以前の錬金組合長バージルの機転のお陰で中規模領主には異例ともいえる皇帝陛下への謁見という特例を得たが陛下への謁見には様々な段取りがあり例え大貴族だろうと直ぐ謁見、という訳にはいかない


特権で陛下への謁見を得たシャナードは先ず、シグルト宛てに謁見の機会の場を申し出、その返事で何日の何時から何分までと決まっている


皇帝陛下の殆どの仕事は謁見だ。

玉座で配下や臣民の意見や陳情を聞くのが主であって、それは強国のシャルマーユでも変わりはない


今日も一日玉座に掛けるお仕事だとロックは内心辟易としていたが次の謁見相手には期待があった



        シャルマーユ皇城-玉座の間-


第一近衛団が守衛している中、玉座には実用性を優先し機能美あるプレートメイルで完全武装した陛下が玉座に鎮座しておりその隣に宰相のシグルトが居並ぶ。

本来皇族には皇族也の礼装があるのだがシャルマーユ皇帝の場合、武勲があまりにも名を馳せた為プレートメイルの方が似合っており、本人もゴテゴテの礼装より武装のほうが気に入っていた。

理由は言わずもがな、いざという時戦えるから。

剣聖を襲う者が居るのか怪しいが…


どこぞの某王様は異例としても



シグルトが「次の者」と傍仕えに呼び立てると即座に玉座の間に予定していた初となる謁見の臣下が入り、玉座の2段下の定位置で無言で膝を付き、シグルトが厳かに宣言する


「シャナード・ガル・ルルア・ゲイツ。構わん、陛下は直々にお言葉をお望みだ」


陛下との謁見で直に陛下と言葉を交わすのは決して多くない、其の殆どが宰相のシグルトが済ませている

だが今回の相手は陛下も気になってたので直に言葉を交わす事にした。


「はっ、感謝致します。陛下、並びにシグルト様」


陛下との謁見で前口上など不要、端的に用件を手短に伝えねばならない

だが、シャナードは初めて陛下と謁見した時と同様にその威光を肌に感じて感激していた


戦後処理で貴族会議の際に二、三言葉を交わしただけだがやはり昔と何も変わらない

武功に無縁のシャナードが幼少期に憧れた英雄譚の主人公のような高潔な人物、ロック・フェザスター・シャルマーユその者だ


「さて。シャナードよ、なにかと其方には手間と心労を掛けさせてるな、感謝しておるぞ」


陛下も公務に適した厳かな物言いだが本音は感謝してる所では無い

陛下は内心でシャナードにすまんと謝罪する程だった…


なにせ今のルルアは魔境とも言えるからだ。先ず世界法で隠匿されたサタンとアリスがルルアにいる

この時点で申し訳ないのだが話はそれだけでは無い、アリスの妹カレンの影響でルルアに陛下もびっくりの神獣が跋扈している。おまけに他国の独占されてる筈の最希少植物まで色々と群生してると来たもんだ


大恩ある神でもあるミューズ様の仕業なので誰も文句言えない、そう陛下ですら

だから内心で謝った



(シャナード本当にすまん)



「勿体ないお言葉を有難う御座います陛下」


陛下とシャナードの内心の温度差は在れど謁見は始まった


「うむ、それで此度の謁見の要件は何か」


本来謁見を申し込む際には事前に皇に何を伝えたいか申告の必要があるのだが今回シャナードはあえてその申告を伏せて謁見の機会に当たった。


「はっ。その件につきましてですが、先日アシュリー工房の皆と個人的に友誼を結んだのですが友のコボルトからとある案を相談されたのですが、それ自体は私の裁量で十分進められる事ですが内容が余りにも素晴らしい事でしたので先ずはこうして陛下にお伝えしたく、僭越ながら謁見の場を頂きました」


「ほう。あのコボルトの相談事とな、あの者の幻徳は余も賢者連中も周知の事、また面白い話が聞けそうだな。聞こう」


陛下は肘掛けに寄り添ってはいるものの興味深い内容に少し前のめりになり続きをと促す


「はい、実は二週間程前に友のコボルトが訪問してきまして、とある店を公共として経営したいと申しまして、その店と言うのが遊技場、カジノで御座います」


シャナードが明かす内容に陛下もシグルトも真っ先に疑問符が浮かんだ

カジノとコボルトがどう絡むのか全く見えないからだ


「カジノだと? 公共・・・? 確かにルルアの自治権は其方に任せてあるから公共での経営も問題は無いがあのコボルトがカジノとな? あの者が金欲に走るとは思えんが、詳しく申せ」


「はい。私も聞かされた時は驚きましたがカジノの経営方針は採算を度外視した損益も見越した維持費のみの収益5%に満たないとの事です」


「カジノで収益5%だと? それは端から赤字経営として奉仕事業という目算か? 維持費だけという事は人件費すら採算を視野に入れて無いという事であろう」


戦後にして昨今、落ち着きを取り戻した国々では様々な奉仕事業が展開されておりシャルマーユで有名なのが無料の大衆浴場だ。最も奉仕も兼ねてるが疫病や病気を未然に防ぎたいという衛生面の思惑もあるが


「私も当初はそう思ったのですが詳しく聞けば損益処か、巡り巡ってアシュリー工房の収益に繋がりルルアに及ばずシャルマーユの違法賭博の撲滅にも繋がり、なにより低所得者や一般市民層向けの娯楽としている低価格設定で大衆娯楽へと大きく繋がる素晴らしい計画でした。詳しくは此方に記載しておりますので陛下に是非見て頂きたく存じます」


懐から一枚の書類を取り出し甲斐甲斐しく両手で陛下に差し出すシャナ―ド


「ふむ、全くアシュリー工房の者は皆面白いな。此処へ」


言葉で一から説明するのは時間が掛かると予めシャナードは紙に計画を箇条書きしていたのでそれを傍仕え経由で陛下が確認する




カジノ 屋号 コボルト&フェアリー遊技場


計画案


土地建物、遊技台は全てコボルトの私財で揃える


公共とする以上経営責任者はコボルトだが総責任者は商業組合とルルア領主とする


人材は全てコボルトの友誼の妖精51名で運営する

妖精51名の内訳は支配層妖精1名・最上位妖精20名・上位妖精10名・中位妖精20名

※イカサマや共謀防止に契約を交わした妖精以外は雇わない、場内の治安維持はゴーレムと妖精に一任

※現場責任者の妖精の采配次第で妖精の追加増員は可とする


妖精への給金はコボルトが個人的に契約を交わし給金の代わりに遊戯による客の喜怒哀楽を代価としている


遊技場内への入場料は銅貨30枚とし遊戯場内ではアシュリー工房で販売している果物や飲料による飲食を一定量無料提供


遊戯場での収益を主目的としてないので一般客には遊戯上限額を設け、都度身分証で確認の上1月金貨2枚までとする

商業組合やルルア領主が認め、許可を出した者のみ上限を開放して専用遊戯場へ通す


遊戯の内訳はカード8種・サイコロ5種・チェス・妖精の競技3種・その他6点、どれも銅貨5枚から銀貨2枚までを一度の最高掛け金のローリスクローリターンとする


この遊技場による主目的


1 アシュリー工房の果物や茶葉の宣伝(妖精というアシュリー工房独自の宣伝効果を織り込み済み)

2 アシュリー工房の財の市場投資による景気発展

3 公共カジノを低価格で設けた先による違法賭博等への抑止と撲滅

4 富裕層を覗く、低所得や一般層への飲食や娼館・大衆演劇以外の娯楽提供

5 コボルトの友の妖精への娯楽提供

6 許可を得た富裕層や特権階級者への配当率はコボルトではなくあくまで接待とし商業組合とルルア領主に一任する

※6の対象者への配当、利益はコボルトは関与しないので商業組合とルルア領主に決定権を委ねる




一通り読み終わった陛下は以前の賢者会議のコボルトの書の再来で心底感服させられた

思わず公の空気を崩して笑みを零し隣の弟子に見せる程だった


「ふ、ふふっ―――シグ、見よ」


陛下に手渡された書類を熟読したシグルトも陛下同様コボルトに心底感服することになる


幻魔泣戦(げんまきゅうせん)から10年以上、戦後処理も一息着いたところだが今だ市井の娯楽は呑む・買うだけで打つには如何わしい違法カジノしかなかった。そのせいもあって戦後打つことのできない貧民層は子作りが目下の捌け口で戦後という後押しもあって爆発的に人口増加していった。


公共カジノの再開も以前賢者会議で議題に上ったのだが犯罪組織カイロウとの軋轢もあって頓挫していた

だが・・・目の前の計画書にはその解決策が描かれていた


「はい。―――――――――――成程、先度シャナードの申した素晴らしい計画とはその通りですな陛下」


「本当にあのコボルトは先見の明というか、長期の経済と治安維持だけに留まらず妖精への配慮を視野にいれた素晴らしい幻材だな。本気で役職を与えて賢者会議に参加して欲しいぐらいだ」


「私見を言わせて貰えば同格でもいいので側近に欲しいぐらいです」


陛下の眼に見えた上機嫌振りにシャナードもこの機会を無下にせず済んだと喜ぶが、2人の話でコボルトが本国に誘致されるやもと慌てて意見を申し立てる


「そ、それだけはご勘弁くだされ、あの友がルルアから居なくなるのは公私共に惜しいです」


「ふふっそれは残念だ。幻獣への組合加入という特例、一種の賭けでもあったが大勝ちだな」


「正しくその通りでしょう、現状で既にあのコボルトへの賛美称賛は他国からも山の如く届いていますが之を機に更に増えるでしょうな」


コボルトに組合加入の特例を与えたという事実を公にして直ぐシャルマーユには抗議の意見が殺到した

その理由はコボルトの組合加入への特例に対してではなく、特例を受けたコボルトを参考に様々な領地や国がコボルトがそんな幻獣なのかと勘違いし、第二第三のコボルトを狙って幻獣契約して所有の鉱山に発掘させようとしたのだが全てのコボルトが鉱山をテリトリーにしてしまい世界中で鉱山トラブルが続いたのだ


そこでシャルマーユは自国のルルアのコボルトの幻徳が高いだけだと説明し、世界中からシャルマーユのコボルトへの称賛がシャルマーユに今も届いているのだ


「うむ。シャナードよ、此度の謁見、真に有意義であった。この計画を全面的に支持するので委細を任せる」


「ははっ。畏まりました! 陛下の時間を無駄にせず喜ばしい限りです」


「余が支持するといったのだ、せめて遊技場の建設費用位は余の懐から算出しよう。そうコボルトに伝えてくれ」


「なんと・・・感謝致します! 友も喜びましょう。有難う御座います陛下」


シャナードの謁見は終わり足早に退散し暫しの休憩に入った所で陛下が先の書類内容の詳細をシグルトに問う


「・・・・・シグ、あの遊技場の建設。どう見る?」


「そうですな―――先の言葉通りですが詳細を述べれば恐らくはコボルトの本懐は妖精への非道抑止と財の流通かと」


「だろうな、一部の愚かな国は妖精狩りなんて馬鹿な真似をしてるがそれは下位の妖精だからであってティターニア様率いる最上位の妖精なぞ徒党を組まれたら俺でも敵わん、之を機にそれが広まるだろうな」


妖精の店が大々的に建設されたとなれば妖精を狙う愚か者達を呼び寄せるがティターニアがいるなら100%安全と言える。むしろ妖精の実力が世間に知れ渡るだろう、高位妖精の放つ妖精魔法は人知の理外なのだから


「聞けばシャイタンの友神の配下とか、恐らくそれを考慮してのコボルトの案でしょうが、それに加えて財の流通により景気発展と市政への娯楽提供。最早一商人の器に納まりません、既に聖人の域かと」


シグルトは聖人に例えるがコボルトは幻獣なので聖人ではない、ないが、その幻徳はもはや人間で例えるなら最早聖人としか表しようが無いほどだ。


「本当に政に加わって欲しいんだがな・・・」


「ですな、アシュリー工房の住民は本当に我が国に尽くしてくれますな」


「こんな謁見なら幾らでも歓迎なのだがな・・・次は?」


「デネシス公爵の自治領へのフルーラ特使の召致要望との事です」


「・・・休みたいんだが?」


「駄目です。さぁ、傍仕えに呼ばせますので気を引き締めてください」


こうしてシャナードの陛下へのお伺いは無事終え、結果は陛下の推しも貰え陛下直々に建設してくれる事になった

最上の結果にシャナードは帰路に着き友への良い報告が出来ると心底喜んだ。


後日、アシュリー工房が閉店の後片付けをしているとまさかのシャナード本人が気軽に尋ねて来て事の詳細をコボルトに伝えるとコボルトは案の定大喜びだった。そして一週間後、本国から一流大工が大勢ルルア入りして陛下の指示の下、急ピッチで遊技場の建造は開始され、その余りの大工の多さにルルアの商店街一等地にアシュリー工房の20倍はある大きな3階建ての遊技場が瞬く間に完成した。


幻神歴2960年12月31日


コボルト&フェアリー遊技場


建築完了の報告を受けたコボルトはティターニアに約束の礼だと遊技場の鍵を贈った


ティターニアと名無し妖精4人がアシュリー工房にバイトに入って直ぐ様ティターニアとコボルトは気が合い、打ち解け親しくなった。


そしてある日ティターニアと妖精達で森で聖獣達に囲まれ酒宴を開いているとぽろっとこの星の妖精狩りにティターニアが困ってると愚痴を零し、コボルトは一計を企てた


鉱石や宝石に魔力を込めてくれ、妖精達とアシュリー工房の手伝いをしてくれる妖精達への恩返し、それに加えてアシュリー工房の益にも繋がってルルアの景気向上にも一役買える案


それが遊技場だった


コボルトの驚きの贈り物にティターニアは感激し、「先輩ありがとっ!」と抱き着き、その場に居合わせたアシュリー工房の面々もそれぞれコボルトに称賛を贈った。

特にシャイタンは友神の配下でもある妖精への配慮に感謝の念が堪えなかった

そんな感動的な場面でカレンだけ遊技場と聞いて入り浸ろうと俗な考えだった


幻神歴2961年01月01日


110の星で初となる幻獣と妖精の遊技場がオープンした

ティターニアは遊技場に詰める事になりコボルトに指示された通り最上位妖精20名・上位妖精10名・中位妖精20名を引き連れ遊技場で接客する事となり妖精の歓喜の声が絶えない職場になる


アシュリー工房にはティターニアと当初の名無し妖精4人の代わりに賑やかな最上位妖精5人が務める事になった


そして――――オープン初日、早速カレンが遊技場に姿を現した

今月の給金の星金貨14枚、その半分はシャイタンに没収されて星金貨7枚を携えて(これで勝ってお金倍にするのよ!)と意気込んでティターニアに顔パスという事で専用遊戯場に通してもらい勝負の一晩に挑んだ


まさかの星金貨50枚になった


翌日更に増やそうと味を占めて通ったら星金貨50枚・金貨350枚・銀貨78枚・銅貨110枚毟り取られた


・・・・・

・・・・

・・・

・・


「ねぇシャイタンさんお願いお金貸して頂戴っ! 昨日遊技場で全財産負けちゃって銅貨一枚も無いの!!」


「くくくっ、それは残念な事で、そして残念続きで申し訳ないのですが先輩からカレン様に金銭は貸さないよう申し付けられてるのでその申し出は受けれません」


「そんなぁ~」


そんな朝のやり取りがあった昼間


『シャイタン様、ご報告したい事があるのですが今宜しいでしょうか?』


発端はルサルカからのシャイタンへのこの伝達魔法だった


日曜日の昼下がり、コボルトは鉱山へ赴きアマネとフラミーは妖精達とアシュリー工房周囲の森で聖獣や神獣達と宴を開いて大騒ぎし、姉妹兎とシャイタンの3人がカレンの部屋でとりとめのない会話をしながらお茶を楽しんでる時だった。


その伝達内容にシャイタンは2度目の逢引に丁度良いと閃いた


「カレン様、この後何か予定は有りますか?」


「ん? ん~特に無いわよ」


最近のカレンの日常は早朝に100食限定弁当を作り、午前中に不足分の商品の錬成、午後から新商品、特に昨今ではドラゴンの素材の研究ばかりでこちらは進展無しで最近では午後はこうして3人でお茶を楽しんでいる


カレンの返事を聞いたシャイタンは立ち上がり、一礼しながらも又も主にお願いを通す


「急な御誘いですが宜しければこれからまた逢引致しませんか?」


「えっ!?」


突然の誘いに驚き、カレンのうさ耳はピンッと立ち上がり挙動も怪しくわちゃわちゃしてしまう


「といっても簡単に湖へですが」


「へ? どういう事?」


「まぁまぁ、いいじゃん。カレン折角だし二度目のデート楽しんどいで~」


2人の進展を楽しみなアリスの後押しもあってカレンとシャイタン、特に装いなど気に掛けず普段着のまま腕を組んで何も準備すらせずに呑気に森の湖へと向かう。





「ね、ねぇねぇ、シャイタンさんどいう事?」


何度か尋ねるも着いての楽しみと誤魔化されその表情はいつもの意地悪顔だった


「それは着いてからのお楽しみという事で、御期待ください」


うさ耳をパタパタと抗議しつつも大人しく付き従う


「むぅ! 気になるじゃない!」


湖に到着した一行

以前までの湖は透明だったのだが新たに居着いた者の影響で邪念が凄まじくなり、急遽水晶を大量に沈殿させたことにより今の湖は淡く光り輝いており、カレンはこれを人魚の影響と勘違いしてした。


「着いたわよ。それで? 逢引は良いけど此処で何するの?」


「ふむ、どうせなら本人に説明して貰いましょう。ルサルカ」


シャイタンの呼び出しで気軽に水辺に姿を現すルサルカ、やはりいつもと変わりなくのほほんとポヤポヤした様子だった


「はいはい。お久しぶりですシャイタン様、カレン様」


「あっルサルカさんどうも~」


「本日お越し頂いたのはこの湖に更に様々な魚が住み着いたのでこれを機に魚がお好きな御二方には丁度良いかと思いまして」


「・・・はぁ、魚がもっと増えるのは良い事ね」


「はい。そこで、宜しかったら御二方『釣り』でご自身の手で直接魚を獲ってみては如何でしょうか?」


「つり?」


「俺も釣りは経験が無く詳しく――」


「その役目貰ったぁっ!!!!」


「あら」


「な、なにっ!? ひいぃ!!」


新たな闖入者に恐れおののき尻もちを着いてしまうカレン


「ほう」


たいして余裕綽々のシャイタンだがその表情は興味深いと関心が向けられていた


一向の前に姿を現したのはルサルカ同様人魚に思えるがルサルカと違い下半身が人魚のそれでなく吸盤のある太長い12本足だった。そしてなにより上半身の体こそ人間のそれだが頭部がコボルトと大違いで険のある犬で体格もあいまって雄々しい姿だった


「カレンちゃんは初めましてだな、俺様も此処に住むことになったから宜しくな!」


異形姿からは予想もつかないハキハキとした芯の通った声で堂々と挨拶を交わす闖入者

その様に驚かされたカレンは気を取り直して立ち上がり何とか挨拶を返そうとするが・・・


「お、俺様もって・・貴方も人魚・・・人魚? 犬? えっと、人魚なんでしょ? ルサルカさんといい此処街だから人に見つかったら攫われるわよ?」


自分で言いながらも自問自答したくなる目の前の人魚? に初見時のルサルカ同様の注意を促すカレン


「ふはははっ! 大丈夫大丈夫。俺様超強いから愛しのルサルカちゃん守って人間撃退なんて超余裕だから」


そんなカレンの心配を他所に闖入者はドンと胸を張って心強い台詞を吐く

闖入者の周りからも自信の表れか足が顔を出しふよふよ漂っている


「は、はぁ・・・・えっと、知ってる様だけど私は見ての通り玉兎族のカレン・アシュリーよ。それで、その超お強い貴方様は何方さん?」


「おっと、申し遅れた俺様はスキュラってんだ。気軽に好きに呼んでくれ、但し蛸呼ばわりは駄目だから」


        スキュラ

竜派閥の海事最高責任者で此処、110の星ではある意味竜以上に知名度のある怪魚であった

何せ幻魔泣戦(げんまきゅうせん)開戦時に一つの巨大大陸だった所を中央のメネシアに向け竜が魔法を放ち、大陸が4つに分断され、その後スキュラによって分断された大陸は大津波により離されたのだ。その影響と110の星の海軍を全て滅ぼし全ての軍船を海の底に沈めたのがスキュラそのものだ。


余りの被害に戦後の今でも海は恐れられており極一部の漁船と定期船しか無く、未だ何処の国も海軍は回復の目途は経っていなかった。


そんなスキュラが呑気に足を周囲に浮かせカレンと応対する


「はぁスキュラさん、ね。それで、役目って?」


「そうそう、カレンちゃんにそこのいけすかねぇシャイタンも釣り未経験って事で俺様が説明するぜ」


「口の減らん奴だな」


「ほうほう」


「まず釣りってのはこの、っと・・・この道具を使って魚を獲る事だな」


説明途中で一旦水底に潜ったスキュラが再び水面に現れると両手に2m程の棒が握られていた


「・・・? 道具ってそれ、唯の整った長い棒じゃない」


「ちっちっち、カレンちゃんよく見てみ、端に糸が巻き付けてあるだろ? この糸の先には針があって其処に魚の餌になる虫をひっかけて水辺に垂らすとあら不思議、魚が餌に釣られて針に掛かるって訳よ」


「そうなの?」


「聞く限りそんな簡単に魚が食いつくとは思えんが?」


「其処は釣り人の腕次第で釣果(ちょうか)も大きく変わるからな、魚の種類次第だし先ずは慣れだ慣れ、ほれやってみ」


雄々しい態度で気っ風良く釣り竿を2人に渡すスキュラに続いてルサルカも助言を送る


「あ、釣った魚を保存する入れ物や、釣りは長時間の勝負なので予め椅子になる様なもの。あとあればですが調味料の醤油を用意したほうが宜しいかと」


「はぁ、おっけ~」


ルサルカの助言に従いカレンが工房から醤油と山葵、小皿2つ、大きい箱と椅子になりそうな小物2つを抱えて湖に戻ってくる


こうして一羽と一柱の人魚と怪魚に見守られての中、釣り逢引が始まった。


幸い餌となる虫は辺りの土をほじくり返せばわんさかいたので餌には困らない。

ただ嬉々として餌を針に通してる姿にふと疑問が沸いたスキュラが訪ねた


「所でカレンちゃん虫とか平気なの?」


不思議に思ったスキュラが足をふよふよ浮かせながら尋ねる


「ぇ? 平気とは?」


スキュラの質問の意図が掴めず茫然としてしまうカレンだった


「その~虫気持ちわるぅい。とか、こんなの触れなぁい~みたいな反応する奴結構いるんだが・・・」


「ん~? 良く判んないけど全然平気ね。其れに食べれるし」


「はっ? カレンちゃん虫食うの!?」


スキュラだけでなくルサルカも口元を覆い驚き、シャイタンも同じく驚かされた発言だった


「ええ。テンゲン大樹海に住んでた時は兎や狼の肉なんて御馳走滅多に口に出来なかったから良く飢えてたし、唯の雑草や虫とか蛇を見つけては食いまくってたわよ。お陰様で今ではただの雑草でも美味しく調理できるようになったわ」


エーテルと魔力が吹き荒れる魔境で家庭菜園など出来る筈も無く、アリスが旅に出てからというものの常に毎日が生きるか死ぬかのサバイバルだった。

都合よく掘立小屋の近辺に食べられる植物が群生している訳も無く、そんなカレンに平均女性の共通感覚である虫への忌避感など有る訳がなく、捕食者として雑草も蛇も虫も元気にバクバク食べていたのだ。


そんなカレンの返事にスキュラは興味津々になった


「くひっ! いいねいいねぇ。カレンちゃんのその逞しいサバイバリティ気に入った!! 決まりだ。カレンちゃんも俺様のお気に入りだ。大いに釣りな!」


「ええ! 美味しい夕餉のおかず釣って帰るわよ」






釣り開始から30分経過


「「・・・・・」」


「「・・・・・」」


起承転結の起が全く来ない、カレンとシャイタンは寄り添って湖に釣り糸を垂らすが人魚と怪魚に見守られる中無言で30分が過ぎた


「ねぇシャイタンさん」


「はい。なんでしょうカレン様」


「魚、釣れないわね」


初めての釣りだがこうも進展が無いと飽きてしまうカレンが隣のシャイタンに愚痴っていた


「ええ、なにかコツとかあるのでしょうかね」


「こんなだとひま・・・ぇ?」


感想を零そうとした所で持っていた棒が微弱に振動する


「おや、カレン様それはもしや魚が掛かってるのでは?」


「え、ええ多分~~~ん~」


せいっ


立ち上がり大きく釣り竿を後ろに引き上げるとカレンの釣り竿には初めの釣果にして脂の乗ったイワナが食いついていた


「おお~~! 見てみてシャイタンさんこれっ、この前のイワナってやつよ!」


初めての釣果にすっかり大興奮したカレンが釣りに引き込まれた瞬間だった


「おめでとうございます。塩焼きの美味しい奴でしたね」


「あはっ。なんだか楽しくなってきたっ! よ~しこの調子でどんどんいくわよ!」


ハイテンションになったカレンが更に虫を漁って再び釣り糸を湖に垂らす


「私奴も頑張ります」


釣り開始から一刻が経過した頃、2人の釣果は中々で既に16匹釣れており今正に次の餌に食いついた釣り竿を勢いよくカレンが引き寄せると魚とは似ても似つかない50㎝程の変な生物が釣り糸に絡んでいた


「~~~~~ひ、ひぃ、なにこれ!? 海の魔獣???」


「これは・・・」


カレンは恐れおののき、シャイタンもその見た目から魔獣の一種と睨んだそれは…


「あ~カレンちゃんそいつは魔獣じゃなくて海の生物、蛸ってんだ」


スキュラも居着いた影響で此処アマネの湖は聖魚や神魚だけでなく淡水魚・海水魚・深海魚・浅瀬魚・回遊魚・根魚・中層魚・浮魚何でも生息している神聖な湖となっており海の生物も当然いる


「た、たこ? 魔獣じゃないの?」


触るのは怖いので釣り糸を持ち上げ蛸をしげしげと眺めるカレンとシャイタン


「おう、見てくれはあれだが美味しいんだぜ。なんとその美味しさのあまり生でも食える」


「ぇ!? 生きたまま? これを? ええぇ~~~」


「まぁまぁ騙されたと思って足一本切ってそのまま醤油に…お、ちゃんと山葵もあるじゃんか。漬けて食ってみ」


「むぅ~~~~やってみるわ」


刃物で蛸の足を一本切り落とし醤油と山葵に付けて恐る恐る小さく口に含むカレン

半信半疑からその表情は未知の食感に魅了された


「――ん、んぐんぐ。あら美味しい。コリコリと歯ごたえが面白くていいわね」


「ほう、それ程ですか」


カレンの感想にシャイタンも興味を示す


「ええ、シャイタンさんも食べてみて」


「では――――ほう! 魚と違ってこれも美味ですね。全く魚類はどれも俺を魅了するな」


「よしっシャイタンさん他にも珍しいの釣りましょ!」


「ええ、俄然やる気が沸きました」


新食材の蛸捕獲から更に半刻、又してもカレンは珍品を釣り上げた


「あら、珍しい? のかな、蛇がつれたわ」


30㎝程の黒い蛇? だった


「ふむ」


「へぇ~水の中も蛇っているのねぇ」


カレンの間違いをスキュラが正す


「あ~カレンちゃんそいつは蛇じゃなくて(うなぎ)ってんだ。あと海の蛇は大抵毒あるから注意な」


「うなぎ?」


「そう鰻。淡水魚と海水魚の合いの子みたいなやつだが、そいつも超旨いから蛇気にしないカレンちゃんなら美味しく食えるんじゃね」


この星にも鰻は生息してるが下魚扱いで食用にならず駆除されている


「はぁ・・・普通の蛇同様に捌けばいいのかしら? なんかぬるぬるして掴みづらいわね」


鰻の掴みに悪戦苦闘してるとルサルカが待ったをかける


「あ、カレン様お待ちを。スキュラ様。鰻といえばほら、伊邪那岐様の国のあの料理が」


「あ~そういやあったな。でもこの星にあるかな~ん~よし」


「ん?」


スキュラの気持ちのいい手の叩きに気になったカレン


「カレンちゃん初回サービスだ。そいつ貸してちょっと待ってな」


「ええ」


何とか鰻を両手でつかんでスキュラに渡すと颯爽と水底へと潜ってしまう

そして20分ほど待ちぼうけしてるとザバァッとスキュラが勢い良く戻ってきた


「戻り~ほらよっ。カレンちゃんこれがさっきの鰻だ」


スキュラの手には甘い香りが漂う大きい串焼きが一本あった


「へぇ~甘そうな匂い・・・ってかこれどう見ても調理済みじゃん! あんた今水の中から出て来たのになんでこんなのが出てくるのよ!?」


「まぁまぁ其処は気にしない気にしない。それよりほれほれ食ってみ、俺様秘伝のタレだから超絶旨いから」


「はぁ…っ!?」


その串焼きを口に含んだ瞬間、カレンの頬に涙が伝った

その涙を見て今までの楽しい気分も吹き飛びシャイタンがカレンの傍に慌てて寄り添う


「カレン様!? 如何されましたか」


「‥…美味しい。美味しいのっ! 凄く美味しいのシャイタンさん!!! こんな美味しい料理初めて///」


完璧に自分に合う料理を口にすると涙が出ると初めて実感したカレンは感涙の涙を零して大はしゃぎし、カレンにあてられシャイタンも鰻への食欲が刺激される


「そ、それ程ですか?」


「ええ、今まで食べてきた料理でぶっちぎりで一番美味しいと言えるわ! はい、シャイタンさんも食べてみてっ」


「で、では」


カレンの食べ掛けを頂くとカレンの言う通り、今までシャイタンが口にしたどの料理よりも自分に合う料理で甘く、ふわふわの食感にシャイタンも魅了されてしまった


「―――おいスキュラ」


「なんだよシャイタン」


「今すぐこの湖に居る鰻全て寄越せ」


「けけっ。てめぇまで虜か、ん~どうしよっかな~お気に入りのカレンちゃんの頼みなら兎も角いけすかねぇてめぇに頼まれてもなぁ」


「ねぇスキュラさん!」


アイマスク越しでも判る程瞳をキラキラさせたカレンがずずいとスキュラに詰め寄る


「うお、はいはい、なんだいカレンちゃん」


「この鰻の調理法とタレの作り方知ってるなら教えて頂戴!」


「ん~調理法はともかくタレは俺様の秘伝だからなぁ。幾らお気に入りのカレンちゃんでもなぁ」


「そんなぁ! じゃ、じゃあ何でもするわよ」


「なんでもねぇ。俺様特に困ってないし、しいて言うならルサルカちゃん口説きたいぐらいかな」


「えっと、ですので私ではスキュラ様とは格が違い過ぎて畏れ多いですので・・・」


同じ精霊種とはいえ派閥が異なり、何よりルサルカの言う通り文字通り格が違い、スキュラは大神の海神も兼ねてるので本来ルサルカとは縁が無いのだが…


「ふむ、スキュラ」


「なんだいけすかねぇの」


「カレン様に鰻の調理法と貴様の秘伝のタレを伝授するならルサルカを口説く許可をやるぞ」


「まじで!?」


「え、えっとシャイタン様?」


「貴様も満更でも無いのだろう」


「それはもちろんそうですが、その、宜しいのでしょうか? 私とスキュラ様その・・・」


「構わん。スキュラの属する派閥と揉める予定はないからな。貴様の自由にしていいぞ」


「うおおおおお!!! まじかよシャイタンお前ちょっとは良い奴だったんだなっ」


「という事だスキュラ。後は貴様の男を見せてルサルカの心を掴め」


「俺様なら余裕だぜっ!」


「え~と、つまりルサルカさんとスキュラさんが仲良くなって私は鰻の調理法手に入るってこと?」


「おう! ちょっと待ってな」


歓喜に溢れるスキュラが意気込んで水底に潜り込む


「ん~ルサルカさん良かったの?」


「ええ、シャイタン様の御許可さえあれば、私もスキュラ様にまんざらでもありませんので」


悪魔種では高位でも精霊種として中位の自分と最高位のスキュラ、しかも海神も兼任してるスキュラとなればポセイドン並みに高名な神物でルサルカとしても崇拝しているのだ。

そんな神物と公認で付き合えるとなれば呑気なルサルカも気分が向上する


「お~人魚のカップルの住む湖ねぇ。ふふっ絵物語みたい」


人魚の番が住む神聖なる湖。

カレンの思った通り絵物語で語られそうな情景だが―――実際は半精霊半人魚の高位悪魔とこの星で最も人類種を死に至らしめた半精霊半海神という恐ろしいカップルだった。


後に何も知らないロックが呑気にアシュリー工房に尋ねて来て庶民でも先ず口にしない鰻を口にしてロックまで魅了したのだが、その後シャイタンによりアマネの湖にスキュラが居着いたと聞かされ茫然自失した


そしで毎度の如くフラミー経由でなんとか暴れないで欲しいとロックは縋り付いた。


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