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臆病兎の錬金経営譚  作者: 桜月華
67/148

67話 シャルマーユ皇帝と聖帝ソフィアと錬金術師?

賢者ジルの一ヵ月を掛けた大々的な式典も滞りなく終わった今日


幻神歴2960年05月12日


この日式典とは別の緊張が皇城を包んでいた

賢者会議場ではなくシャルマーユ皇城玉座の間、そこに偉丈夫にして堂々たるシャルマーユ陛下が実用性と装飾を兼ねた鎧を纏い隣のシグルトとその瞬間を待つ


玉座の間では賢者の他その従者達と大貴族達が勢揃いで見守っている


幻魔涙戦(げんまきゅうせん)終結後に粛清も粗方終わり後宮や無駄な建造物は取り壊したが無駄に見栄えを張った玉座だけは取り壊しの費用の方が逆に掛かり再利用も難しいとの事で陛下の趣向には全く合わないものの金銀宝飾を無駄に詰め込んだ玉座とその間に歴史的な一幕が開かれる


(シグ、エナジーポーションくれ)


(駄目です、もう間もなくなので耐えてください)


これから相見える相手は陛下には荷が重すぎる相手で緊張に耐え切れずにシグに助けを求めるもにべもなく却下される


そして近衛兵の知らせが玉座の間に響く


「聖領域国ソフィア様と宰相クレア様のご入場です」


シャルマーユの近衛に案内されて来場したのは聖領域国女王にして聖帝ソフィアと宰相のクレア

この場では陛下と宰相以外発言権は無いのだが、従者達にさめざめとした動揺が起こる


クレアは以前見掛けた通りの胸に聖領域国の紋章を記したプレートメイルを纏い、一定の位置まで来るとシャルマーユ陛下に膝を付く

対してソフィアは普段の白の清貧な修道服とは異なり今回の装いは淡いピンクの露出過多にならない程度のドレスで着飾っており、幾つかの装飾と頭には神秘的なヴェールで正に聖女に相応しい神秘性を帯びていた


膝を付くクレアに対しソフィアはカーテシーの礼でシャルマーユ陛下に礼を尽くす


「シャルマーユ陛下、突然の来訪とその歓迎、心より感謝致します」


鈴の音に相応しい綺麗な声にして威厳ある声音とその肖像画の様な美しい(かんばせ)だけでこの場の参列者の何名かは元から居た者達とは別にソフィアの信奉者になったであろう瞬間だ


「ソフィア女王の来訪ならシャルマーユはいつでも門を開こうもの、来訪心より歓迎しよう」


陛下も威厳ある声で対応するがソフィアの装いで内心ぱにくっていた


(おいっ!? なんでソフィア様着飾ってんの? いつもの修道服は? ぇ、もしかして誰かとの見合いか婚姻とか? 誰だよっ!)


陛下は一瞬シグルトに目線をやるがシグルトは軽く首を振って否定する、以前のソフィア様を口説けという冗談を真に受けたのかと陛下は気が気でなかった


「心よりの歓待、嬉しく思います。此度の突然の来訪にシャルマーユ陛下にも他の方達にもいらぬ心労を掛けたことお詫び申し上げます」


「余も他の者達もソフィア女王の来訪とゆう目出度い事に心労など無縁なのでどうか気にせず、して肝心の此度の来訪の理由を尋ねても宜しいか? 理由と観光名所如何では警護の手配が必要故な」


嘘である。ソフィアの来訪と聞いて陛下もシグルトもエナジーポーションをがぶ飲みしていた

賢者も従者達も蜂の巣を突いたように騒ぎ立て、貴族連中は是非我が領地への視察へと大騒ぎだったがそこは見栄で通す


「来訪の理由ですか? ルルアの友に誘われてルルアへ赴こうかと思いまして。勿論警護は不要ですのでお気になさらず♪」


ソフィアは可愛らしく口元に指を立て小首を傾げ視線を上の空に、実にあざといが行使者が行使者だけに真に効果的だった。玉座の間の幾名かは見惚れていた


だがソフィアの軽々とした口上に陛下もシグルトも玉座の間に募った者達も唖然とした‥…


「る、ルルアとな? そして友と? その、詳しく聞かせて貰えぬか?」


ルルアと聞いて玉座の皆嫌すぎる予感が過る


「詳しくですか? そうですね――――


・・・・・

・・・・

・・・

・・


ソフィア様、シャイタン様がお見えです、お通しして宜しいでしょうか?


「ええ、勿論よ」


「久しいなソフィア」


「お久しぶりですシャイタン。今日はアリスはお見えに?」


「ああ、その件で来た。アリス様の妹君のカレン様がシャルマーユのルルアにて平穏に工房を開いておられた」


「まぁ! 見つかったのね。良かった。此方でも尽力したのですが・・・」


「それでアリス様からの計らいでな、カレン様が憧れる姫なるものと会わせたいそうで貴様にルルアに来て欲しいそうだ」


「私が赴くのは構いませんが・・・アリスやシャイタンならカレンさんを連れて来られるのでは?」


「訳合って俺もアリス様もカレン様には魔法に関しては扱えない事になっている。そして俺のような存在もカレン様は御存じで無い。何よりカレン様は人見知りでな、船旅はお辛いだろう」


「まぁ! そういう事なら任せてください! 友人の為シャルマーユへ行きます! ただ、立場上直ぐにという訳にはいきませんが・・・」


「勿論構わん。其れでは頼むぞ」


・・・・・

・・・・

・・・

・・


ソフィアは逸脱した知恵者だ

以前のシャルマーユによる祝電に賢者ジルによる到達点とその先への祝い事と同時にカレン・アシュリーなるものの数々の発明品も記載されていたがこれ程の発明と受勲となると陛下から直々に授与されると思い隠れ潜んでいると検討していたアリスの妹とは性が同一の別人と結論を付けたがシャイタンの報告でそれが早計だったと後悔していた


「友人の使いの者に友人の妹さんが見つかったと朗報が入ったのでぜひお会いしたく越してきました」


ソフィアがにこやかに述べる


「「「「「「・・・・・・・」」」」」」


陛下含めて玉座に並ぶ皆意見が合致した


それアリス(様)(悪童)の事だろ! そして使いの者ってシャイタン(様)(あの悪神)だろ! 妹ってカレン(様)(嬢)だろ

友人ってなんだよ!!! 聞いてないぞ!? やばい、まさか有り得ないと思っていたカレンの引き抜きが万が一どころか十が一にもあり得るかもしれない・・・・・皆逼迫していた


陛下は胃を抑えていた。愛用のエナジーポーションの味付けをルードに急かせようと場違いな事に考えが至っていた


「そ、そうか」


陛下は現実逃避中で之しか言葉が浮かばなかった


「それで、ルルア入りの御許可は頂けるのでしょうか?」


ソフィアはまたもにこやかに許可証の要求をする。

本来なら聖国の聖女ソフィアの来訪など国を挙げて何処の領地だろうと諸手を上げて歓迎するのだが物言わぬ陛下に代わりシグルトが死中に活を見出す


「お、お待ちをっ」


「はい?」


ソフィアは可愛らしく首を傾げ何故待ったをかけられたのか不思議でならないといった雰囲気で場を和ますが玉座と隣の者には通じない


「「―――」」


シグルトは咄嗟に陛下に視線を向けるが陛下は小さく2回頷きを繰り返す

これは全てをシグルトに任せる(丸投げ)という2人の合図だ


そこでシグルトは意を決して肝心の話の前にはぐらかす


「その、今のルルアは人足も多く、よからぬ輩もいるやもしれませぬ、ソフィア様にもしもの事が有れば」


聖女ソフィアに傷でもつけようものならルギサンドを筆頭に世界中から非難を浴びることになる。シグルトは暗にそれを示しているがソフィアは知ってか知らずか、呑気に隣に仕えるクレアに視線を向け言葉を繋げる


「ご心配には及びません。シャルマーユ陛下やシグルト程でないにしろクレアも近衛でそれなりの腕は確かですので♪」


愛らしい笑顔で問題無いと押し通すソフィア


「はっ、何が有ってもソフィア様をお守り致します」


実際クレアは陛下やシグルトに遠く及ばないもののシャルマーユの第一近衛団の副団長程度の技量は持ち合わせている。20代の女性でその才覚は天賦の才といえるだろう


「まぁ頼もしい」


ソフィアは両手を叩いてクレアの意気込みに感心するがシグルトはやはり駄目だったかと、もはや次案も捨て本題に入る


「その、その!? ルルアの通行許可証を出す代わりに細やかな願いを聞いて頂けないでしょうか?」


この願い、聞いてもらえれば本国は大いに助かるし、断られれば許可証の発行を拒否して最悪の想定を避けられる

シャルマーユの宰相は優秀だった。隣でのんびりと事の成り行きを見守っている陛下は別として


「なんでしょう?」


「実はルルアの鉱山で尋常ならざる鉱石を3種発掘されまして、シャルマーユが保管するには政治上危険なので聖領域国に預かっては頂けないかとお願いしたく存じます」


「―――その鉱石というのは?」


此処に来て思わぬ申し出にソフィアは今までの愛嬌のある表情を崩し真面目な顔で尋ねる


「・・・神界の最希少宝石の緋緋色金、幻獣界の最希少宝石の宝珠、天獄の最重要宝石の死生結晶なるものです」


物凄く言いにくそうに小声でシグルトは例の厄介な代物を伝える


「・・・申し訳ありません、聞き間違えたようです。なんと?」


「神界の最希少宝石の緋緋色金、幻獣界の最希少宝石の宝珠、天獄の最重要宝石の死生結晶なるものです」


諦めて腹から声を出して問題の代物を告げるシグルト


「――それを我が国で保管するメリットは何処に有るのでしょうか?」


一瞬逡巡したソフィアの至極当然の疑問だ。

シャルマーユでさえそれを保有してると知られるだけで世界中に侵略されると懸念して中立国にして安置ともいえるゼファースに頼むことにしたのだから


「各界の最重要宝石が手に入る。と言うのでは如何でしょうか?」


政治上の駆け引きとは議事録もあって言葉一つで後に大問題となる

今回も議事録を取っているがシグルトは自分で言っておいて馬鹿な提案だと聖女に申し訳なく思いつつもこの願いが通るよう胸中で祈る


「我が国に星石だけでなく各界の希少鉱石まで保管し他国に侵略されろ、と?」


シグルトの胸中など余裕で察してるソフィアだが右手で口元を隠し、それを受け入れる懸念事項を伝え、暗に却下する。ソフィアの胸中とは裏腹に


「い、いえ。そのようなつもりは」


シグルトは冷や汗を流しつついざという時はシャルマーユが防備に努めると伝えようと言葉を繋げようとするがソフィアのが何十枚も上手だった


「ちなみにその提案を断った場合は?」


即答で断る算段を揶揄するソフィア


「ルルアの通行許可証は発行致しかねます」


こればかりは譲れぬとシグルトは今までの態度が嘘の様に強固に強気に出て断言する

こんな難癖で聖女の通行拒否なんて本来なら有り得ないのだが聖女の目的? が政治的に拙いのでシグルトも無理を承知の強硬手段だった


それを聞いてソフィアは両手で口元を抑え可愛らしい仕草で悲し気な表情を取る、あざとい

だがそのあざとさにこの場で幾名かはソフィアに虜にされた


「まぁ! それは残念、そのような危険な代物をこの場で独断で決められる訳も無く、ルルアの友人にも会えないとなると残念で仕方ありません」


ソフィアは悲しそうにクレアに伝え、クレアも即興で話に乗る

聖領域国の宰相も優秀だった。 差があるとすればソフィアの叡智の一部を継いでいる

そしてその差は何処の宰相だろうと計り知れないな差だった


「そうですねソフィア様、このまま大人しく帰国しましょう」


「ええ。この悲しみを我が国にも伝える為星金貨の造幣を増して各国に散布して星石の価値を下げ悲しみにくれましょう」


そして聖女にして聖帝ソフィアは悲しげな声でとんでもない脅しを掛けて来た

星石を唯一保有する聖領域国ゼファースはいってしまえば星石の価値を自由に決められる。それを大量発行して各国にばら撒くとなればシャルマーユに限らず世界中の星金貨の価値が下がる。つまり世界の経済を好きに狂わす事が出来る唯一の国主の言だ


シャルマーユがソフィアの通行を止めたせいでだ


玉座の間の皆発言権の有無など消し飛び騒めく


シグルトが立場も忘れて慌てて止めに入る


「ま、待ってほしい!! で、では件の宝石3種預かってもらう代わりに毎年星金貨100万枚支払うので如何か?」


莫大な公金だが物が物だけに財務大臣も納得済みの話だった


「星金貨100万枚ですか・・・これはシャルマーユ陛下らしからぬことを、とても危険に見合う額とは思えませんが?」


その額を聞いてソフィアはシグルトでなく無言のシャルマーユ陛下に視線を向け暗に、シャルマーユがケチな事を言うものですね と示唆する


「では星金貨200万枚で、これでご納得して頂けないでしょうか?」


陛下は無言でシグルトに何度も小さく頷いている、これは非常時の合図でなんでもいいからなんとかしてという一国の皇らしくないなさけない合図だった


抑々の話、政務の手解きを受けてるシャルマーユ陛下と2000年以上自国の安寧を築き上げた聖帝ソフィアでは駆け引きも何も無茶というものだった…


「はい♪ 承りました」


ソフィアは可愛らしい表情で小さく両手を叩き快諾する


「「・・・・・」」


予定の2倍の公金の出費だがこれで件の厄介な代物を対処できたと思えば財務大臣も納得するだろう

シャルマーユ陛下とシグルトの表情はソフィアと打って変わって暗かった


そしてここで漸くシャルマーユ陛下が問題も解決したと安堵して厳かに口を開く


「話も纏まった所でソフィア女王よ・・・其方には余計な物言いだとは思うがルルア入りの際ルルアの主要人物の引き抜き行為は控えて頂けないだろうか?」





「――なんと? 引き抜きとな?」




玉座の間の空気が一瞬にして温度が下がった

今迄の愛嬌のあるソフィアの表情が怜悧な表情に代わり声も可愛らしい声から厳のある声音に変わった

ソフィアの隣のクレアも烈火の如く怒りの表情でシャルマーユ陛下を睨んでいた


「「ぇ?」」


陛下もシグルトも状況が掴めず思わず素っ頓狂な声を出す


「アリス・アシュリーは我が国の建国の母ぞ。大恩ある友とその妹を引き抜きとな? ゼファースの建国の母にその様な無礼妾が取ると? 粗野な奴め、そちのごときに我が国侮辱された等許せぬ」


これが聖帝ソフィアか

カリスマ溢れる威圧ある厳かな声で冷徹にシャルマーユ陛下を謗る

その威圧はこの場の半数は思わず膝を屈し平伏しててしまいそうになる程だった


「お、お待ちください!! 決してそのようなつもりは!」


シグルトが慌ててソフィアの前で膝を付いて謝罪を述べようとするがソフィアはそれを許さなかった


「それはそちにとっての不幸ぞ、妾のあらゆる権力をもってして終わらぬ永劫の罰をつかわす」


ゼファースを建国出来たのはアリス・アシュリーのお陰だ、その恩兎を引き抜く?

自国の建国の母を招くのに他国の者に口を出されるのはお門違いとソフィアは数百年振りに激怒していた


クレアはソフィアの真剣な怒りを眼にするのは之が初めての経験だがこれが己が仕える主かと改めて忠誠心を高めソフィアの怒りを買ったシャルマーユへの対応を頭の中で模索する


「ソフィア女王失礼した。もうその辺で勘弁してもらえないだろうか? 正式に失言を謝罪する」


一国の皇が立ち上がり頭を下げる

玉座の間がまたしても騒めくが反してソフィアは冷静になれた


「――そうですね、私も怒りに任せて乱暴な台詞を吐いたことを陳謝致しますわ」


こうして2国の皇と聖女の今の一連の行動謝罪は議事録から抹消された


それからというもの、ソフィアの独壇場だった

国に戻るまでの滞在費から待遇まで、そして件の鉱石の毎月の海上輸送費用から何から何までシャルマーユ陛下は言い成り人形だった


そして聖領域国ソフィアと宰相クレアは退場し、玉座の間に集まった皆も退場していく


「「「「「―――」」」」」


傍仕えも退出させシグルトが胸中を吐露する、冷や汗を垂らし疲労感で声は掠れていた


「い、命拾いしましたな」


聖帝のあの怒り様、紛れもない事実だ。そしてゼファースの怒りを買ったとなればその国の末路は語るまでも無い

幾ら武力で世界を相手取れようと世界中からつまはじきにされ、鎖国状態にされてしまう


「全くだ。それにしてもアリスがゼファースの建国の母だと? どういう事だ?」


聖女ソフィアは嘘か真か2000年は生きてると言う、そのソフィアの国を創ったのがアリスという事はそれを事実として受け取るならアリスは2000年以上生きてるという事になる。そしてなによりアリスはゼファースの国民ということになるのかもしれないと陛下は更なる難題にぶち当たりシグルトと話し合う事となるが結論は出なかった



その結果、シグルトから宰相らしからぬ飛んでも無い提案を出された




5日後。シャルマーユ皇城前、大庭園


聖領域国ゼファースの御旗を掲げた白の豪奢な馬車の前では居並ぶ近衛隊を控えシャルマーユ皇帝・宰相シグルト・聖女ソフィア・近衛クレアが並んでいた


「どういう事でしょう?」


先日の威圧溢れる厳などつゆほどもみせずソフィアは可愛げに小首を傾げる

陛下の見送りかと思いきやその肝心の陛下の装いはグラムこそ帯剣してるものの平服そのものだった


「聖女様が帰国されるまで俺は皇でなくアシュリー姉妹の『友人』である一市民のロックンです」


シグルトの奇策、「いっそのこと師も聖女様と供にアシュリー工房へ向かうのが宜しいかと、表向きの口実は護衛になりますし真の目的はアリス様に真実を尋ねるという事で」


陛下ももうそれしか無いとその案に乗った、聖女と暫く寝食を共にするなど不安と委縮しかなく、陛下はこっそりエナジーポーションを大量に積み込んでいた


一国の皇に国を留守にしろなど宰相の台詞らしからぬが事が事だけにこれが最善だった

後のシグルトの言い訳は「初めから最後まで議題として狂いすぎてて常識が通じる筈も有りません!」だった


「ああ、成程。そういうことですね!」


叡智溢れるソフィアはそれだけで察し陛下もといロックンの案に快諾する


「これほど頼もしい護衛はおりませんねソフィア様」


クレアも陛下の護衛ともなればこれ程安全な旅路は無いと穏やかにソフィアに声を掛ける


「ええ、全く。フェザスター坊やの成長振りが見れますね」


かつて兵士見習いだった頃の陛下を思い出しソフィアはクスクスと笑みを零すがロックンは流石にもうその呼び方は恥ずかしいと固辞する


「聖女様その呼び方はもうやめて頂きたい・・・」



そしてロックンと聖女とクレアの3人を乗せた高貴な馬車はルルアのアシュリー工房へと向かう

尚事前にルルア領主シャナードに早馬で聖領域国のソフィアがルルア入りするとの知らせと同時に箱一杯のエナジーポーションを贈る気配りを陛下は忘れていなかった

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