145話 テンプレを期待する錬金術師
幻神歴2962年05月05日
2日前にお騒がせ令嬢が突如来訪して場をかき乱したがその日のうちにアマネに解決を頼んだところ無事解決してもう2度とあの令嬢は来ないとの事で一安心してカレンの教導技術錬研参加の前祝に盛大に夕餉を満喫して、今日
カレンの教導技術錬研への出立へと家族総出で見送っていた
尚、付き添いのリールー・エイシャも同伴することになっておりアシュリー工房の前では1台の幌馬車が待機しており馬車内でリールーは先が重いと悶々としていた
「それじゃカレン、一杯学んできなさい。これも貴重な体験よ」
「はい姉様!」
「まぁあれだ、おめぇの成長は売り上げに繋がるから応援しといてやる」
「ありがとねっちゃるめら」
「カレンちゃん半年も会えないのは寂しいけど応援してますよぉ」
「ありがとっ、私も寂しいけどその分知識を吸収してくるから」
「カレン様、どうかご無事で。その叡知を発揮して存分に力を振るってください」
「ええ、シャイタンさんも半年だけだけど会えなくなるのはちょっと寂しいけど期待してて」
「カレン様存分に座学を満喫してきてください。カレン様ならきっと素晴らしい発明をするでしょう」
「ええ! 頑張るわよ。フラミーも期待してて」
寂しがり屋のカレンの半年もの家族の分かれというのにこれから教導技術錬研で学べる事に胸を躍らせて期待が膨らんでる
尚前回の騒動で3柱はカレンにそれぞれチョーカーやリボンなど貴金属にあまり関心のないカレンに向けたとんでも神器を贈っている
アマネからのピンクのチョーカーはカレンへの思考看破の妨害
シャイタンからの無地のブレスレットは魔力・エーテル感知に自動反応して対象者に悪意があれば強制転移を発動させる
フラミーからの紫のリボンは普段の三つ編みの左の蓬莱の玉の枝に反して右側で髪留めとして利用し装着者への害意を低くする効果がある
等と言った素晴らしい贈り物にカレンは効果は聞かされてないが其々に抱きしめて感謝を示した
一方リールーはというと暗鬱とした表情でそのやり取りを眺めていた
この問題児と半年も教導技術錬研という国随一の機関に参加するのに碌な目に合わないのは火を見るより明らか
それを察してちゃるめらから差し入れにエナジーポーションの詰め合わせを受け取っていた
そして家族がおしむなかカレンとリールーは幌馬車に揺られてシャルマーユ本国に出発した
旅路は1週間の予定でその間リールーはカレンの妄想に散々付き合わされた
きっと小生意気な同い年ぐらいのライバルが出来る筈よ
私の見た目で小娘と馬鹿にする愚か者に実力を見せつけて黙らせる場面がある筈
試験官みたなのがいてあなどってた私の実力に驚くのが目に浮かぶわ
いけ好かないイケメンに好意をもたれたりするかも
私の魔導具で参加者をあっといわせるのが楽しみだわ
等々、カレンの一方的な妄想に付き合わされたリールーは堪ったものではなかった
そんな苦痛の旅もなんらトラブルなくカレンの2度目となるシャルマーユ本国入りとなる
今回は皇城ではなく一等区に建造された教導技術錬研への参加なので登城せずにそのまま教導技術錬研へ向かう
「ああそうだカレンさん、前もって言ってた大綬をローブの上から身に着けといてくださいよ」
「おっけ~」
個人参加者とはいえその数々の勲章で並の受勲者を圧倒せしめる為にあえてリールーは前もってカレンに大綬の持参を言いつけた。幾ら教導技術錬研で普段の横の繋がりのない者同士の接点の機会とはいえカレンの場合国内外で良くも悪くも名が轟いているのでよけいな虫除けに威光を発揮させようというリールーなりの画策だった。
そして到着した教導技術錬研、一等区に新造されたばかりで規模は計り知れずアシュリー工房の何十倍はあろうかというほどで2人して圧倒していると衛兵に声をかけられ、参加者と示しバージルから受け取っていた参加資格書を見せカレンの大綬の勲章の数々に圧倒され懇切丁寧に施設内を案内してくれた
今回の教導技術錬研は4部門あり開発・生産・研究・実験と其々に施設が分かれておりカレンの場合私室は生産部の一級部屋になるが各部署への参加になるだろうとのこと、なお例外でもあるリールーは流石に部屋は無いのでカレンと同室となった。
案内の途中何名もの推定参加者と出くわしたが皆男女問わず中年層ばかりでカレンやリールーに年の近い者と会う機会はなかった
私室へ案内され、昼から主催者の挨拶があるので主席するよういわれ、部屋の準備を済ませて会場へ向かうカレンとリールー
会場には研究職だけでなく見るからに戦闘職と思われる人物も結構おり、会場内には200人以上はいるであろう
そして壇上ではカレンの見知った顔ぶれも幾つか並んでいた
賢者ルード・賢者ジル・それと初見だが同じ壇上に並んでるということはおそらく賢者であろうと推察される人物が4名
会場がそのあまりの豪華な顔ぶれにしんと静まり返った所で壇上の左端に座っていた賢者とおもしき男性が立ち上がって声高に宣言する
「知ってる者もいると思うが私は魔法師最高位にして賢者ハロルド、そして左から錬金術最高位の賢者ルード・次に薬学最高位の賢者ジル・信仰師最高位の賢者ルス・幻獣組合最高位の賢者ルシアン・剣術師最高位にして賢者グラット。先ずは皆の参加に心からの感謝を。そしてこの教導技術錬研では各組合の過去の軋轢を超えて皆で協力して新たな技術の発展と発明を目指そうではないか! それと同時に諸君らには時期学び舎の学者としての知識も身につけてもらいたい。これはシャルマーユの今後の大きな発展に繋がるので存分に期待している」
こうしてカレン期待の教導技術錬研での生活が始まった。
一方その頃アシュリー工房では半年も愛妹。しゅきなカレンちゃんに会えないなんて耐えらえる訳も無く別れたその日にシャイタンに遠視の魔法をカレンの部屋に設置してもらい天獄の某聖女の如く常々見守っていた
シャイタンは念の為カレンの影ながらの護衛にとびきりの者を手配し、安心してフラミーと一時神界へ帰還した
コボルトは行商人との折り合いごと等あるものの基本鉱山に籠りっきりでカレンのいない今カレンの代わりにアリスに鉱山弁当を作ってもらっている。カレンのことなぞ発掘中はどこ吹く風だった。
1986のシンの宗主星にて
1柱の永久評議神がてんぱっていた
シン様! 以前の神前での無礼を詫びますのでどうかお気を静めてくださいませ! ルグランド大陸が気候の乱れにより崩壊寸前です!
いやいや俺じゃねぇから!
おいシン! 貴様我に戦争を仕掛けるつもりか? アスガルドが豪嵐で乱れている、こんなことできるの貴様ぐらいだろ
オーディンまで馬鹿なこというなよ・・・俺がお前に戦争仕掛ける訳ないだろ・・・・・
あの、シン様? 67の星のザン大陸が異常高温で作物全滅しつつあるのですがあの星は放棄するので?
はぁ?! あそこは俺のお気に入りだぞ! 今すぐ何とかする
おいおいシン君よぉ、俺の星の南部が過去に例がないほどの豪雪で混乱してるんだけど何? 侵略? 素戔嗚がやる気満々になってるぞ
伊邪那岐お前もかよ・・・俺じゃねぇから! とりま現地行って収めるからあの戦闘狂抑えてくれ
シン様! 3695の星に侵攻は拙いですよ! あそこはイラト様と盟約を結んでる星ですよ
おいそれやばいじゃん! イラトの機嫌損ねたら何されるかわかったもんじゃねぇ、そっちもなんとかする
此処数か月このような異常報告がシンに押し寄せており全て気候関係、それも異常なほどの規模なのでシンの仕業とみなされ苦情が殺到している
(なんだこれ、どこの馬鹿の仕業だ? こんな無作為に暴れるなんて伊邪那岐としか思えんがその伊邪那岐からも苦情きてるし・・・しかも犯人がどれも不明ってほんとどういことだ?)
ただでさえ放任主義で日和見なシンはこれはもう耐えられないとアヌに泣きつき、緊急神界最高評議会を開いてもらった
「それで、なにか釈明があるなら聞くぞ」
アヌですらシンが犯人と決めてかかっていた
「いやいや俺じゃないって! そもそも俺の性格知ってるだろ!? こんな急に錯乱したりしねぇから!」
「あら、普段温厚な方ほど切れると何かするってよく聞くわよ」
珍しくイラトも苛立ち気に問い詰める
「シンあんた私のお気に入りの星まで乱してくれたそうじゃない、覚悟できてんでしょうね?」
ヘカーティアが神威全開で切れていた
「俺の星も幾つか混乱に陥ってる。事と次第では戦争も視野に入れるが」
シャイタンが愉悦顔で詰める
「それもだが我の派閥のデメテルが行方不明なのだがこの事件に絡んでるのではないか?」
ゼウスがあらぬ嫌疑をかける
「シン! 貴様妾の星2つ気圧を乱して滅ぼしたな! 貴様の星にヨルムンガンド放ってやるからな」
エキドナが殺意満々で宣告する
「しかもお前各派閥だけでなく幻獣界や天獄の一部でも大気を乱したって? 白狐とアヌビスが怒ってるぞ」
伊邪那岐が愉快気に語る
「もう嫌だ永久評議神辞職したい、なんだこれ。ありえんだろ・・・ってかなんで全部俺のせいになってんだよ!!!」
「「「「こんな大規模な気候の乱れお前しか無理だろ」」」」
「あっそうだ。イラト、ミトラにこの戦犯の犯人追求してくれ! ミトラなら分かる筈だろ、なぁ頼む助けてくれ」
思わぬ神の名が出て(ちっ前座もここまでか)と1柱だけ胸中でしらける
「まぁいいけど。これで犯人があんただったら神界・幻獣界・天獄の総攻め覚悟なさいよ」
そういってイラトは遠視鏡でミトラに連絡をとる
ミトラとは光、真実、盟約を司る神でイラトの腹心だ
イラトが事情を説明しミトラが権能で真実を暴くと暫し唖然とし恐々と報告する
「えっと・・・イラト様、犯人はシン様ではなく、数多の悪魔と天使を介しての首謀者がシャイタン様で実行犯はヘルメスですね。手段については・・・ちょっと説明が難しいですが御方の片割れが関与してます」
「「「「「「は?」」」」」」
「それと先んじてこの事実にたどり着いたデメテル様は今現在シャイタン様の派閥により拘束され監禁されております」
「おいシャイタンお前の仕業か! どうしてくれんだよ!!」
シンが責め立てるがシャイタンは飄々とした憮然とした態度で種明かしをする
「全く、ミトラを使うとはつまらんな。ああ、そうだこの騒動は俺が一役かってる」
「シャイタン! デメテルを捕らえるとはどういうことだ!」
「ああ、それか。なに、貴様の派閥のヘルメスと事を起こしたのはいいが暫くしてデメテルに判明されてな、まだ暫く暴れたかったので拘束してる。殺してないだけ感謝しろ」
傲慢不遜に逆に感謝しろと言い放つシャイタンに怒りつつもアヌが割って入る
「そもそもシャイタン、お前の派閥にこれほどの天候を乱す手勢は存在しなかっただろう。悪魔はおろか枢要罪ですら不可能な筈だ。どこの派閥と首謀した?」
「派閥ではない。丁度いいから貴様らこれを見ろ」
そういってシャイタンはカレンの魔導具の数多の資料を各永久評議神の前に転送で出す
各々がその資料を見て驚愕する
なんだこの出鱈目な効果は
魔道具でこの効果? しかも緋緋色金を使用って・・・
もはや神器ではないか、それもあのカレンの、凄まじいな
流石妾のカレンじゃ! 凄いのう
混沌姫ちゃんやっぱすげぇ♪
なにこれ我欲しい・・・
「見ての通りだ。異能も権能も無く名も使わず魔導具だけで人の身でこれだけ絶大な効果を発揮したんだ。いずれカレン様が悪神か善神かどちらかについたとしてもその神明が轟くのは明白だろう」
事情を理解したアヌは新たな悩みを抱える事になるが一応今回の騒動の目途はついたと締めくくる
「ふむ。シャイタン。お前の意図は察した。シン、疑ってすまなかった。してシャイタン、本懐は十分果たしただろう。今後この騒動は止めよ」
「ああ、心得た」
といいつつもシャイタンの目的はまだあってそれを切り出す
「所でアヌとゼウス、以前と比べて些かと髪が薄くなったようだな」
「ん? それがどうした」
「なんだ急に」
「それを飲んでみろ」
そういって2柱にポーションを投げ渡す
毒など無効なので2柱も特に気にせず一応警戒しつつもそれを口にする
あっという間にアヌとゼウスの神がふさふさになり更に伸びた
「「「「「「!?」」」」」」」
「それもカレン様の発明品だ、各々更にほしければ対価次第で譲ってやる。それとシン、貴様には世話になったからな、これをやる」
そういってエナジーポーションを渡した
こうして神界に戻ったシャイタンはアシュリー姉妹の魔導具の披露をし、未だ無名のアシュリー姉妹を大きく売り出した
目的を存分に果たしたシャイタンは部下にデメテルの解放を指示して久しぶりに主の食事が食べたい欲求に駆られフラミーとアシュリー工房に帰還した。
夕餉時だったのでてっきり台所かと思ったが主の姿は見えず、カレンの部屋にもノックしたものの返事はないが入室したがやはり主の姿は無かった。
フラミーが地下工房では? と言うので2柱して地下工房に降りると目当ての主を発見した
発見したものの様子がおかしく、なにかしらの書類を手にうんうんうなっておりシャイタンとフラミーの訪れにも気づかない様子、うさ耳も面妖な動きをしている
「アリス様、ただいま戻りました、如何されましたか?」
「―――あ~シャイタンおかえり・・・・えっとさ、確認だけど以前お前とエキドナ騒動の後にギアス交えて真剣な話したじゃん?」
「ええ」
「そのギアスの内容に出てる御方ってさ、超越者ってやつ?」
「「!?」」
「アリス様、それをどこで知ったのですか!?」
「これ、カレンの以前オークションで買った魔導具のまだ改良中らしいけどカレンの身分書あったから試しに私もこれで作ってみたの、見て」
そういってシャイタンに手渡した書類には事細かに詳細が記されており一部驚愕の部分もあった
レベル:875
クラス: 超越者 外法師
種族名:玉兎族
種族種;亜人
固有名:アリス・アシュリー
年齢:2115歳
性別:女性
属性:時 氷
固有技能
現地調達A 土地勘F 危機察知A 隠密行動F 武術F 剣術F
魔法SS 外法SSS 信仰0 魔力量∞ エーテル量S 料理SS
固有能力
外法 狂運(弱) 絶招・混沌意思 天導回廊 性豪
使役獣 超越獣ちゃるめら 大悪神シャイタン
魔獣討伐数 下位204359 中位85004 上位6059 最上位5030
犯罪歴
殺人 横領 強奪 簒奪 戦犯 国家転覆罪 国家反逆罪 呪言の不正使用 使役獣の不正使用
殺害数 124.938.759
旧神の関心 蛇の祝福 アヌビスの寵愛 アヌビスの祝福 アマネの祝福 シャイタンの祝福 フラミーの祝福
その他にも30を超える聖獣・神獣の祝福が記されていた
「・・・・・」
あまりの正確さにシャイタンもフラミーも押し黙ってしまう
「ねぇ、私もその超越者とやらになってるってこと? それって拙い?」
殺人数については正確な数字は覚えてないが異界書でもある愛用している半壊の兎書と照らし合わせると1億ぐらいの魂のストックがあるので恐らくは正確なのだろうと納得できるがその他で分からない箇所が幾つかあったので丁度いいと尋ねる
「――――いえ、神界・幻獣界・天獄においてこれ以上ない程の目出度い事です。機会があればアヌビスにも伝えると宜しいかと」
「・・・そう、それじゃこっちも見て、カレンのやつよ」
レベル:1
クラス: 錬金術師 調香師 混沌姫
シャルマーユ皇国
錬金術教導組合 ルルア支部所属
商業組合 ルルア支部所属
薬学組合 ルルア支部所属
最上位錬金術師
最上位薬学師
最下位商人師
固有技能
現地調達B 土地勘F 危機察知F 隠密行動F 武術F 剣術F
物質錬成A 生命錬成F 製薬錬成SSS
商売技能F 交渉技能F 加工技能A
調合SSS 調理SSS 料理SS
エーテル量S 魔力0 信仰F
固有能力
狂運(極大) 無の世界 万象の瞳 性豪 比翼連理の欠片
種族名:玉兎族
種族種;亜人
固有名:カレン・アシュリー
年齢:15歳
性別:女性
属性:無
使役獣 大善神アマネ 大悪神フラミー
魔獣討伐数 下位0 中位0 上位0 最上位0
犯罪歴
殺人 横領 強奪 簒奪 誘拐 拉致 騒乱誘致 独占防止 危険薬物製造 使役獣の不正使用
殺害数 9.389.519.784
かおす★うぃっち旧神ちゃんが見てるゾ☆彡
狂運 旧神の寵愛 蛇の祝福 アヌビスの祝福 アマネの祝福 シャイタンの祝福 フラミーの祝福
その他にも40を超える聖獣・神獣の祝福が記されていた
「それと比べて幾つか確認したいの」
「畏まりました。ですがその前に、この超越者についてはカレン様にはなにも言わずにおいて頂けますか?」
「ええ」
「神以外に超越者について語るのは天獄送りになりますからな、シャイタン様も私もカレン様にそのようなこと想像もしたくありません」
フラミーがぽつぽつと語る
「分かったわ。それで、ギアスの通り超越者については聞かない。けどちゃるめらの超越獣ってどういう事? あいつは最下級のコボルトの筈よ」
様々な獣種と遭遇したアリスだが超越獣など聞いたことも無いので真っ先にそれを追求する
それに対してシャイタンが珍しく重苦しい口調で語り出す
「―――前例が1つしかないので憶測になりますが恐らく超越者のアリス様と契約を交わし尋常ならなざる苦難の末に至ったのかと思われます。最も前例については私奴も詳細は不明ですが」
全ての星で超越獣は超越者カレンの使い魔マーナガルムのみだ
今までは
「そう・・・まぁ不都合な要素はなさそうだからそれはいいわ。次にカレンのこの殺人数。テンゲン大樹海での野生の獣狩りならともかくあの優しい子が殺人なんてありえないわ。これはこの魔導具の不備かしら?」
アリスはちゃるめらについてはそれほど追求する気はないのかあっさり引き下がるが本題のカレンについてはきつく問い詰める
「アリス様、それにつてはおそらく正しいかと」
アリスの不機嫌振りも分かるがあえてフラミーが割って入る
「どういう事?」
「以前旧神の遺物で発明した魔導具、あれによって星が4つ、それ以前にカレン様も何度か試されたでしょうしそれで消えたのでそこに存在した住人の数かと」
それに加えてフラミーは言葉を伏せたがかつてアンズの隠れ里を滅ぼした事もあって星に比べたら微々たるものの数十から数百の実行犯でもある
「ああ~あれか・・・確かにそう言われると言い返せないわね」
「あれは正に旧神の権能そのものですからな」
未だ思い出すだけで身震いするいかれた魔導具だ
「そして最後になんだけど―――私にもカレンにもあるこの狂運ってなに? 凶運や豪運は今まで何度か見た事あるけどこんなの知らないわ。状態異常みたいなもの?」
アリスのもっともな疑問にシャイタンが即座に返答する
「アリス様、そちらについては既に配下によって検証されております」
「というと?」
「凶運は運が悪く、幸運や豪運はその者の運が高い。ですが狂運は運の上限、下限が極めて差が激しく一重にただ運が悪いという訳ではないのです」
「んっと、つまり運気の上下が通常よりはっきりしているってこと?」
「はい。カレン様で言う所の数多の到達点を紐解き莫大な恩賞を得た、これが凶運の上限。ルルアを浮上させ莫大な借金を背負う、これが下限ともいえるでしょう。最もカレン様の狂運(極大)がどれほどのものかまでは判明できておりませんが」
「ん~~~この星で加護が禁止されてるのは知ってるけどそれって例えばカレンに幸運の加護とか授ければ解消される?」
「私奴もそれを考慮したのですが配下曰くカレン様の狂運(極大)ともなると幸運の加護を授けた場合万が一にも下限を引いてしまえばそれこそ取返しの付かないことになるのは必定なのでむしろ授けないほうが御身の為かと」
シャイタンの解説にフラミーが続く
「本来幸運の加護といえばある種呪いに近い程の強制力があるのですがカレン様の場合なんといいましょうか・・・持前の不憫属性から下限を引きかねませんからね」
「そっか。参考になったわありがとね」
その後3人で存分に対策を練りカレンが帰還したらこの魔導具はシャイタンが買い取り隠匿ということになった
カレンの資料によるとまだ開発途中とのことなのでカレンの気が済んだから話を持ち掛けることにする
こうしていつのまにかアシュリー姉妹の姉は一足先に超越者に至っており、使役獣のちゃるめらも第二のマーナガルムという非常に稀な立場となった。




