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臆病兎の錬金経営譚  作者: 桜月華
142/148

142話 無双聖人と無垢な聖人のはじめてのおつかい

幻神歴2962年04月25日


かつての再現、そうゼファースの聖女ソフィアとの接見があった

それも事前通達無しに



今日は謁見でなく執務室でロックが政務を粛々とこなしていると宰相のシグルトが近年稀に見る有様ですっ飛んできた


「へ、陛下! 失礼致します緊急故失礼致します」


これまた珍しく返事も待たずに室内に飛び込み素っ頓狂な事を言い出した


「ソフィア女王がお越しです」


「なに!? また聖女の来訪予定だと、それは目出度いではないか。それで、来訪の期日は?」


「いえ・・・来訪でなくお越しなんです」


「・・・ん?」


「今来賓の間で待って頂いております。現在皇城におられる賢者様方と本国で相応しい貴族連中を大至急手配してるので陛下も礼装して謁見の間へ」


「ぇ、待って聞いてない。何言ってんだお前」


「私も20分ほど前に門兵からの知らせが来た時はその反応でしたよ・・・・なんでも供回りも連れず皇城の門にふらっとソフィア女王が単身で現れて陛下にお礼が言いたいので会いたいとのことで」


「――お、俺今から病に伏せるから後は任せる」


「ノーブルポーション飲んででも来て頂きますよ」




当然皇城は突然の聖女の来訪に大パニックでてんやわんやだったがなんとか体裁をとりつけ玉座にプレートメイルを纏い見た目だけは堂々と鎮座しておりその隣では宰相のシグルトが冷や汗たらたらで立ちすくんでいた。


「シャルマーユ陛下、ルルアへの通行許可証有難うございます♪ お陰で満喫しております」


聖女にふさわしいにこやかな笑顔で伝えるソフィアだが対してロックとシグルトは内心ぱにくっていた


((なんで聖女が来訪してんの?))


これである


こんなこと前代未聞だ、玉座の間に急遽集められた賢者達や貴族連中も訳が分からず立ちすくんでいた


そんな場など無視してソフィアはまるで友人に語り掛けるようにハキハキと明るく話を進める

この場は完全にソフィアが支配していた


「それでですねっ、友人のアリスとカレンに紹介された期待の後輩といっていいのかしら。聖人のマリステラとはとても気が合ってマリステラともすっかり友人になりましたわ♪ あの娘とてもいい子ですねっ」


その立場を無視して気軽にアシュリー工房に立ち寄ったソフィアにシャイタンが貴様の後輩を紹介してやるとすっかり馴染みの茶店となった所で顔合わせした途端、即座に互いにハイタッチしマリステラとすっかり意気投合したのだ。そしてカレンがかつて自身が身に着けていた学生服をローブの下に着て気に入っていると言ってくれたのも嬉しくもあり、どうせならと持前の衣服からカレンに合いそうな衣類の詰め合わせを後に贈った


気軽に爆弾発言するソフィアを一旦おいてシグルトが待ったをかける


「聖人!? 後輩!? ま、待って欲しい。まさかシスのあの聖人がルルアに来訪されてるので!?」


「まぁ、シグルトらしくない冗談を。あの国の役職聖人を私が聖人と認める訳ないでしょうに、まごう事無き種族聖人ですよ、私同様に」


「あのペテン師でなく本物の聖人がシャルマーユにいると!? それもルルアでアリスとカレンの友人とな!? す、すまないが詳しく聞かせて頂けないかソフィア女王よ」


ロックが慌てて問い詰めるが余りの内容に素も交じってしまうがソフィアは軽く首を傾げあざとく返す


「ん~そうですねぇ。まだ誕生して間もない聖人ですが将来性は私を超えますよ、なにせ5億人分の可能性を秘めた集大成の聖人なので♪ まったく、アリスもカレンも錬成技量も素晴らしいですが張本人のルーシェさんという方は素晴らしい叡知ですわ、私が素直に称賛する程に。友好国でなければ招致したいほどです」


耐えきれずロックとシグルトも場もわきまえず懐から慣れた所作でエナジーポーションを取り出し飲み干す

それでも落ち着きが間に合わずお代わりまでする程だった


そしてロックが更に詳細を問う


「錬成? まさか人体錬成と? それも聖人を? すまないが流石にそれは聞き逃せん。詳細をお聞きしたい」


未だ帝王学と政務を教わっている身ではあるが各組合の到達点と禁忌ぐらいは流石に既に把握してるのでロックがその異常性に真剣に問い詰める


「あら、私ったらてっきり既に皇国は御存じかと思ったのですが、いけないわ。内緒だったのかしら? すみませんが私からはこれ以上は話せません♪」


「い、いやそういう訳には・・・「ところでシグルト、エクスカリバーちゃんはお元気ですか?」


元気だよ~♪


陛下とシグルトと一部の武芸者にだけ聞こえるが暢気に返事をするエクスカリバーちゃん


この返答で察した。つまりこれ以上言及するならエクスカリバーについてこの場で話すと

なぜ機密にあれだけ苦労したエクスカリバーについて聖女が知っているのか? 知恵の逸脱者ならおかしくないかとロックとシグルト2人して即座に納得して詰問は諦めた・・・


場を支配して無双した聖女はそれでは失礼しますね♪と颯爽と軽快に立ち去るが残された者たちは大パニックだ


せ、聖人だと!? それもあの詐欺師でなく本物のだと・・・


それどころではない、人体錬成というではないか!


人体錬成で聖人を・・・大問題ですぞ


しかしまたしてもルルアか・・・


シャナードも難儀なものだ


だ、だがもしそれが本当ならシャルマーユに聖人様がおられるということになるのでは?


場を代表して賢者レイアードが取り仕切る


「陛下、流石に聖人となると見過ごせません。即座に事実確認が急務かと」


「そうだな。あのペテン師ならどうでもいいがソフィア女王のあの物言い、種族聖人となると余が行かねばなるまい、それとルード、人体錬成の嫌疑もある。其方も供をせよ」


「はっ」


こうして急遽シャルマーユ陛下ロックと宰相シグルトと賢者ルードのルルア来訪が決まった。それも急速に



ルルアへ走行中の皇族専用馬車内ではロックとシグルトとルードが対面しているがその表情は決して良くはなく、暗澹としていた


尚この面子が大袈裟とも思われるが相手が聖人なら仕方ない事だ、なにせ聖人様にお伺いを尋ねる立場なのだから逸脱者にして皇とはいえ上位存在の聖人への敬意は当然の配慮だ


「ルード様、仮に本当に聖人様が人体錬成で創られたとして法を変えることは可能ですか?」


「むぅ・・・・人体錬成への法規制自体は可能じゃがその結果が聖人となると当然公表はできん訳じゃからのう。ありきたりの人もどきの失敗作への対処とは訳が違う、法を改定する公の理由はいりますな」


「聖人様が錬成できるからなんて公表できるわけないしな・・・・全く! あの姉妹とんでもないことを・・・」


「アシュリー姉妹もですがソフィア様が仰ってたルーシェなる奴も気になりますな、最近最上位に昇格したとかで、まだ顔合わせはしとらんからのう」


ロックとシグルトと違いルードは苦難半分期待半分だった

尚ロックがこのルルアへの移動中に服用したエナジーポーションは15本だった・・・着実に某受付嬢に近づいていく始末だった

シグルトは9本でなんとか済んだが




普段と違い公務でルルアへ立ち寄ったので当然公の手続きを取る

先ず始めに領主シャナード宅へ向かい「事情は明かせぬが今回とある公務で立ち寄った。結果次第では其方にも打ち明けるが今は何も聞かずにおいてほしい」と敬愛する皇からの頼みに即答で頷いて懇切丁寧に歓待した


そしてロックとシグルトは平服に着替え、ルードはいつもの豪奢なローブ姿となって偽装用の馬車でアシュリー工房へ向かう


そして3者3様に胸の内は様々だったが工房に立ち入ってすぐにあっけなく解決した


「は? 人体錬成の訳なかろう。そもそもカレン様も共同錬成されたのだぞ。魔力の無いカレン様が人体錬成できんのは貴様のほうが知ってるだろう」


普段通り横柄な態度であっさりと当然のことを説明するシャイタン


「あっ そういえばそうじゃった」


結果があまりのことにうっかり失念していたルードだった


「だ、だがソフィア様が聖人といっていたぞ。どういうことだ?」


ロックが最悪の結果は消えたかもと内心ほっとするがそれでもまだ聞き捨てならないことがあり追求する


「それは事実だ。ティターニアの魔力込みの宝珠や緋緋色金(ひひいろかね)と死生結晶50個を使った共同錬成で創られた聖人だ。5億人の可能性を秘めた聖人だぞ。数多の聖人を見てきた俺でもその真価は計り知れん。くくくっ」


「人体錬成でなく聖人様と? おいシャイタンどういうことだ」


シグルトの当然の疑問に対してシャイタンは苛立ち気に言い放つ


「・・・貴様、以前は手紙で用を済ませて今回は神前の準備も無くこの対応か? 俺が善神でこの地でなければ神罰下すところだぞ」


「そ、それはすまないが皇国軍の兵を殺しまくった貴様に儀礼を尽くすのは私の信念に反する。それでも態度で示せというならこの場で自害するのでそれで私個人の無礼で容赦願いたい」


「―――ふむ、その心意気気に入った。いいだろう、不問にしてやる。マリステラについてだが―――ふむ、そうだな『貴様ら』にとってもあいつらにとっても最優の結果になりそうだし俺が案内してやるから直接本人から聞け」


こうして偽装用の馬車に平服のロック・シグルト・シャイタン・ローブ姿のルードを乗せルルアの墓地へ向かう


「お~お前さん1人とは珍しいの・・!?」


いつもの来客の知らせにまたアシュリー姉妹かと陽気に出迎えたが姉妹ではなくその使い魔のシャイタンだったがそれとは別にその背後におわす面々に驚愕して慌ててその場で平伏するルーシェ


いかに平服を纏おうと陛下と宰相と総帥のルードを知らぬわけがない、これが当然の対応だ


「そうかしこまるなルーシェ、背後の連中は俺の知人でな、今日はこいつらの確認と『貴様ら』にいい話をもってきてやった。入るぞ」



使い魔が国のトップ連中と知人とはどういう訳か訳も分からないが背後の方々を入り口で待たせるわけにはいかないのであわてて資料室の机の書面を片付けアシュリー姉妹とシャイタン。それと自分様にと丁度椅子4つあったので低頭に用意する


「へ、陛下! 並びにルード様にシグルト様、接客など無縁で申し訳ないですがどうぞこちらへ!」


そこへぶしつけにも古代の最上級の使用人服を纏ったマリステラが登場してシャイタンを見て胸元の用紙に何事かと書き示して提示する


《しゃいたんおひさ~》


そして無表情でマリステラとシャイタンは気軽にハイタッチする


「久しいなマリステラ、茶を5人分用意してくれるか?」


《おっけ~》


そしてマリステラは使用人に反してはあまりにお粗末な態度で台所へと去る


その一面だけを見てロックとシグルトは(本当に聖人とは)と驚愕し、ルードはその知識からある種2人以上の驚きを襲っていた。先駆者だけにマリステラの在り方と存在にいち早く察したのだ。


そして勧められた椅子にさも当然と先にシャイタンが座り、続いてロック・ルード・シグルトが着席する


ルーシェは当然床に膝をついて平伏したままだ


「さて、最上位錬金術師ルーシェ、貴様には今ある嫌疑がかけられている。この面子振りでそれは理解しているな」


シグルトが代表して話を進める


「は、はい!」


ルーシェはこの状況に四苦八苦だが1つだけ確かなことがある、マリステラだ

この面子、どう見ても人体錬成を疑われているのだろうがマリステラのあの奔放振りから否定のしようがなく、ルーシェは断罪を覚悟していた


「まぁ待ってくだされシグルト卿。錬金術ということでこの場は儂に任せてくだされ」


「はっ」


「さてルーシェよ、顔を合すのは初めてじゃが儂の事は知っておるな」


「勿論で御座います。賢者ルード様」


「うむ。本来術者の秘術を明かせというのは論外なのじゃが今回は状況が状況でな、人体錬成の嫌疑が掛かっておる。先の娘子じゃろう? 主の嫌疑を晴らす為にも錬成表をみせい。何公表悪用はせんと陛下に誓おう」


「・・・・・畏まりました。ただいま資料をお持ちします」


ルードの宣言でルーシェは覚悟を決め隠匿していたマリステラの錬成表の全てとかつての日記帳を提示し、それを1枚1枚丁寧にルードが確認する


「どうだルード。問題点や違反歴はあるか?」


陛下の直の声など初めて聴くルーシェが驚くがそれを上回る狂喜がルードから放たれる


「ひゃひゃひゃ!!!!! いやいや陛下! 問題点は件の3種の宝石という点がありますが再現性は無いので無視して問題ないですぞ。それに違反や犯罪に関する点もない、何より素晴らしい。こんな素晴らしいゴーレムは初めてじゃ! 凄まじいのう。儂の技量を遥かに超えておるぞい!」


「は? ゴーレム? あの聖人様がゴーレムというのか?」


ルーシェの狂喜振りに圧倒されつつも気になった点を尋ねようとするが・・・真の悪いことにマリステラが茶の用意を済ませ戻ってきた


マリステラから見ればシャイタン以外の初見の3人がだいしゅきなパパを虐めてるようなものだった


マリステラは茶を乱雑に机に置くと急いで胸元の用紙にせっせと今の心境を書いて無表情なりに怒気を見せメモを陛下にぺしぺし叩きつける


《パパをいじめないで! きらい》


「こ、これやめんか! ばかもん!! この御方は陛下ぞ」


マリステラのその態度に胸中穏やかでないルーシェが必至に羽交い絞めするがその対応に焦った陛下が誤解を解こうと必死になる


「せ、聖人様落ち着いてください。貴女の父君を嬲る気は毛頭ありません。ただ確認したいだけなのです、どうかお気を静めてください」


これだけ平身低頭なのも理由がある。相手が上位存在の聖人というのもあるが聖人の覇気が凄まじかったのだ。かつてのソフィアとの謁見の時に発露させた他者を圧倒させる程の威風堂々とした覇気の様に


これで3人は確信した。本物の上位存在の聖女様だと


《ほんとう?》


「ええ、この神剣に誓って嘘偽りなく本当です聖女様」


《ならおっけ~》


なんとか場が落ち着いたことで再度ルードが進行を進める


「さてルーシェよ、主確かミスキアのあの大商家リセンド家の者じゃったな」


「は、はいっ。次男ということもあって家を継がずこうして故郷を離れ錬金術に明け暮れておりますが家元はリセンドで御座います」


「ふむ・・・主いずれミスキアに戻る気はあるのか?」


「・・・すみません、仰る意味が、それはシャルマーユから追放処分されるということでしょうか?」


「いやいやとんでもない、その逆じゃ。主がミスキアに戻る気が無くシャルマーユに根を下ろす気なら賢者候補として手元に置きたい、そしていずれシャルマーユの錬研の総帥の座につかんか?」


「は!? おいルードなにを・・・「まぁお待ちくだされ陛下、これにはちゃんとした理由が2つあります」


「総帥・・・わ、儂が? 賢者・・・?」


「ルード様、その理由とは?」


「うむ、まず1つはこの者の技量は儂を超えており賢者に相応しい」


「なんと! それ程とは・・・」


「いや、しかしだな・・・其方の場合軍閥の関係からして・・・」


「陛下の言も最もじゃ、儂の大量錬成をレイアードが指揮すれば並の軍を上回る大師団ができるからのう、じゃがその点もこの者、ルーシェならいずれそれも可能とする。この者の異能の複製は正にうってつけじゃ」



「ほう・・・聖人様を身内に持ちルードに比類する程の才か・・・」


陛下が内政者らしく脳内で画策する


「して2つ目じゃが、この錬成表、当然公にすれば主は人体錬成の嫌疑で処罰される。じゃが賢者となれば話は別じゃ。主自身の技量で法を変える形実力で黙らせるなど幾らでも可能じゃ。そもそも聖人様を隠匿など畏れ多いしの」


「し、しかしルード様。儂には畏れ多い身に余る話ではありますがルード様には実績のある高弟が何名もおられます。その者らこそ次期賢者に相応しいのでは?」


「なにをいうておる。貴族社会と違い賢者は実力至上主義じゃ、儂の高弟と主では技量も才覚も差がありすぎる。主のが相応しい。最も主が了承すればの話じゃが」


「この儂が賢者など望外の望みで夢にも思いませんでした! 是非、是非! 賢者候補の座につかせてくだされ!! この身をシャルマーユに捧げることを誓います!」


カレンが種族性故の特性と臆病からくるだけで本来なら賢者の座につけるとなればこの反応が当然だ

それほど賢者というのは道が険しく、その頂きの栄誉は凄まじいのだ


「うむ、陛下。儂の独断で進めてすまぬがこの通りじゃが如何ですかのう」


「いや、むしろいい結果になったと喜ばしい事だ」


「あっ、恐れながら陛下、並びにルード様に進言したく」


「なんじゃ?」


「賢者というなら儂の友人のカレン・アシュリーも正に技量は凄まじく賢者に相応しいかと」


「ああ~・・・それか、ううむ、陛下?」


「そうだな、次期賢者となるお前には明かしておくか、ルーシェ、緘口令を敷くから他言無用ぞ」


「は、はい」


「実はな、賢者ジルが公表したフルポーション・ノーブルポーションと賢者ルードが公表したシナジーポーションとインペリアルポーション、それと魔導具の魔導船。この5つの到達点全てカレンが解き明かした」


「・・・へ?」


「本人が種族柄公の立場になりたくないということで既に賢者の地位は辞退されてる。だからカレンは除外だ」


「―――まさかあのカレンが到達点に至っていたとは。。。それも複数・・・」


「まぁそういうわけだから時期錬金術の賢者には其方が相応しいと余も経った今判断した」


「そ、そういうことでしたら身命を尽くして励みます!」


《パパどこかいっちゃうの?》


「い、いや、行くというかそのだな・・・」


あまりの驚きの連続にマリステラにどう説明するべきか困惑するルーシェだが、その場に大悪神が割って入る


「ふむ、剣星。貴様にいい提案があるぞ。シャルマーユの未来にも繋がる、マリステラ、貴様も父と一緒にいられる良案だ」


《なになに~?》


「提案? 国の為になるというなら聞くぞ」


「マリステラを次期皇帝に据えろ」


「「「「・・・・・・へ」」」」


「考えてもみろ。そもそも貴様は子を成す気はない。いずれは後継者争いになるだろう。それがソフィアに比類する程の聖人を後釜にしてみろ。シャルマーユの未来も安泰だろう。今はまだ創造されたばかりで幼稚な点は目立つが将来性はソフィアと同等かそれ以上だぞ? こんな機会この先一生無いぞ。マリステラも皇城でルーシェと共に暮らしたいだろう、それに考えてみろ。国の頂点の権力者だぞ? 父を好きにし放題だぞ」


それを聞いて可能性から即座に邪な発想を導き出したマリステラはいそいそとメモを取る


《王様になるぞ~バリバリ》


「将来有望な賢者にくわえて聖人様の次期皇帝とは・・・なんと凄まじい」


シグルトがシャルマーユの未来を想像して胸を躍らせる


陛下も思わぬ形で未来の課題を最優の結果で解決できそうで安堵する


ルードだけやっと後継者を見つけたのであとは悠々自適にアシュリー工房に通い詰めようと画策していた




その後シャナード宅へ戻った3人はルルアの関係者ということもあってシャナードに素直に事情を打ち明ける事にし、ルルアの錬金組合所属のルーシェなる人物がルードの後継者として賢者候補になること、それとこれはまだ内密に頼むがソフィア様同様の種族聖人がおりその者に帝王学を学んでもらい時期皇帝に添える計画だと、シャナードはカレンに続いて我が領地から賢者候補まで見つかるとはと感涙で歓喜した。



聖領域国ゼファース ソフィア居城内~私室~


「ふふっ、今頃フェザスター坊やは焦ってるかしら? いえ、あの逸材を後継にできるとなれば為政者としてこれ以上の朗報はないわね、これで以前からの要望には応えたわよ」


そう、すべてはソフィアの手の上だった

以前から有識者の貸し出しを要求されていたのだが今回最上の結果を齎したのだ

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