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臆病兎の錬金経営譚  作者: 桜月華
140/148

140話 整う錬金術師

幻神歴2962年04月22日


今日は土曜で休日にもかかわらず早朝、朝の品出しをルルア兎達に指示を出しつつ自身もえっちらほっちら運んでいると背後でドアベルが鳴り来客を知らせる


開店時間前の来客は一癖あると分かり切っていたのでてっきりまたお得意さんの豪奢な爺さんかと思いきや別人で、ちょくちょく買い物に来てくれる馴染みの常連客だったがいつも以上に笑顔で上機嫌だった



「やぁやぁ~! 開店前に失礼。コボルトさん、じゃなくて今じゃちゃるめらさんか、どうもどうも。アシュリーちゃん居ます?」


ちゃるめらのネームドはその知名度から1日でルルア中に広まり今や市場の個人露店商にすら伝わっている


「お、エムスの旦那じゃねぇか。旦那が早朝に来るなんて珍しいな、カレンか? ちょい待ってくれ」


エムスという中年層の客は兵服を身に着けており誰が見ても兵士と分かる常連客でカレンの限定弁当やアマネの果実や安酒を買ってくれる工房としても防犯に一役買ってくれる得難い常連客だ


以前エムスが娘を連れてきた時はちゃるめらはもふり倒されて氷菓子を振舞った経緯もある


「おいカレン。ご指名だ、とっとと顔出せ」


「なになに?! またお爺さんが・・・って、あれ? 貴方あの時の変態おじさんじゃない」


指名と聞いていつものお爺さんと勘違いして慌ててフードを被って売り場に顔を出すと予想外の人物がにこやかにこちらに手を振っていた


「は? 変態?」


突飛な内容とまさかの顔馴染みとは思わず面食らうちゃるめらだがそれを無視してずずいっとカレンにすり寄ってちゃっかり手を握りつつ上機嫌に挨拶を交わす


「やぁやぁアシュリーちゃん今日もかわゆいねっ! 変態? それ誉め言葉ね。男の嗜みだから!!」


「はぁ・・・まぁえっちに正直なのは好感もてるけど。それで何の用でしょうか? 例の件で何か問題でも?」


実はこのエムスという客、常連だというのはつい最近本人からの報告で知ったのであってそれ以前に面識があった


というのも先月のカレン家出騒動で誘拐されそうになった時に救出に来た第二近衛団の変態発言が際立った目立ったおじさんだった


「いやいや、ん~それについてこの前アシュリーちゃんからたんまりとお礼貰ったじゃん? 貰い過ぎたからちょっとでも返礼をと思って細やかだけど面白いの持ってきたよ」


救出後に場を改めて礼を伝えはしたが形としても礼をとカレンは後に有言実行したのだ


リリーに荷台を2つ繋げ保存食から手の込んだ贅を尽くした料理と手製の香辛料を満載と軍属ということもあれば消耗品も有用と各種ポーションを荷台1つ分に山積みしてシャイタンに預けているカレンの給金から感謝のしるしに謝礼金という形で星金貨50枚をルルア駐屯軍に持ち込んで贈ったのだ


「返礼なんてそんな、命の恩人の方達への礼として当然ですっ。―――でも一応その面白いのっての聞きたいです」


カレンとしては文字通り命の恩人なのでできる範囲で最大限の礼を謝礼品として贈ったのだが受け取り手のルルア駐屯軍がそのあまりの品々に絶句してしまう程だった。


戒厳令を敷かれたとはいえ星金貨1800枚を事情を知ってる現地に派遣された近衛で均等に分けただけでも破格の収入なのにカレン作のポーションを荷台に満載となれば星金貨数千はくだらない、金額だけでもとても受け取れないのにまさかのアイドルお手製の料理まで種類豊富に満載とあって受付も困ったのだが珍しくカレンの恩返しなので! と強引に押し切った経緯があったのだ。


「んとね~アシュリーちゃんの活躍も一役あって今のルルアはシャルマーユ皇国随一の経済特区ヴィーラ都市に並ぶほど商業が盛んでしょ。んでさ、中には珍しい商売なんかもあってさ、俺の従妹がちょっと本業の商売で成功してさ、道楽で副業的なのをルルアで始めることにしたんだよ」


「はぁ、それはおめでたい事で」


「んでそれの招待券を上げるから工房の皆で行ってみなよ。蒸気浴なんだけどアシュリーちゃん知ってる?」


「じょうきよく? 聞いたことも無いです。なんですそれ、美味しいの?」


「馬鹿みいにめっちゃくちゃ金の掛かる施設を使った風呂の一種」


「ふろ? 湯舟のお風呂のことですか? 風呂は好きですけど・・・私の場合ちょっと種族的に公衆浴場みたいなのは・・・・」


「あ~だいじょぶだいじょぶ! 会員制の個室制でそれ、特別優待件で一室貸し切りだから、それに風呂っつっても湯舟に浸かるのとは違ってさ、俺も説明聞いてもよくわかんなかったけどなんでも蒸気で熱するみたいでさ、なんか専用の服もあるみたいだから裸じゃないから身内同士気兼ねなく楽しめると思うよ」


「蒸気・・・へぇ・・・なんだろ、面白そうですね」


「ほう、風呂ってんなら俺っちも興味あんな、旦那それまじで貰っていいんですかい?」


風呂と聞いては風呂好きのちゃるめらが聞き逃す訳も無く、ちゃっかり話に入り込みエムスから招待券を受け取りまじまじと眺める


「当然。アシュリーちゃんからの礼に受け取った品々に比べたら比べるまでもないけどさ、それでもこの優待券も金貨50枚はするから俺みたいな庶民には手が出ない凄い品なんだよね」


「「金貨50!?」」


そのあまりの値段にカレンとちゃるめらの2人して驚く、なにせシャルマーユで一般的な大衆浴場ですら週に一回無料で普段は銅貨4枚なのだ。それが聞きおぼえの無い蒸気浴とはいえ金貨50枚、一体何百倍の価値なのか計り知れず驚愕する


「風呂で金貨50枚ってなんだよ!! 硬貨でも敷き詰めてんのか?」


「き、金貨50枚・・・これが・・・そんな凄い風呂なの? 俄然興味が出てきたわ! おじさんありがとうございます!!」


実はこのエムス、以前のカレン救出騒動に纏わる事でとある内緒の小遣い稼ぎをこっそりしておりちょっと有り得ない程の額が懐に入り込んでおり今回何重にも渡って大金が転がり込んでいるのだが・・・後にその小遣い稼ぎが原因で皇国軍内で騒動に発展となってしまう


「なんのなんの。あ、それともう1つあるんだけどさ」


「「はぁ」」


「実は一部の富豪や特権階級向けの富裕層向けの格式の高い非公式オークションが貴族街のオリヴィエって会員制倶楽部で今夜開催されるんだよ」


「へぇ偉いさん向けのオークションですかい」


「ん~この前のオークションも楽しかったしオークションは興味あるけど格式となると私だとなぁ・・・そもそも私資格すらないんじゃないかしら」


「いやいや、何言ってんのアシュリーちゃん。陛下からの勲章の威光で余裕で顔パスだよ、むしろ畏れ多くて周りの余計な虫も寄り付かないよ」


「成程・・・でもそんな格調高いオークションだと私の欲しいのあるかしら? 具体的には錬金素材とか」


「いやあ、それは流石に分かんないけど素材はないかもねぇ、でもただ高額なだけでなく地位がないと見る事すら敵わないような最希少なものが沢山あるから目の保養程度に参加してみたら?」


「ん~夜なんですよね? 今頂いた風呂の招待券のお店の後に行ってみようかしら」


「うんうん。ローブの上からでも大綬身に着けて行けば余計な事も聞かれずに素通りだから楽しんできて。それじゃ。ちゃるめらさんまた今度開店時に酒と弁当買いに来るからね」


ちゃっかりカレンとスキンシップを取れてご満悦のエムスが上機嫌で去っていき、後に残った2人は家族を呼び寄せて蒸気浴とオークションについて話を通す


蒸気浴についてはシャイタン・フラミーは見知らず、とりあえず参加となりアマネですら知らないとの事で興味から参加することになったのだが意外なことにアリスが物凄い勢いで食いついたのだ


「へぇ~! 蒸気浴かぁ、懐かしいわね! 勿論私も行くわよ♪」


「姉様この蒸気浴って知ってるんですか?」


「ええ、今はもうないけど昔は湯舟の風呂とはまた別種で名のある大名や大富豪ですら滅多に味わえない温冷交代の娯楽だったのよ。体にもいいし整うから最高よ!」


「整う?」


「まぁまぁ、経験すればわかるからっ」


こうして名無し妖精を除く工房の皆で優待券に記載されてる場に到着したのだが・・・・・


一応市場街とはいえ外れも外れの人通りの全く無いところで建物も物珍しく、一見普通の洋館に見えるが看板にはデカデカとウィスキングと掲げられており円形状の出かい建物で屋上は硝子貼りのようだ


それも理由があり構造的に水場は必須でまた立地条件もかなり限られておりこの場での設営となったのだ


中に入って受付に優待券を見せるとペコペコと頭をさげ平身低頭当施設の説明にはいる


「エムスから伺っております! 勿論歓迎でございます。当施設についてですがおそらく初体験と思われるのでご説明を。当施設は蒸気浴といいまして世間一般の湯舟の浴槽と違い蒸気で室内を温めた熱風を楽しむものとなっております。勿論湯浴み着も御座いますので貸し切りの室内で男女共に問題無くご利用可能です。詳しい施設の利用には看板に記載がございますので是非ご覧ください」


とのことでいったん男女で判れ殆ど肌を隠した湯浴み着に着替え、これなら恥ずかしくないとカレンも安心してさらに奥で合流する。といっても男性用にはシャイタンだけだったのだが


流石にフードはないので頭上のうさ耳は丸出しだが幸い貸し切りとのことで露見の心配はなく一行は蒸気浴の室内に入る


「あっつ!」


カレンはその蒸し暑さから驚き


ちゃるめらとフラミーは種族柄そもそも汗はかかないのでこういうものかと割と普通に


アマネは「ん~暑いですぅ」とちょっと困り気味に


アリスはというと「これこれ、懐かしいわ~」と満足気に室内の段差に腰かける


一方シャイタンはというと・・・


(なんだこれは、人間用の新手の拷問施設か?)


と勘違いするほど汗だくで困惑気味に段差に腰かけはするが既に疲労困憊だった


そして施設内の看板に利用詳細が記載されており10分から20分の蒸気浴のあと隣接の冷水で3分程体を冷やしこれを3セット繰り返すと温冷交代浴で自律神経の乱れが整います。初利用の際は蒸気浴に戸惑うでしょうが繰り返せばこの虜になりますので是非! と力説されておりここでも謎の整うという文言だった


この蒸気浴は古代では稀にあったが現代では風化したもので施設内に暖を取る魔道具を設置し天井は硝子張りで此方も魔道具が施されており太陽光を存分に浴びれるというとてつもなく値の張る娯楽施設だがフルーラの文献を知る考古学者に大変人気で大繁盛となっている


其々の疲労もあって20分ほどでアリスが「それじゃ冷水に行くわよ!」とのことで一行は冷水で整える

数分後また蒸気浴に戻るとアリスが宣言するとちゃるめらはちょいまってくれと備え付けの売店でミルクを買い込み持ち込み、シャイタンはこれは堪らんと先輩に負けたようで悔しいが熱風結界を無詠唱で施した


「昔はね~この温冷交代は湯舟以上に特権階級者しか許されない極上の施設で私も幼少期はこれを常用してたからほんと懐かしいわ~♪」と思わぬ所で姉の昔話を聞け上機嫌だったカレンが2回目の交代で整うというのが理解できこれはいいかも♪とカレンも気に入った様子だが、ちゃるめらは湯舟と違い今一でフラミー・アマネにはそれほどでもなくシャイタンに至っては絶不評だった


アリスの昔話の通り古代でも湯舟は特権階級者しか許されない娯楽施設だったが温冷交代はその中でも特に報奨として利用を許された特別な格式の高いものだった。尚、当時大貴族筆頭の姫だったアリスは風呂といえばこの温冷交代が常であった。


その後2時間弱蒸気浴を満喫した其々はアリス・ちゃるめら・アマネはこのまま帰路につき、カレン・シャイタン・フラミーはこの後の非公式のオークションへの参加となった



初めての貴族街におどおどしつつもエムスに教えられた通りを進んでいく、1人での参加は不安といつものようにシャイタンも連れ出した。本来ならシャイタンは秘匿された存在なのだが非公式なら問題ないだろうとカレンとの逢引に2つ返事で了承し、フラミーは以前の露店での顔見せで十分認知されてるだろうし使い魔という言い訳もあるので大丈夫と判断しての事だ。


一応非公式とはいえ格式ある場なのでシャイタンは燕尾服を、フラミーは先輩に贈られたガウンを、カレンは普段のローブ姿だが大綬を身につけており各勲章が輝いている



エムスに指定された建物の前に着くとちゃるめらから聞かされたカルトリーとは大違いで見栄えのする豪奢な建物で入り口には兵士2人に黒服のおそらく店の関係者と思われるいかつい見た目の大男が目を光らせていた


カレンがその威容に怯えてシャイタンの陰に隠れてしまったのでシャイタンが代わりに場を仕切る



「おい、こちらの貴人が参加希望だ。通せ、俺と隣の使い魔は使用人だ」


恐れ知らずに横柄な態度に大男がむっとした様子で女性を一瞥するがその大綬と勲章の数々にぎょっとして態度を改めて「失礼しました! どうぞお通りください」と態度を180度変えて歓迎する


カレンの勲章の数々、どれも威光を放つ物だが一際目立つのが黒金宝冠章と聖星金栄誉光章の2つだ。准将と同等で陛下へ謁見可能という物申せる立場というのは並みの大貴族ですら敵わない超VIPだ。


男のガラッと変わった態度にも関わらずおどおどしつつシャイタンの後ろに控えて中を進むカレン


暫くすると広間にでて絢爛豪華な場が一面を支配する


まだオークションは始まってないようで各々で各派閥に集まって話し合いをしているが皆顔にマスクをしている

非公式とはこういう場でもあるのかとカレンは理解し、自身のアイマスクも丁度いいと判断するが火中の話題は当然新顔のカレンだ


何処の派閥もカレン・アシュリーの高名は轟いており更に胸にある大綬の勲章の数々に是非お近づきにと画策はするものの、あまりの知名度からい竦んでしまい二の足が継げない


例えるなら軍属でいう少尉が准将にご機嫌伺いを、貴族で例えるなら子爵が公爵に話しかけるようなものだ。

早い話格が違い過ぎるのだ


そんなぎくしゃくした場も20分ほどすると壇上にやはりアイマスクで素顔を隠した司会者が現れ場を取り仕切る


「ご来場の紳士淑女の皆様お待たせいたしました! 本日これより開かれるのは世にも珍しい品々でその殆どが公には出ない、つまり出土不明の品々です! 出土不明とはつまり高位鑑定魔法すら反映されない、つまり聖遺物などもあるかもしれないという訳です。勿論中には二束三文の品もあるでしょう、そこは皆様の審美眼でご判断ください」



司会者の見事な煽りに場は期待が膨らみ早速一品目をと司会者が進行役に手配させるが持ち出されたのが1m程の機械のようでなんの用途なのかさっぱりだった


「まずは一品目! 此方の品はドルシアが誇るセンドで新開発された最先端の技術で造られた一品、その名もバイシクルでございます」


機械文明の最先端センドの最新技術と聞いて会場はどよめきがおこるがそれでも用途が不明で反応はイマイチだがそれを予期していた司会者は進行役に実際に用途を実演披露させる


「とはいいましても皆様此方の品具体的に何に使用するのかご不明でしょう、そこで当方で実際に利用しますので是非ご覧ください!!」


そういって進行役がバイシクルにまたがるとペダルをこいでせまい壇上の上をくるくると移動し始める


それを見て会場が一気にどよめき画期的な発明品に驚かされる


「さぁ、見ての通り此方の品は鑑定魔法が反映されるとはいえセンドの最新技術を盛り込んだ一品! 星金貨10枚から始めさせて頂きます!」


センドの新技術をいち早く取り込めるとあって皆躍起になって早くも価格は星金貨300枚を超えるがシャイタンが気になって隣のカレンに声を掛ける


「カレン様、あちらの品には惹かれませんでしたか?」


「ん~面白そうかなぁとは思うけど・・・なんか転んだら怪我しそうで怖いし私はあまり興味ないかな」


普段魔導船で空を飛び交う者の台詞とは思えないが・・・


「成程、確かに主に怪我などされては困りますからね」


続いて2品目、3品目、4品目と続くがこれらはどれも過去の偉人が実用していた宝石で鑑定書付きで途轍もない破格で競り落とされていたが宝石に無関心のカレンはその星金貨700,800が飛び交う世界に「ほへー」と驚くだけだった


続いて5品目


「続きましてはまたしてもドルシア大陸の発明品でして、ドルシアの研究機関が開発された品ではございますが此方の品、まだ開発途中の品ではありますが効果は折り紙付き、なんと神器の身分証作成の改良品で御座います!」


続いての品に今まで以上の驚きが場を支配する

神器の改良など前代未聞だ


「此方の品は鑑定魔法でも効果は反映されず推定聖遺物ではと予想されてますが先程申した通り開発途中の品でして問題点が御座いますので先に注意点を」


「此方の品で身分証を作成した場合既存の神器の身分証作成以上に事細かに詳細が記載され種族だけでなく犯罪歴などいわゆる余計な部分と一部まだ未調整なのか正確な数字や極一部不明な点が記載されます。ですが信用度を何より重視する皆様方にはある意味有用ではとの判断で出品させて頂きました。事前に当方で借金奴隷の身分証を此方の品で作成しておりますのでそちらを配りますので皆さまその性能をご覧ください」


身分証明書


レベル:21

クラス: s39r9ko9

シャルマーユ皇国

トレジャーハンター組合 ルルア支部所属

ルギサンド王国

召喚師組合 ドレンド支部所属

中位トレジャーハンター

中位召喚師

種族名:ワータイガー

種族種;亜人

固有名:ギド・バンデラス

年齢:32歳

性別:男性

属性:火

現地調達C 土地勘D 危機察知C 隠密行動F

使役年数3年 使役度C 使役難度F

使役獣 中位イピリア 解除済み使役獣下位ガーゴイル 解除済み使役獣中位キマイラ

魔獣討伐数 下位97 中位18 上位0

犯罪歴

横領 使役獣の不正使用 

殺人歴 0


76B T': 無し

=)(''LD(F:無し


会場に配られた身分証を見て各々反応は様々だがその中でもカレンが飛びついた


「これよ! シャイタンさんこの身分証のやつ私の預けたお金で落札してくれない?」


「え? それは構いませんがカレン様これに興味が?」


2柱は神器に手を加えた品と聞き多少の興味から観察した所神器そのものを調整したようで既に神威が消失している、十中八九失敗品といえるだろう。かろうじて聖威は発露してるがあえていうなら劣化品の疑似聖遺物か、2柱からしたら品の経緯も効果にも興味が惹かれない品だった



「これというよりこれであらたな魔導具が閃いたの!」


アイマスクのせいで直接は伺えないがそれはもう瞳をキラキラしてるのが丸わかりなほど鼻息荒く詰め寄るカレン


その有様に思わずクラっとしてしまうシャイタンだったがこのかつての神器とカレンの発明という未知に魔導具の可能性に期待も大きく、笑顔で了承する


「成程、では落札しましょう」


此方の品、実はアシュリー工房作のスクラップポーションで努力の末に開発された品でまだ改良の余地はあるものの画期的な品ではある。普段アシュリー工房に立ち寄ってはスクラップポーションを買い込む研究者の努力の賜物である


「それでは此方の身分証機器星金貨100枚からです」


効果が効果だけに会場の全てが熱中する訳ではないが半数が躍起になり落札にかかる


既に価格は星金貨1300枚を超えてるが一応シャイタンがカレンに確認を取る


「カレン様、此方の品上限は如何されますか? カレン様から預かってる額なら上限なく余裕で落とせますが」


「勿論幾らかかってもいいから落として頂戴!」


「畏まりました。星金貨2000枚だ」


その余りの価格に場は支配されそれ以上の価格は出ずに無事星金貨2000枚で新身分証機器はカレンが落札した


また更に6品目、7品目、8品目、と続いたが此方は過去の偉人の伝記書やどこぞの宗派の魔具とやらでカレンが興味を示すはずも無くスルーした


そして9品目


今までの司会者の様子が変わって意気込みを新たに発表する


「続きましての品はこの場の皆様ご承知の御方、聖領域国ゼファースの聖女様が過去に着用されていた衣服で鑑定魔法効果は反映されず推定聖遺物ではありますが過去の歴史書に記されてる通りならほぼ間違いなく聖遺物でしょう。その証と言ってはなんですが着用者のサイズが自動調整されますし不懐化・永続化が施されておりますし他にも幾つか未知の魔法が施されております」


続いて紹介されたのはドレスなどとは違う黒い衣服で胸元に紫のリボンのある、礼服などとは打って変わってある意味地味ではあるものの何故かその衣装に惹かれる品だった


「あれは・・・」


(おいフラミー、あれがソフィアの聖遺物なのは分かるがあれは確か水兵の服だったろう)


(ええ、確かに元は水兵用の服でしたが一部の星では学徒用の衣服としても用いられておりましたのでおそらくソフィアが昔学び舎に在籍してた最に着用されてたのでしょう)


(成程な)


「真意はともかくソフィの服かぁ~なんか派手過ぎないし胸元のリボンが紫で黒服なのもいいわね」


「カレン様あちらに興味がおありで?」


「ん~興味というか・・・・ちょっとこれ言うの恥ずかしいんだけど、以前家出した際盗賊に捕まって身ぐるみ剝がされた際にローブの下に下着とタイツだけって変態みたいな事言われてね、私普段ローブ着用だから衣服関心なかったんだけどあれ以降ちょっと服も意識したほうがいいかなぁと思ってたんだけどあれどうだろ? 私が着ると変かな?」


勿論某天獄の聖女の如くストーキングしていたアシュリー工房の一行はその場を目撃しておりカレンを辱めた屑相手にアリスは煉獄へ送ってやる! と意気込みアマネは神罰おとしたいなぁと零していた。大悪神の2柱は物言わず眺めていただけだが実際カレンに傷1つでもつけようものなら監視させてた配下に即座に割って入らせるつもりだった。


「成程、そういうことでしたらあちらの品はカレン様に正にお似合いでしょう。私奴から贈らせて頂けませんか?」


「ぇ!? いいの?」


なんの因果か、アシュリー姉妹と友となった聖人ソフィアが学徒時に着用していた衣服をこれから教導技術錬研に参加する、いわば学徒ともいえるカレンが身に着けるという数奇な縁だ。品も聖遺物と申し分ない、デザインはよくわからないが色の好みがカレン好みの黒と紫というのも奇跡的な一致だ。この機を逃す手はないとシャイタンは意気込む


「はい。お慕いする方には着飾ってもらいたいものですので」


「あ、ありがと///」


「それでは此方の品その希少性から星金貨1000枚からです!」


「星金貨1000枚!?」


カレンがそのありえない額にぎょっとするが隣でしれっと更にシャイタンが驚愕の額を言い放つ


「星金貨1万」


そのあまりの額に会場の視線を集めるが件のカレン・アシュリーの工房に聖女が来訪し友というのは周知の事実なのでその関係性とあまりの値段からこの品は本物ではと周囲が色めき立ち更に値段が吊り上がるがそれをものともせずシャイタンは圧倒的な差を言い放つ


「星金貨5万」


誰もが憧れ崇拝する聖女様がかつて肌に纏っていた衣服など価値以外に男性垂涎もので一部は借金覚悟でも競りに参加するがそれすらシャイタンは一蹴する


「ちょ、ちょっとちょっとシャイタンさん無茶しすぎよ! そんなの怖くて着れないわ!」


「何をおっしゃいますカレン様、カレン様の美貌に比べたらあれぐらいのものが釣り合っております。それに普段はローブを上に羽織るので問題ないかと」


「そ、そうだけど流石に星金貨数万なんて・・・」


「ふむ、カレン様にはお似合いですよ。是非あれはカレン様が着用されるのが相応しいです」


フラミーの追撃もあってカレンも押し黙ってしまう


結果星金貨5万でシャイタンが落札したその黒セーラー服はカレンの普段のローブ同様に愛用となる


「シャイタンさんその、ありがとね。びっくりな値段もだけど・・・品とか気持ちとか色々と」


「いえいえ、正にカレン様に相応しい品でしょう」


事実この場で本物の聖遺物と看破できたのはシャイタンとフラミーだけで聖遺物がたかが星金貨5万など微々たる金で手に入るなど驚きだろう。これがソフィア信奉者で聖遺物と見抜いていたら全財産はたいててでも競りに参加すること必須だ。特に某暗殺王様なら国家予算まで使い切ろうと競り落とすだろう


「さぁ今し方の驚きの価格となりましたが続きましての品は最後に相応しい品で御座います! まさにこの場に相応しい非公式の場に似合う品で御座います!」


司会者が十分場を煽ると続いて会場の、カレン一行以外驚愕の台詞が司会者から放たれる


「皆様過去の悲しき大戦、幻魔涙戦(げんまきゅうせん)はご存じでしょう。その際幻獣側、人類側、妖精や精霊側にもつかず乱入し場を大いに乱したあのサタンの推定聖遺物で御座います!」



はぁ!? サタンだと! ふざけるなっ


そんなもの競りにだすな!!


悍ましい!


しかし・・・あの乱入者とはいえまごう事無き神ではあるのだろう


馬鹿を言うな! サタンだぞ!? そんなもの所持してるのが国にばれてみろ 処刑物だぞ


シスの関係者に知られてみろ、異端者扱いされるぞ!



「サタン? っぷ、神って・・・なんかシャイタンさんと名前似てるわね」


「―――ええ、そうですね」


そこはあまり触れられたくないのでしれっと流すシャイタンだった


「ご来場の皆様の憤りは御尤も! ですがまずはお聞きを。なんと此方の品、かつての魔法大国イル=ザードの軍を滅ぼしたテスイランド軍を一掃した魔剣で御座います! 当時の関係者の報告も多数御座います」


続いての司会者の台詞に会場はしんとしてしまう

そのあまりの出鱈目の品と信憑性に


「くくくっ」


「魔剣ですか」


「シャイタンとフラミーが思わず失笑してしまう


魔剣もなにも融解姫(ゆうかいひめ)の危機を気紛れで救うために偶々手元にあった適当な剣を振るったにすぎないそこらの数内品なのだから・・・


「それでは此方の品星金貨1000枚から「星金貨2万!」


司会者を遮り場をさらったのはこの場でカレンの次に高名な魔法の賢者の愛弟子だった。弟子とはいっても師より年配の40台の男性だが、魔法の賢者とはいえ表のハロルドではなく裏のマリアの弟子で今しがた会場入りしたようで急いでいたのか息も絶え絶えだった


シャイタンとは言葉に尽くせない程の確執、というより一方的な因縁がある


かつて賢者会議にアリスとシャイタンが乗り込んだ最に奇跡の再開でこれはやばいと従者に気絶させられた残念な者でもあって、それ以降は隔離され辺境で軟禁され密かに研究を課されていたのだが今回サタン由来の者がオークションに出品されるらしいと聞き暴走して周囲を押し切って来たのだ。


それを確認したシャイタンは思わず悪戯心と愉悦が沸き上がり、カレンに「カレン様、私奴は知り合いを見つけたので挨拶に行きますのであちらに貴賓用の食事がありますのであちらで少々お待ち頂いても宜しいでしょうか?」と進める


「おっけ~」


そういってカレンは隅の豪華な食事が並ぶ卓にご満悦だが、一方シャイタンはというと観衆の元周囲の目など気にせず星金貨2万と言い放った者に近づいて気軽に話しかける


「久しいな、リスト」


「な!? なぜ貴様が此処に・・・」


まさかの再開に男、リストは複雑な表情でシャイタンを睨む


「俺は今は使い魔だぞ? 主の使用人として付き添いで参加してるだけだ」


「くっ・・・おのれ、お前なんぞに会うとは」


「思ってもない事を言うな」


「なんだと!?」


「貴様俺が誰か知ってるのだろう、貴様の胸の内など手に取るように判る」


「ぐっ・・・」


そう、リストにとってシャイタンは敵・恩人・そしてそれだけではなかった


「貴様の様々な感情が入り混じった感情、実に愉悦だ。ある種マリアより興味深い」


「黙れ! お前のせいで俺は、俺は・・・」


思わずシャイタンに食って掛かるリスト


「くくくっ、ところでのあの適当な剣が欲しいようだが、貴様さえその気ならもっと素晴らしいものをやるぞ」


大悪神の誘惑だ


「・・・・・なんだと」


「俺の寵愛をくれてやる。光栄に思え、初めての事だぞ」


「な、なに!? そんな、そんな・・・いや、しかし・・・・」


「勿論無償な訳ではないぞ」


「・・・なにが言いたい」


リストを押し倒し壁ドンしつつシャイタンは大悪神らしい台詞を放つ


「貴様の全てを捧げろ」


「・・・は?」


「貴様の財・名誉。地位・嫁・子供・貴様の今後の全てを俺に捧げろ。そうすれば一晩可愛がってやる」


「・・・な、なにを馬鹿なことを」


隠れサタニストのリストは一瞬その魅惑に取りつかれた、それを見逃すシャイタンではない


「くくくっ、迷ったな? それが答えだ。相変わらず貴様は面白い、機会があればマリアと共にアシュリー工房に来い。また遊んでやる」


こうしてシャイタンに性癖をぐっちゃぐちゃに狂わされた被害者にしてマリアの愛弟子リストはシャイタンにからかわれたと苦虫を潰したような表情になるが表情とは裏腹に胸の内では狂喜と興奮が渦巻いていた・・・その証に下半身は隆起していた・・・・・


なにせリストは戦後の処理会議で故国の復興よりサタンの神殿を建てようと本気で提言して賢者会議で気が触れてるのではと疑われる程の狂信者なのだから



尚余談だが翌日姉妹兎が目が覚めると肌がこんがり焼けていてカレンが病気では!? と勘違いして錯乱したがアリスの「蒸気浴による太陽光による日焼けだから平気よ」とのことで落ち着いたがそれでも褐色兎となって落ち着かない妹兎だった。

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