128話 賢者会議と剣星
幻神歴2961年11月20日
再びカレン・アシュリーの発明品の取り扱いについてシャルマーユ皇城では賢者会議が開かれた。
今回カレンが持ち込んだポーション17種の内、確認に時間を要す物もあって持ち込まれてから2週間弱の期間を要した
賢者会議に出席の賢者達やその従者達総勢で300名ほどで議論の開始を待ったが、今回も陛下が出席されるようで上座に陛下用に特注された椅子が用意されており皆陛下の登場を静かに待っている。
暫く静寂に包まれる会場だったが近衛の知らせで陛下の入場となり一同立ち上がって陛下を出迎える
実用性重視のプレートメイルを纏った陛下とその後ろに宰相のシグルトも同じく会場入りした。
陛下が椅子に座るとシグルトは背後に控え厳かに陛下が言葉を発す
「皆楽にせよ」
こうして何度目か数えるのも馬鹿らしい程のカレン・アシュリーによる賢者会議が開かれる
先ず小間使いが各々の席に飲み物を用意するのだがアシュリー工房のお陰で飲み物の選択肢も広まり、アシュリー工房産オリジナルの茶葉で淹れた紅茶・珈琲・ココアなどと千差万別で陛下にはお気に入りのココアが用意されている。勿論各々の毒味役を介しての配膳だ。
ココアで舌を濡らすと厳かに言い放つ
「先ずはルード、今回カレン・アシュリーが持ち込んだポーションの詳細を頼む」
「はっ」
陛下の要望に応え立ち上がり、既に資料をまとめていた物を複製したものを陛下と出席した賢者、それに付き従う高弟達の人数分配る
グリスポーション 体の脂肪を1kg減少させる
タフネスポーション 基礎体力値を少量上昇させる
ビルドポーション 筋肉を増加させる
セーフポーション 一定時間武器破壊技での武器の損失を防ぐ
リードポーション 一定時間最上級までの遺失物の看破が可能
クリアポーション 状態異常を即時回復させる
トリックポーション 一時的に魔力とエーテルの総量を入れ替える
スクラップポーション 服用すると基礎能力値が不規則に上下する
エラーポーション 素性看破に対して偽の情報を伝える
チェンジポーション 一時的に性別を転換する
リミットポーション 一時的に魔力とエーテルの総量の上限を少量上昇させる
エクストラポーション 一時的に魔力とエーテルの総量の上限を中量上昇させる
ヒーリングポーション 体力・魔力・エーテルが一定時間持続的に少量回復する
リジュネレートポーション 体力・魔力・エーテルが一定時間持続的に中量回復する
ラックポーション 一時的に幸運値を上昇させる
シナジーポーション 一時的に魔力とエーテルを合算して魔力・エーテル共に相乗効果を得る
インペリアルポーション ありとあらゆる外傷・内傷を癒す万能の薬
「―――ふむ。先ずは上から順に議題に挙げていこう。皆も自由に発言せよ」
「では――このグリスポーションですが脂肪を減少させる。との事ですがどの程度まで効くのでしょう」
陛下の開始の宣言により真っ先に従者から疑問が飛んできたが参加者其々騒めきが起こりルードが挙手して効果を述べる
「ううむ。儂含めて30人程で試してみたが説明通り脂肪『だけ』を減少させるようでな、脂肪が1㎏以下になって服用しても作用しなんだ。筋肉等は影響無かったわい」
グリスポーション。その名の通り脂肪のポーションだが勿論これの発明にはカレンの凡俗な思惑もあり、普段ローブで女性的な一面を隠してるカレンでもやはり年頃の乙女であり・・・貧相な体付きにも関わらず痩せ薬を作ってダイエットを、と発明されたポーションで完成当時は凄い喜び様で姉と2人して飲んだが、3本飲んで限界のようであまり効果無かった、むしろ益々胸が慎ましくなったような気がするとしょぼくれた経緯がある
アマネは自身のプロポーションに自信があり服用せず、逆にシャイタンは食を覚え暴食気味で下腹部が気になってたので5本服用してカレンに感謝した
余談だがすっかりアシュリー工房のマスコットとなったコボルトも20本ぐらい飲んでやろうと思ったがアシュリー姉妹に物凄い勢いで止められ、折角の愛嬌がなくなるとコボルトにはグリスポーションの服用を禁じた。
「ほほう。文字通り痩せ薬なのか。戦闘職や女性には垂涎の品だな」
胡散臭い効果には個人差云々など無視して確実に脂肪だけを燃焼させる痩せ薬となればその需要は老若男女問わずなのは語るまでもなく、議会に出席の皆感心の声が漏れる
「余も限界まで服用させて貰ったが5本で効果限界だったようだ。体に不調はないので健康面でも問題なかろう」
効能を確認して真っ先に陛下が感心を示し服用したのだが、元々筋肉質で無駄な贅肉など殆ど無かったので5本と女性並みに少ない本数しか消化しなかった
「では此方の品は値段設定は付けずにアシュリー工房での売買は許可という事で」
「「「「「異議なし」」」」」
こうしてアシュリー工房の売れ筋確実の新商品の販売が公に決まった
「次にタフネスポーションとビルドポーションなんじゃが、此方も先のグリスポーション同様限界値があるようで、その差は個々人によってかなりバラつきがあった」
「ルード。お主筋肉質になっておらんか?」
次の品を紹介した所でとある賢者が気になってたことをルードに尋ねる
ルードは齢70過ぎの老人で以前までは年相応の外見だったのに今では見間違えるように様変わりし、無駄な脂肪は無く体格が若干大きくなり見るからに筋肉質になっていた
「ああ、儂も試させてもらったわい。タフネスポーションは1本で限界値、ビルドポーションは2本で限界値のようじゃったわい。この低さは恐らく儂の年のせいでもあろうの」
グリスポーションの1㎏以下という目に見える上限値が無いので個々人の差によって限界値及び伸びしろはバラつきがある。というのが検証の結果解った
「グリスポーションと併用して併せのむと即座に屈強な戦士の仕上がりか・・・いやはや素晴らしきかな」
またしても別の賢者の呟きが議会に響き、その結果に皆驚愕した
新兵でも即無駄な脂肪を除去して体力を増強させ筋肉も肥大させる。前衛の兵にはこれ以上ない有難いポーションの組み合わせである
「この2点も余も服用したがタフネスポーションは7本で限界値、ビルドポーションは5本で限界値だった。これも問題なかろう」
そしてこの2つにも興味を示した陛下がグリスポーション同様に限界まで試し、以前の180㎝程の体格から190㎝程となっており筋肉も見るからに肥大化しておりより無骨な武人と変貌している
「ではこれ等の品を販売許可ということで」
「「「「「異議なし」」」」」
次の説明にとルードが取り掛かるが・・・若干気落ちした様子で解説する
「次にセーフポーションなんじゃが・・・こちらは検証例が著しく低くてのう、軍から破壊技の担い手3名に協力してもらったが、どうやら不壊を施した武器でも破壊される破壊技を防げるらしい。此方は専門外なので今一じゃ」
こちらのポーションはカレンでもなんで開発できたのか謎な発明品だ
なにせ破壊技どころか剣技も武器破壊も知らないカレンの気紛れ品だった。そしてこの検証にはかなり苦労したとルードは切々とぼやく
「破壊技といえば戦士の上位職で凶戦士の職があってな、凶戦士の放つ技は強大ではあるがデメリットとして装備している武器を破壊してしまうものがある。恐らくそれをセーフポーションを服用して効果時間内の間は防ぐ事が出来るのだろう」
レイアードが間に入って解説するが議会では一部感心の声が響く程度だった・・・その理由もこの場には軍属はレイアードとその従者達だけで他は魔法師や研究職ばかりなので一際珍しい凶戦士の存在など知らない、という者のほうが多い
「ほほう。シグルト殿、貴殿はその破壊技使えるので?」
「はい。私も一応身に着けてるのでセーフポーションで試してみましたが効果時間内、恐らく1時間ですが、その時間内は技の放ち放題でした。なにかと武器資金に金のかかる凶戦士としては有難いポーションですな」
シグルトの言う通り凶戦士は珍しいうえになりてが非常に少ない。その理由が技の性質上武器資金が湯水の如く必要なので今では極一部の個人班ぐらいしか市井には居ない
不懐の魔法を施していても凶戦士の技は漏れなく破壊してしまう。過去に凶戦士になりたての兵士が不懐を施した武器なら大丈夫だろうと国宝の武器で試してみたところ、粉々に砕けてその罰として処分されたという逸話もあって凶戦士を選ぶ物好きは居ない。一部の個人班は卓越した技能で武器以上に稼ぎが大きいという高率重視で武器を文字通り消耗品として扱い、凶戦士は複数の武器を常に持ち歩いている
当たり前だがこのように武器を文字通り消耗品扱いする凶戦士は武器商人とは相性は抜群なのだが鍛冶師とはとことん相性が悪い
「ふむ。問題なさそうですが、陛下。此方の品も販売のほうは?」
「うむ、問題なかろう。これも先のポーション同様値段設定の必要も無いだろう」
「「「「「はっ」」」」」
この決定により後に当然の如く凶戦士が纏め買いに走り、その超効率を目の当たりにし、その良さに憧れて凶戦士を目指す者も増えるという事態になる
「続いてリードポーションじゃが、これは読んで字のごとくで文字通り遺失物や聖遺物ですら服用すれば読み解けるようになる。解析班には持ってこいの品じゃ」
この品はカレンが錬金組合から預かってる鑑定魔法を施す魔道具の代わりにと、魔力のない自分でも大丈夫なようにポーションで完成させた一品
カレンは発明品の鑑定に主に用いてるが実はルードの検証の結果意外な側面も判明した
「聖遺物まで・・・神器も可能なので?」
「いや、陛下のグラムを試させてもらったが駄目じゃった。変わりといってはなんだが魔導書のほうはかなり読み解けるようでな、マリアが嬉々として読み耽っておったわい」
流石に神器のグラムの解析には及ばなかったがなんと魔導書の解読が可能となっており、目下魔法教導組合幹部達が皇国魔法教導研究所に集まってマリア指導の元ミストポーション常飲して埃の被っていた古代の魔導書の解析に取り掛かっている。そしてこちらでも神器同様に原初の魔導書は解析はできなかった。
「魔導書か、ハロルド。このポーションの悪用は考えらるか?」
ある賢者が問題点を尋ねる
「いえ、特に思い当たりません。広く普及して問題ないかと。極端な例として機密文書の暗号の解読がされるという不安要素はありましたがうちの馬鹿の論文には効果が付与されませんでしたので原因も突き止め対策も既に済ませてますので仮にこのポーションが広まり諜報戦でこの品を前提とした応戦があっても皇国の諜報部が一方的に優位になるでしょう」
「ではこれも先と同じように」
ハロルドの発言によりこの品もアシュリー工房での取り扱いが決まった
解析魔法を行使出来ない者、または難しい魔導書の解析目的にちらほらと売れていく事になる
「クリアポーションも書面通りじゃ。戦闘時のデバフを即時解除するものじゃ。これも問題なかろう」
クリアポーションについてはカレンのとある思念が込められていた
自身の不幸体質を改善しようと躍起になって完成させたのだが・・・試しに飲んでシャイタンとカード勝負をしたところ全敗で挫けた。そしてシャイタンが戦闘時のデバフに作用されるので通常時の運には関係ないのでは? と突っ込まれカレンは歯噛みした
「うむ。して次のトリックポーションだが、また変わった品だな」
陛下が次のポーションについて感想を零す
「ええ。ですがその有用性は計り知れません」
魔力がなくて魔法の行使ができないカレンが念願の魔法行使を夢見て発明させたトリックポーション
これを飲めばエーテル分が魔力に代わって魔法の行使が可能と喜んだのだが・・・・・結果は駄目だった。
このポーションは『今現在』ある体内魔力とエーテルを入れ替えるので魔力零のカレンが飲んでも入れ替えが発動しなかった。カレンはこのポーションを失敗品扱いしたがルードの検証によりその可能性は計り知れなかった
この星、110の星では魔力とエーテルは生まれ持って保有してるのが常識なので凡夫から戦人・異能者等々に至るまで当然の如く両方あるので当然個々人に魔力の量・エーテルの量が個人差は非常に大きい差があり、その何方かをこのポーションでカバーできるというとんでもない品だった
「然り。魔力かエーテルのどちらかに秀でてる者には喉から手が出る程だろうな」
そんな有難いポーションなのだが・・・
とある賢者の従者が言葉を続ける
「その分悪用例もでるでしょうな」
そう、このポーションは嫌がらせを通り越して最悪の結果を齎す可能性がある
エーテル生産職・魔法師に悪意を持って騙し飲ませればエーテル生産職は生産が止まってしまい、魔法師に至っては戦中なら命を落としかねない場面も容易に考えられる
「この品は軍預かりとしよう。工房での販売も禁止だ」
危険性はあるものの、軍閥としては非常に有用なので陛下は皇国軍の占有を決定した
「「「「「はっ」」」」」
「続いてのスクラップポーションなんじゃが・・・こちらは検証できておりません。正確には検証のしようがないかと」
ルードはまたしても気落ち気味に検証結果を発表する
服用すると基礎能力値が不規則に上下する
解析魔法を施すとこの一文だけで詳細が無く、今までのポーションのように一時的ではないのでルード自身も弟子や従者も怖がって飲めず検証ができていない
「確かに、死刑囚で試そうにも抑々の話が能力値の数値など解りませんからな」
別の星々では能力値の数値化はされている所もあるが110の星ではそこまで詳細は知る術がない
誰が飲んだところで目視で確認できないので猶更だ。
「しかも上下という事は下がる事もあるのでしょう?」
「ううむ。。。これは服用者の自己責任でいいのでは? 各々の運も絡むでしょうし」
ある賢者の問いに従者が返答する。投げやりではあるが文字通り自身のステータスを運で決める博打ポーションと思えば一種のジョークアイテムとして問題ないとの考えからの返事だ
「確かに、数多く飲めば上下の幅も自分では解るだろうな」
別賢者の感想に議会の皆が成程・・・と思い協賛する
勿論このポーションにもカレンなりの悲願がかけられていたので発明して即座に迷い無く10本飲んだ程だ。
そしてその結果は例にもれず、カレンの不幸体質は変わらなかったので嫌味を込めてスクラップと名付けた。
「ではこの品は販売可能という事で宜しいでしょうか陛下」
「そうだな。こればかりは服用者の基礎値や時の運も絡むものだ。構わんだろう」
陛下の宣言によってこの品もアシュリー工房の売り場に並ぶことになるが・・・当たり前だがこんなリスキーな真似する猛者はつゆほどもおらず埃を被るだけ、と思いきや機械大国ドルシアでは能力の数値化を国を挙げて研究しておりその一点においてこのポーションは指針になるという事でドルシアの研究者がよく買い込んでいく
「して・・・次のエラーポーションなんじゃが、戦闘時の素性看破対策にはいいのじゃが、まぁ・・・皆が思っとるように犯罪者の悪用が真っ先に浮かぶ品じゃな」
こればかりはルードも先行きが決まってる程だ
「そうだ。他国は勿論のこと我が国ですらいまだ検問には素性看破を用いる関が多いのだ。これを悪用されて犯罪者や流刑者、もしくは異端者を招く恐れもる」
カレンは姉に渡されたレイアード作の腕輪の効果を知らない為、自身の素性看破妨害の為に常飲することにしてるのだが戦闘時に素性看破はセオリーでもこのポーションを服用していればその素性を偽ることができるので戦闘面では有効なのだが・・・・現代ではシャルマーユに限らずどこの国の要所への通行にはこの素性看破が用いられており賢者の指摘した通り悪用処か世界中に混乱を招く恐れがある
「うむ。この品は皇国預かりとして他国には伏せる。販売禁止は勿論だ」
当然ともいえる処置を宣言する陛下に皆追随する
「「「「「異議なし」」」」」
「―――」
次の品の検証を、といったところでルードが言葉を紡げず、暫し場は静寂となる
「ルード、次を」
陛下の催促でルードがようやっと台詞を発するが、それはとてもしどろもどろといった様だった
「は、はぁ―――その、なんじゃ。チェンジポーションなんじゃが、1時間の間性別を入れ替えるようになるんじゃが・・・・その、どうなんじゃこれ。いや、カレン嬢の事だからジョークアイテム的に発明したんじゃろうが。こう、倫理的にこれどうなんじゃろ」
ルードの最後の問いに誰も答えられず再び沈黙してしまう一同
「「「・・・・」」」
「えっと…時間限定ですし、今しがたルード様も仰った様にジョークアイテムとしてはこれ以上ないほどかと」
ようやっととある従者が言葉を繋げるがある意味この品に引き気味だ
「しかしなぁ。。。性別の反転となると、最悪同性でも性犯罪になりかねんしのう」
「それも難点だがルードよ、この品も検証はしたのか?」
陛下の問いにルードは柄にもなく恥ずかし気に語る
「ええ、儂と弟子20数名服用して皆性別が反転しました。まさかこの年になって女になる体験をするとは夢にも思わんかったわい」
「咎人や逃亡した奴隷特有の刺青・拘束具の有無はどうだったのだ」
「ああ、その点は問題なく、弟子に刺青入れてるはっちゃけた奴もおったが刺青も反映されておりました。奴隷紋や拘束具もそのままでしょう」
チェンジポーションについてはコボルトからの低所得者への新たなジョークアイテムを作れという要望に応えて閃いて発明された品なのだが、コボルトは無性なのでその価値を理解できなかった・・・
「ううむ。そういうことなら販売もいいのでは?」
賢者の容認の声が上がろうとしたところで別の賢者の待ったが掛かる
「ま、待ってほしい! 皆肝心なことを忘れていますぞ。男がこれを飲んで性行為して妊娠・出産は可能なのか? その結果次第では以前議題に上がった人口増加を防ぐ為の一夫多妻廃止より人口増加に対して懸念しなければならないです」
「「確かに・・・」」
性問題と切っても切り離せなのが妊娠だ。このポーションを同性愛者が利用した場合の結末を懸念し、皆もその問題に気づかされるが
そこは問題無いとルードが返答する
「それなら恐らくは大丈夫じゃろう。元から女性だろうと服用して一時的に女性になっていようと性行為から妊娠まで1時間は先ずありえん。よしんば妊娠できる体質だとしても1時間で男に戻るんじゃぞ? 男で出産などできようもないわい」
男が男に服用させた場合の結果であって女が女に飲ませた場合の結果はまた違ってくるのだが、そこまでいったらもう性犯罪以前に自己責任になると切って捨てる
「ルードの言う通りだな。この品も販売して問題なかろう。市井を賑わす一品だろうからな」
後に当然の如くこのジョークアイテムはその値段の安さと個数制限のないことから爆発的に売れ、老若男女問わず試しにと服用して笑いの種になる
「「「「「はっ」」」」」
そして次の品の検証結果に移るのだが、先とは正反対にルードは大張り切りで力強く宣言する
「了解しました。して、次のリミットポーションとその上位互換のエクストラポーションについてじゃが、軍属でない儂ですら判る! これらは軍は勿論のこと戦闘職に大いに有効な品じゃ。エーテル生産職にも有用じゃ」
「ルードの言う通り。陛下、この2種はエーテルポーション等と同様の扱いで宜しいかと」
一時的とはいえ魔力とエーテルの総量を上昇させるとなれば己自身の限界以上の魔法やエーテル技を放てるようになる。当然戦闘職には手放せない一品だ
カレンもこのポーションに関しては満足しており仕事中は常時これを服用して錬成に四苦八苦している
「当然だな。軍のシャルマーユとしては軍閥の強化は見過ごせん。おっと、今は智癒国だったな」
陛下の茶目っ気に一同くすりと笑いが漏れるが進行者がエーテルポーション等と同等の扱いと決を取る
「ではこの2種は販売制限と価格設定を設けるという事で」
「「「「「異議なし」」」」」
会心の品に続いてルードが次を、と立ち上がりかけた所でジルが割り込む
「次のヒーリングポーションとリジュネレートポーションについては儂に説明させてくだされ!! ルードから資料を見せてもらいカレン様の叡知に更に感服したのは勿論じゃが、一緒に添付された成分表を解析して薬学組合では劣化とはいえ同じ効能の軟膏が作成できたわい! まさにカレン様のお陰で薬学組合は更に一歩前進したんじゃ!」
ジルが狂信者振りを遺憾なく発揮して宣言し、その快挙振りに一同思わず拍手を贈る。フルポーション・ノーブルポーションに刺激されてここにきてジルは急激に成長をし、その結果の軟膏だ
「「「おお~」」」
「体力だけなら魔法師の最上級魔法で少量持続回復する術はありましたが、魔力とエーテルまで持続的に回復できてしまうとは・・・後方に展開される魔法師・召喚師・幻獣師にとっては必殺技を連発できる命綱のポーションになりますね」
一部の例外を除いて戦闘とは長期戦だ。エーテルポーション・マジックポーションに加えてこの2種のポーションがあれば益々戦闘を優位に立たせることができる
勿論この品にもカレンは満足しておりエクストラポーションと併用して常飲している
「うむ。これも先のリミットポーションとエクストラポーションと同様に扱うとする」
「ではまた後程価格設定を決めるという事で」
「「「「「はっ」」」」」
会心が続く会議だが次の品でまたしてもルードは困惑してしまう
「続いての品なんじゃが、これもある意味厄介ともいえるのう」
「ラックポーション・・・一時的とはいえ運を上げれるのか」
「戦闘面や知識面に直結する数値ばかり気にしておって運など見向きもしなかったからのう」
この星ではまだ能力値の知覚化ができないので戦闘・研究・生産に直結する魔力・エーテル・筋力・視力・聴力・直感の6つが研究されており運など見向きもされなかった
これもある種エーテルの回復同様この星での快挙ともいえるカレンの偉業だ
「ルード様、こちらも検証されたので?」
「ああ、勿論じゃ。聞いて驚くでないぞ? 服用して弟子とポーカーで5回勝負してみたらの―――5回とも手札はロイヤルストレートフラッシュじゃったわい」
呆れ交じりのルードの台詞に一同唖然としてしまう
「「「「・・・・・」」」」
「アシュリー氏はこれを流行らせて問題なかったのだろうか・・・身内のコボルト氏が遊技場を開いてるというのに」
賢者の心配通りカレンはこのポーションなら運が上がるとやっとの発明に大喜びした
勿論カジノで稼ぐつもりだ。錬成成功して真っ先に服用してカジノに行こうと思ったが肝心の手持ちがシャイタン・ミシュラに没収されてアマネの小遣いの金貨8枚だけだった
それでもこのポーションの効果ならすぐ倍々で増えるだろうと画策してカジノに駆け込んだ
結果は金貨8枚溶けた
どういうことかと涙ながらに試案するが答えは出ず泣き寝入りとなった
このポーション、確かに服用者の運を上昇させるのだがカレン・アシュリーの場合自前の運が狂運となっているので悪運と幸運がねじくれており運の上下が一際激しいという事に本人は気づいていない
「確かにこれは問題ですな。今の所公営カジノはルルアに一店舗のみですが他国はカジノが乱立しております。荒稼ぎできるでしょうな」
ルードの結果を聞けば先ずカジノで猛威を振るうのが真っ先に浮かぶものだ
「カレン嬢の事じゃから暢気に自分でこのラックポーション飲んでコボルト君のカジノに入り浸るつもりなんじゃないかのう。ふぁっふぁ」
カレンをよく知るルードならではの正解だった
「ふむ。運が上がるなら戦闘面ではデバフの掛かり具合に反映されるだろうし生産職なら閃きに直結している。金絡みだけで埃を被せるには惜しいですな」
「レイアード様の言う通りです。この品は魔法師でも魔法の閃きに大きく繋がるので欲しい所です」
レイアードとハロルドの後押しもあってこの品もアシュリー工房に並ぶことになる
「ふむ。そうだな。この品は強気の価格設定と販売個数制限で良いだろう。どれだけ高額でもその見返り以上の働きはするだろうしな」
陛下も有用性は認めるので一応許可を出すが、その価格に後にコボルトに小言を言われる事になる
「では、また後程価格設定を決めるという事でよろしいですな」
「「「「「異議なし」」」」」
そして議会を更に騒然とさせた問題のポーション2種に移る
嬉々としてルードが立ち上がり身振り手振りオーバーリアクションで解説する
「そして最後の2つなんじゃが―――先ずはシナジーポーション。これはもう錬金術の新たな到達点と言える代物じゃ!!」
魔力・エーテルの相乗効果
魔法師・幻獣師・召喚師・エーテル生産職・研究者とにかくこの星の住人にとっては驚きの品だ
魔力とエーテルが相乗されるのでどの職の者でも喉から手が出るほどの品でその貴重性は計り知れない
が・・・
魔力が無くその恩恵を受けれないカレンはこのポーションに需要あるのかどうか甚だ疑問を浮かべている
「た、確かに。一時的とはいえこの効果は未知数の可能性がありますな」
ルードの気迫に押されつつもとある賢者も追随する
黄金錬成・人体錬成・不老不死・死者蘇生・エリクサーに加わる新たな錬金術の到達点と言ってもなんら差支えの無い品に議会の皆カレンの快挙振りに拍手を贈る
「薬学だけでなく錬金術まで未知を切り開いたか。発明のカレン・アシュリーここにありだな」
陛下も自身が命名した発明の二つ名に遜色ないと大満足で言葉を紡ぐ
「陛下。此方は到達点扱いで宜しいかと」
「うむ。後程改めて先のポーションの数々の価格設定と販売個数を決める時にこの対応を決めよう」
「「「「「はっ」」」」」
議会の皆、新たな到達点ということで気分は上々で最後の品に移る
この品で更に気分が最高潮になるのは明白だったからだ
「そして最後の品じゃが、皆既に予想はついてるじゃろうがこれは錬金術師が長年追い求めたエリクサーじゃ!!!」
驚き疲れたルードが淡々と告げる
「「「「おおお~~」」」」
またしても到達点に至ったということで皆前もって分かっていたとはいえ驚きから大喝采が議会に響き渡る
「しかしなぜエリクサーではなくこの、インペリアルポーションと名付けられたのだろうか」
喝采が落ち着いた所でとある従者がボソッと呟く
「それは分からん。恐らくカレン嬢の閃きだろうて。鑑定魔法ではエリクシルと映っておるからのう」
カレンはこの品についても自覚がなかった。エリクサーは学び知ってはいたがエリクシルとは初見だったのでエリクサーに結びつかずそれならばとノーブルポーション同様に適当につけた名前だった
カレンとしてはオーガンポーションの強化版と値踏みしている。この品の公表については材料が一部伏せられておりその詳細だけ記載されていた。
この品の素材の2点、世界樹の雫とアンズの血液は公表したところでアシュリー工房以外で用意できないのとアンズの安否を気遣っての隠匿だった。
「シナジーポーションとエリクサーで到達点2つ解明か。以前のジルと同様の流れになるなら今度はルードが崇められるのう」
既に賢者ジルは未踏の到達点を切り開いたと世界中の薬学組合を震撼させ、とある国の薬学組合はシンボルをジルに変更しようとする所があるほどだ
「そこはカレン嬢次第でいかようにも、じゃ」
ある賢者の呟きにルードは満面の笑みで嬉々として答える
ルードは勿論議会の皆以前のカレン・アシュリーを招致しての賢者会議の結末を知ってるので恐らく今回もルードが代理となると各々話が飛び交う
「よし。ではポーションの扱いを・・・―――」
話を纏めようと陛下が台詞を紡いだ所、途中で台詞が止まってしまい一同何事かとどよめきが走る
「陛下? どうされました」
背後に控えていたシグルトが心配して声を掛けるが陛下は今までの高揚も吹き飛び真顔になって重く一言短く告げる
「暫し待て」
「「「「「―――」」」」」
議会の皆もただ事ではないと固唾を飲んで陛下を見守っていた
そして
「今からフラミー様がカレン・アシュリーの使い魔として、また名代を兼ねてこの場に来られる」
ようやっと陛下が発した台詞はある意味到達点以上の驚きの内容だった
「なんと!」
「レイアード、ルード。言うまでもないがこの場は公の場だ。神であられるフラミー様に決して失礼の無いようにな」
「「はっ」」
レイアードもルードもそれ以外の出席者も本能で理解した
神の降臨だと
幻魔泣戦以降この星に神の降臨は無い。幻魔泣戦の顛末に神々はこの星を見捨てたのだ。それが、悪神とはいえ公に神が降臨するとなっては一同騒然となるが行動は早かった
従者も賢者もシグルトも陛下でさえ膝をついて神の降臨を待つ
以前サタンが乱入したこともあったがあれは事故が重なっただけで本来なら神を出迎えるなら相応の神事が必要だ。フラミーはこの星では無名なので皆最上の礼をもって尽くす
数分後
議会に転移の魔法陣が明滅し、光が落ち着くとそこには一匹の超大型の犬? の姿があった
この場では陛下とルードとレイアード以外フラミーは初見になるのだが皆目の前の超大型の犬が神だと疑わない。否、疑いようの余地がない程の神威を放ってるのだ
「お邪魔しますよ皆さん」
外見からはつき離れた気軽に、中性的な声が響く
「フラミー様。この場に来ていただき感謝を」
陛下が心からの言葉でフラミーを歓迎する
何せ公表できないとはいえ公の場に神が来られるのは戦後初の出来事だ。ルギサンド大陸の胡散臭い現人神とは訳が違う
「くくくっ、そうかしこまらないでください。あくまでカレン様の名代ですから」
「はっ」
「話に入る前に、何方か首元の荷物を降ろして剣聖に渡してもらえますか?」
フラミーの要望に陛下が首だけで従者に合図を送ると従者が頷き、おっかなびっくりフラミーの首元に巻かれてる風呂敷を丁寧に解き、中身を確認して陛下に手渡す
従者には10㎝程のよくわからない機械にしか見えなかった
「フラミー様これは?」
「それはカレン様が発明された魔導具なのですが、カレン様は思い出の保存にと思い創ったのですが、貴方方なら違う使い道もあるでしょう」
陛下が手元の機械をまじまじと眺め、その奇怪振りにカレンらしいと触っているとふとボタンに指が触れてしまい機械の効果が発動される
議会の円卓中央辺りに画面が映りだされ、そこにはアシュリー工房の平凡な食事風景が映り出されていた
「こ、これは・・・」
「なんと・・・」
陛下の驚き具合に他の者も追随する
それほど驚きの効果だった。議会に集まる皆が画面を見ただけでこの魔導具の映像記録を可能とする画期的な発明品に騒めきが起こる
「古代厄災級でレコレクションという魔法があるのでそれと全く同じ作用の素晴らしい魔導具ですよ」
「シグ、この魔導具どうみる?」
フラミーが解説してくれるが陛下は端的にシグルトに問う
「情報兵器にもなりえますが記録保存として申し分ないかと、ファクト同様に広めて問題ないと思います」
「ルード、後程この魔導具を渡す。検分しろ」
ルードの当然の推しもあってファクト同様にこの魔導具も世界中に広がることになる
後にこの魔導具の名前についてカレンが尋ねられ、全く思い浮かばずフラミーが似た効果でレコレクションというものがあります。と伝えると「じゃ、それで」とこの魔導具の名前が決まった。
「はっ」
「では、早速ですが今回カレン様が発明されたポーションの扱いについて詳細を」
「はい―――――」
陛下が代表として先の議題内容をフラミーに滞りなく伝える
この瞬間も緊張を孕んでいた。なにが神の怒りに触れるか皆戦々恐々たる思いだった
議会の決定について参加者の緊張をよそにフラミーは大凡予想通りだと納得する
これがシャルマーユでなく支配欲に駆られた国ならラックポーション等一部のポーションは独占するのが常なのだが、やはりシャルマーユは主たるカレンをどこまでも思ってくれる良い国だと内心で満足するフラミー
「ふむふむ。成程、分かりました。到達点以外のポーションの扱いはそれで構いません」
「有難うございます。2種の到達点についてカレン・アシュリーの意見を伺いたいのですが」
「そちらについてもカレン様に一任されてますので、公表は賢者ルードの名でしなさい。カレン様への受勲と報奨金の授与は私が代理として改め出席します。使い魔なので理由付けは可能でしょう」
あのトラウマ拗らせたカレン・アシュリーに再び賢者会議に出席など無理な話だと議会を悩ませていたのだがあっさりとフラミーによってその解決策が提示される
本来なら本人が出席するのが当たり前だが契約を交わした使い魔なら代理にも前例がある。何より神の決定だ、他国の誰にも文句は言わせない
「我が国の立場も考慮してくださり感謝致しますフラミー様」
今回の悩みの種がすべて解決したと胸中安堵した陛下が深々とフラミーに頭を下げる
「いえいえ。主姉妹は勿論のこと、従業員にもによくしてくれるシャルマーユには感謝しておりますので」
「はっ」
「ああ、それとアリス様とコボルト先輩の提案で、報奨金は貨幣でなく新造される紙幣で構わないとの事です」
フラミーが出向く前にアリスとコボルトが提案した事で、以前のアリスの働きによってシャルマーユは独自の政府発行の紙幣を取り扱い、今後は星金貨を除く通貨は徐々に貨幣から紙幣へと推移していく事が決まった。
だが現代では前例のない通貨なので当然まだ信用もなく、商人も貴族も中々手を付けないのでは? という懸念があったが今回の莫大な報酬を公表すれば国中に一気に新紙幣が広まることになり国としても有難い申出だった。
「経済事情まで考慮してくださるか。フラミー様、私からも感謝を」
伏したままレイアードもフラミーに感謝の意を示す
「貴方にかしこまられるとこそばゆいですね。貴方はアマネ様と議論を交わすのがお似合いですよ」
フラミーの言葉通りレイアードはアシュリー工房にきてはよくアマネと戦術や戦略について熱く議論・・・というより一方的なアマネによる指南を受けておりフラミーも度々その現場を目撃している
「有難うございます」
「ああ、丁度いい機会なのでこの場で剣聖にシャイタン様と私から称号を与えます」
「称号、で御座いますか?」
フラミーの申出に陛下がここにきてきょとんとしてしまい思わず台詞を返してしまう
陛下の称号といえば市井では色々言われるが正式なものといえば1つしかない
「ええ。剣聖はレギン様が当時の貴方に授けたものですが、今の貴方は天賦の才だけでなく行者としても超一流。全剣技が行使可能でかつては数多の加護があったとはいえ竜様の放った究極魔導でもある竜星懐まで切り伏せた。そんな貴方に永久評議神のシャイタン様から贈ります。剣を司る星という意味で剣星を名乗りなさい。私もそれがお似合いだと思いますよ」
前々からシャイタンが考えていた事柄だ
星多くあれ中には剣聖の称号を得たものも少数いるがシャイタンはその者たちを剣聖と称号で呼んだ試しはない
神とは名をなにより重要視している。それはシャイタンも例外ではなく、数多の星の剣聖達はシャイタンからしたらその名に技量が見合わないと認めていない
だが・・・110の星の剣聖は別だ。シャイタンも認めており初めて剣聖呼びした相手だ。戦争を経て今のロック・フェザスター・シャルマーユは剣聖を超えているとシャイタンは認めたのだ。
「剣星・・・・有難うございます。その名に恥じぬよう更に精進することをグラムにかけて誓います」
望外の申し出に陛下は思わずグラムを掲げ、騎士の誓いを立てる
王でも皇でもない、神相手に
「ええ。いずれ神界でもお会いしましょう。その時は素戔嗚様を紹介しますよ」
剣の武神は数多くおれどロックに紹介したい相手はフラミーも個神的に親しい素戔嗚だ
「すさのお様?」
「はい。シャイタン様と同様の永久評議神の伊邪那岐様の懐刀で、剣星、貴方の行きつく先におわす益荒男な武神です。さぞ貴方と気が合うでしょう」
神界五乃騒動の1つでかつてオーディンと伊邪那岐が争った際にオーディンと一騎打ちした程の武神で神界ではどの派閥も素戔嗚を認めており是非自陣にと画策するほどだ
シャイタンの派閥も例にもれず素戔嗚を手中にと謀ったのだがその結果、フラミーは同じ永久評議神の次席という立場もあってか素戔嗚と親しくなった。
「有難うございますフラミー様」
「永久評議神・・・フラミー様、質問よろしいですか?」
陛下とフラミーの会話で前々から気になってた事をこれを機に尋ねようと挙手するレイアード
「ええ、どうぞ」
「我々はシャイタン、敬は省かせてもらいますがそのシャイタンの地位を存じておりません。先ほど永久評議神と仰いましたが詳しくお聞かせ願ってもよろしいですか?」
レイアードは勿論この場にはサタニストを除く皆がシャイタンには嫌悪感がある。いくら神といえど戦争時に自軍を虐殺しまくったシャイタンに礼を尽くせる訳もなく、今この場では不敬にもあたるが敬を使わず尋ねる
従者達は不敬では? と静かに騒ぐがそんな些細な事フラミーは気にせず丁寧に解説する
「ああ、成程。くくくっそういえばシャイタン様は説明すら手間と思い省いていたのでしょうが―――そうですね、神界では君主制ではなく、各分野に特化された神々から代表を選出されより優れた神が永久評議神として議決を有しています。神界の永久評議神の席は今現在11席ありシャイタン様はその一席を有し支配星500程の神界でも大派閥です。先に名を挙げた伊邪那岐様やこの星でも知られているならエキドナ様やヘカーティア様も同様です。今現在は故あって神界とは離れてますが幻獣界の統治者たる竜様も永久評議神ですよ。ちなみに天獄の最高神でもある3柱とほぼ同格といえるでしょう」
古代、神々の降臨が盛んだった頃には永久評議神の事も言い伝えられていたが今ではそれを知る術もなく、フラミーがスラスラと説明する
超越者についてはどの星も伏せられるが神の立ち位置については公開されているので問題ないとフラミーはこの星では驚きのシステムを伝える
「なんと・・あのシャイタンが」
サタニストの一部は我が神の立場を知り狂喜乱舞し、それ以外のシャイタンに散々辛酸を舐めさせられた一部はなんともいえない表情で議会は騒然となる
「フラミー様。ご無礼を承知で一言言わせて頂きたい。シャイタンは嫌いなのでどれだけ権威と立場があろうと敬は使いたくないのが本音です」
陛下の無礼もフラミーは鼻で笑い飛ばす
「ええ、ええ。構いませんとも。シャイタン様も私も大悪神。嫌われるのには慣れてるので気にもしませんよ」
こうして神の降臨という奇跡もあった賢者会議は終えた
後に帰還したフラミーが顛末をカレンに伝えるともうあの場にもう出ないで済むと知って歓喜してフラミーに抱き着き感謝を示す




