115話 夫婦の創世奇譚 16話 番外1 サテラの冒険1
カレンの頼みで魔法の蒐集に訪れたサテラ
カレンに転移させてもらったこの世界は今まで見てきた世界に比べると非常に居心地が良かった。
転移してすぐに気づいたが世界中にカレンの魔力を感じ、あの名の無い秘星に居るような感覚で上機嫌だった。
この世界に来るに当たってカレンに言い渡された事は3つ
この世界は複数の神が目を光らせてるから悪目立ちは避けること
(但し危険な目にあったら遠慮しないでいいわ、何かあったら私の名前出しなさい。大抵の神は大人しくなるわ)
魔神とはいえ大量虐殺や国滅ぼしをすると変な輩に信仰されかねないから禁止
(下手に信仰されるとあんたその世界から離れられなくなるわよ)
魔法に限らず珍品も見つけたら持ってきて
(ドラゴンの肉あればたの(ちょっと、お土産じゃないんだから神器とか魔具に決まってるでしょ)むぅ)
兎にも角にも先ずは人のいる町や国に行かなければ話しにならない
今現在転移された箇所は見渡す限り平原だが地図も土地勘も無いので探査魔法を発動させ人の密集してる地域を探す。
幸い半日歩いた箇所に町らしき反応があったので徒歩で進む
飛行魔法や転移魔法を使えるがこの世界では使われているのかも不明なので大人しく徒歩を選択した
(目立ちたくないので魔力も最低限に抑えましょう。亜人はいるのかしら? 当面はフード被っておきましょう)
こうして平原に黒のローブを羽織った魔女が黙々を町を目指して進んでいく。
夕焼けが照り返す頃に外壁が見えてきたので壁伝いに移動すると検問所を見つけたが遠視の魔法で様子を見ているとどうやら通行料の他に許可証も必要なようだが当然今のサテラにはその両方持ち合わせは無い。
宝物室から金貨袋に積めるだけの宝石はカレンより受け取ったが金はなんとかなっても許可証はどうしようもない、不可視化して飛行で壁を越えることは容易だが魔法大国のこの世界ではそれぐらいの対策はあるだろうと諦め、素直に検問所で尋ねる事にした。
「次の者、ん、あんた魔女かい? 通行料と許可証だ。それと念の為フードを取ってくれ」
兵士というより魔術師の格好をした検問兵は次の通行人の格好を見て魔女と判断したが、造りのいい上質なローブにフードを被っただけで杖も手荷物も無い通行人に疑いを持ち、念の為杖に手を置くと通行人は素直にフードを外す。
見目麗しい顔立ちに頭の兎の耳とオッドアイが特徴の少女で敵意等は感じられず思わず見蕩れてしまう
「田舎村から旅をしている者でこの町に来るのは初めてで許可証は持ち合わせておりません。お金は宝石でよければ支払えるのですが、許可証はどうすれば手に入りますか?」
少女の鈴の音のような声に聞き惚れぼーっとしてたが後ろの列から催促の咳払いで気を取り直し改めて対応する
「んんっ! 宝石での支払いは認められてるが許可証は今すぐどうにかなるものではないが、あんた見たところ魔女だろう。なら詰め所で魔術師登録すれば許可証代わりになる・・・それとフードを被っててくれ。見た事無い種族だが亜人だろう? ここいらで亜人は珍しいからな」
兵の気遣いに感謝の言葉を送り案内されるがまま詰め所に入るとまた別の兵がおり2,3言葉を交わすと元居た兵が外へ出て行く
「亜人とあまり人に知られたくないだろうからな。このまま俺が手続きをする、一応聞いておくが他所で登録はしてないのか?」
親切心と少しでも少女と接したいという軽い下心からの対応なのはサテラもお見通しだがこの程度可愛いものと素直に感謝して今思いついた作り話を語る
「はい。多少の魔法の心得があったので山や遺跡巡りしながらの研究ばかりで人里は初めてなので登録は初めてです。どのようなものですか?」
「珍しい亜人さんだな。魔術師登録ってのはその名の通り魔法を使えるものだけに発行される許可証で身分証明と階級を示す物でこれがあれば大半の国は出入り可能だ。この天球に手をかざしな、それで勝手に読み取って許可証が造られる。先に行っておくが偽造は不可能だぞ、最もこれを偽造できるほどの腕前ならとっくにどこぞのお偉いさんになってるだろうがな」
笑いながら兵が用意した天球を前にサテラは一瞬躊躇う
(これは・・・神器とは違いますが僅かに神威を感じますね。確かに偽造は無理なようですがどうしたものか)
魔法の力量だけならともかく魔神まで発覚しては流石に問題になると悩むがここまできて辞めるというのも怪しいので左目を瞑り懐から魔力封じの指輪を取り出し装着して魔力を極限まで抑えて天球に手をかざす。
(最悪この兵を気絶させて逃げましょう)
サテラの意気込みとは裏腹に天球は淡く光り連動された書記体が動き書面に記載されていく
光が収まると同時に書記体も止まり書面を兵が手に取り眺める
「ふむ、亜人さんなら3級ぐらいあると思ったが4級か。・・・よし。これで手続きは完了だ。4級なら通行料は銀貨2枚だが宝石払いだったな、どんなのだ?」
兵に手渡された書類に目を通すのは後回しにして金貨袋から小粒のルビーを取り出し兵に見せる
「これで代用できますか?」
ルビーを受け取った兵は今度は秤のような物を持ち出しその上に乗せると秤は傾き中央の目盛りが動く
「随分と上質なルビーだな。ちょっと待っててくれ」
どうやらあの秤は価値を計る物で模造品の区別もつけられるのだろう
手持ちの宝石は全てカレンやシドの錬金術の副産物だが込められた魔力を考えれば本物以上の価値なのであの秤は余程正確なのだろう
兵が金貨と銀貨数枚を用意してサテラに手渡す。
サテラとしては釣りなど貰えるとは期待してなかったので現地の通貨が手に入りこれ幸いと銀貨1枚を兵に謝礼として渡す
この町の兵の教育はしっかりしているのか最初は断ったが御礼と田舎者ゆえの知らない事は教えてほしいからその先払いと説明すると納得したのか受け取り詰め所を後にした。
(なるほど、確かにこれは破棄も偽造もできませんね)
詰め所を通り過ぎるとすぐ傍に川があり、その辺で魔術師登録に目を通し物理的にも魔法的にも傷すら付けられず書き換えも不可能と確認する
サテラ
種族:亜人(玉兎族) ?#’
危険度D
魔法適正 B
魔法階級 4級
魔導教練組合 達成任務0
違反歴 無し
罪状 無し
(文字化けの所は魔神かしら? かなり精度の高い道具ですね・・・組合の任務は大よそ検討が付きますが階級や罪状などはあの道具でその都度書き換えが必要なのかしら?・・・いえ、それだと罪人はわざわざ書き換えなんてしないでしょう・・・おそらく)
自動更新と踏んで魔力封じの指輪を外し、微かに魔力を開放してみると身分証が発行し変化する
サテラ
種族:亜人(玉兎族) }6=;
危険度D
魔法適正 A
魔法階級 3級
魔導教練組合 達成任務0
違反歴 無し
罪状 無し
(なるほど、この町で一通り常識を学んだらあの道具ほしいですね)
早速珍品を見つけたサテラは上機嫌で改めて町を見渡し練り歩く。
今までの世界と比べると建築物には大差を見受けられないが要所要所に魔道具が設置しており至る所に魔力を感知できる
この町がこの世界で重要都市なのかどうか不明だが大通りは全て舗装されており通行人も魔法使いが多く魔力を感じる
なにをするにせよまずはこの世界の常識が必須、次に飛行魔法や転移魔法の有無、及びそれらの阻害魔法や犯罪になるのかどうか等確認したいことは多々あるがどこへ行くべきか。
日も暮れて夜になり酒場が盛んになる頃、サテラは改めて川の辺で佇んでいた。
(まさか宿すら取れないとは、この身分証邪魔にしかならないのでは?)
情報の収集に真っ先に足を向けたのは身分証にも記載されていた魔導教練組合
他の世界でもままある傭兵組合や冒険者組合のようなものだと判断し足を運んだものはいいものの結果は散々だった。
通行人に尋ね組合の前まで来たらその異常差が目立っていた
知ってるだけで7つの阻害魔法が建物に施されており幾つか知らない魔法も掛かっており、建物の中での魔法の行使は控えたほうが良いと判断し、素直に受付にどのような所か聞き出すと国発行の依頼(6割が公共事業の請負、3割が違反者の捕縛ないし殺害、1割が後輩への魔法補助依頼)と夢の無い仕事の上、階級の低い間はノルマもあり、週に一度は組合に顔を出さなければならず、サテラの目的に合わないと組合員になる事を拒否したら禄に取り合ってももらえず追い返された。
組合員になっても組合が保有してる情報の提示は1年間の組合在籍が必要と改めて情報の大切さが身に染みた。
片っ端から常識を聞きまわるのも悪目立ちするのでまだ客の出入りが少ない酒場で余計な詮索無用と前置きして金貨を渡して幾つかの情報は手に入れることができた。
この町はキルトといってグル・サーナ国の領地にある田舎に分類される町で首都グル・サーナと雪山を挟んだ隣国のレザリンド国と2年間も戦争継続中らしい。
しかしどうやらこの世界の戦争は両国の宣戦と共に仲裁役権監督として魔導教練組合が介入し決まった時刻に決まった場所で大規模戦術級魔法の撃ち合いをするらしく一般人に被害は殆どでることはなく主要都市でも暢気にしてるとのこと。
この時点で魔導教練組合の権威が高いのは明らかだが解ったのはここまでで飛行魔法等の高位魔法は滅多に見られず阻害魔法に到っては知らないと言われ店を後にして宿に向かうと身分証の提示を要求され見せると組合員でない者は宿泊不可と拒否され、他の安宿でも亜人を理由に断られた。
(宿はこの際どうでもいいとして、これは非常に拙いですね・・・)
愕然としながら目を落とした先にあるのは身分証だが昼とはまた内容が変更されていた
サテラ
種族:亜人(玉兎族) }6=;
危険度B 要特定区域への制限
魔法適正 A
魔法階級 3級
魔導教練組合 達成任務0
違反歴 魔言の不正使用
罪状 無し
酒場を出た後に蛇の道は蛇と人通りの少ない裏通りを練り歩き不良にわざと絡まれ覇者の言で【動くな】と指示したところ身分証が発光し、改めると危険度と違反歴が変更されていた。
舌打ちしながらもしょうがないと不良に根掘り葉掘り聞き出したが不良から有益な情報は無く散々だった。
一考し、最悪この町から逃亡も覚悟で不良に知人友人に魔法に関するあらゆる情報を聞きだし此処に来るよう命じてあるが田舎街の不良の知己など当てにしておらずこの先の動向について只管熟考に耽る。
3時間ほど川で耽っていると不良が命令通り戻ってきたので今日一日で得た知識をサテラに口下手ながらも説明させ、最後にサテラから今日一日の出来事は忘れるよう命令され不良はおぼろげな足取りで消えていく。
魔法使いの知り合いはやはり居なかったようでこの世界独自の魔法についての情報は無かったが今のサテラに有難い情報が手に入ったのは大きい
魔法階級2級辺りの魔法使いは飛行魔法を使える術者が大半らしく街中での行使は禁止されており、阻害魔法は公共施設区域や重要施設・特権階級区域にはあるらしいが精度は不明で一般区域はおそらく阻害魔法は無いとのこと。
不可視化魔法については更に不明で2級以上が行使できるのでは? ということと阻害魔法処置も不明だった。
そして三ヵ月後に雪山でレザリンドとの17次魔導抗争が決まっているらしい。
(昼間の魔導教練組合の鉄壁ぶりから察してましたが街中での飛行は控えたほうがいいですね。不可視化と転移は外で試して身分証に問題なければそのまま探索しましょう)
即実行と転移魔法を発動させ、先の平原に移動しそのまま飛行魔法を唱える
(身分証に変化は無し。主要都市や重要拠点以外は問題無さそうですね、あとは・・・)
地面に降り立ち右手をかざし魔方陣を展開させる
修めてから実際に行使するのは始めての魔法だがこの世界でも問題なく使用できると判断しての魔法だった。
魔方陣が消えると其処には一見なんの変哲も無い鴉が一羽いた。
魔鳥・爆雷鳥の召喚
使い捨ての僕召喚だがこの爆雷鳥の特徴は視界と言語の共通ぐらいで戦闘能力は皆無で魔力も一切感じられないが作成に使用した魔力量に応じた爆発を捨て身として一度使用できるという正に使い捨ての使い魔だ。
命令も複雑なものは実行できないので単純明快なものしかできないが今の状況には適した使い魔だった。
命令は1つ
好きに行動して魔法を行使してる者を見つけたら観察しなさい
命令を受けた爆雷鳥は一鳴きして飛び去ってゆく
複雑な命令も受け付ける人型の召喚も可能だがこの世界では違反になる可能性もあるので魔力を感知できない鳥型にしたがこれですら身分証になにかしらの違反が追加されていたら今後の出方を大きく変える方針だったが幸い其の必要は無かったようで身分証に変化は無かった。
(外のことは一先ずあれにまかせてキルトで地盤固めと情報収集しましょう)
星々の光に照らされて視界は問題ないが辺りはすっかり暗くなり夜中に入ろうというところ、転移魔法で川辺に戻りその場で雑魚寝して思う
(野宿なんて里以来ですね。これはこれでいいでしょう)
屋敷の使用人には似つかわしくない豪奢なベッドでの寝心地に慣れたしまった今では寝苦しいことこの上ないがこれも一興と眠りに付く。
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夜警の交代兵が来たことでやっと開放された門兵のコリンは臨時収入の銀貨でどの酒場に行こうか楽しみに繁華街へ向かおうとしたところ、川辺で黒い塊を見つける。
月明かりでは確認しようが無いので杖を手に警戒しながら近づくと物ではなくローブ姿の人だった。
この見事な仕立てのローブは夕方目にしたばかりであの時の亜人さんとすぐに分かったがなにかあったのかと揺すり起こす。
「おいあんた、大丈夫か? どうしたんだ」
なにかしらのトラブルか事件を想像していたが単に寝入っていたようで数度揺らすと目が覚め、起き上がると寝ぼけ眼を擦りながら此方を観察する。
フードが捲れて黒い兎の耳が目立つが未だ覚醒してないのか寝ぼけながら此方を眺める様が可愛くて顔が熱くなるのが自分でも分かってしまい焦る
「・・・あぁ、あなたですか」
この亜人は余程寝起きが悪いのか未だ半覚醒状態で問うてくる。
フードが捲れてる事にも気づいてないようで、とりあえず一声かけてフードを被せるがなすがままで未だウトウトしている
「なんでこんなところで寝てるんだ?」
「宿が取れなかったので・・・じゃあおやすみ」
再びに横になる亜人に慌てて寄り起こすが眠気が勝ってるのか寝息が聞こえてくる
こんな無防備な様で放っておけるわけもなく、宿が取れなかったというのが気になるがそれよりまずは野宿が問題だった。
キルトでは野宿は禁止されており違反行為になる。
当然門兵の自分は取り締まる側なのでこのまま放任もできない。
田舎から出てきたこの亜人がそんな事知ってるとは思えないので起こして宿を取らすべきなのだが取れなかったというのがどういう訳か分からないので困惑してしまう
(仕事の時間も終わったし見逃すのはいいが―――、この亜人さん無防備すぎるだろ)
目の前でスヤスヤ寝息を立てる亜人の魔女が容姿も相まって良からぬ輩に発見されたら事件沙汰になるのは明らかだった。
かといって1人身の自分の家に連れて行こうにも朝になって騒がれたら此方が違反者になりかねない
今日の酒は諦めるかと呟き、寝入った魔女を背負い詰め所に向かう。
詰め所では後任に説明するのも面倒なので怪我人を見つけて詰め所の休憩所に休ませると説明し、簡易ソファに寝かせ対面の椅子に座って改めて目の前の魔女を観察する。
(風貌は明らかに魔女のそれだが杖を所持してないとはどういうことだ? それに田舎者にしろ無用心すぎるだろ、・・・亜人はわからん)
全く起きる様子のない魔女を眺めながら色々想像を巡らせるがフードから垣間見える寝顔を見ているとどうでもよくなり疲れていた自分もそのまま椅子にもたれ掛かり寝てしまう。
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川辺で野宿した筈が目が覚めると見知らぬ建物のソファに寝かされていたのでどういうことかと半覚醒の頭で見回すと対面の椅子に詰め所で銀貨を渡した兵が寝ているのを見てなんとなく状況を理解できた。
ちなみに川辺でのやり取りは記憶から抜け落ちている
このまま去るのも礼に欠けるのでとりあえず目の前の兵を揺すり起こすと起きた兵と目が合い驚いたのか慌てて仰け反る
「おはようございます。どうもお世話になったみたいで、ありがとうございます」
フードを被ったままだがお辞儀をすると男も落ち着いたようで立ち上がり答える
「あ、ああおはよう。世話というほどではないがキルトでは野宿は禁止されてるからな、なぜ宿を取らなかったんだ?」
このまま適当に流して去るつもりだったが野宿は禁止という聞き捨てならない台詞を耳にして逡巡して、兵に事情を説明する事にした
「…実は魔導教練組合で登録しようと思ったのですが、仕事内容を聞いて自分には合わないと断ったら禄に取り合って貰えず、宿も組合員でないことや亜人といった理由で取れなかったので困ってます」
本人に其のつもりは一切無い無自覚だが両手を胸の前で重ねてフードから見上げるその仕草は男の庇護欲を掻き立てた
(可愛いなぁ、―――じゃなくてっ! 組合員にならなかったのか。てっきり亜人だし組合員になるものだと思って気にしてなかったが・・・まあこんな無用心な魔女さんじゃ組合員なんて危なっかしくて無理だろうな)
「組合員になる目的だと思って其の点は注意しなかった自分も責任があるな、すまなかった。てっきりこんな田舎町に亜人が来訪するなんて組合員登録ぐらいしか思いつかなかった」
今度は男が頭を下げようとするがサテラが引きとめ、気にしないでください。事情を話さなかった自分のせいですから。と笑顔で男に返す
この時点で男は完全に庇護欲を刺激され自分がなんとかしなきゃと使命感を燃やしていた。魔眼の類ではなく素でこの様だから師匠譲りは魔法だけではなかった。
「しかし正直この町で組合員でもない亜人となると奇異の目で見られるからなにかしら職についたほうがいいが・・・」
キルトでは亜人は殆ど見かけないので珍しいというのもあるが組合員でないとなると他国の間者や追放者という印象が強く、あまり良いイメージは持たれないので職探しも一苦労するだろう。
可愛い容姿から夜の接客業なら歓迎されるだろうがそんなもの勧める気も無いし見知った今なら止めるぐらいだ。
ここで実家の家業を紹介するという考えが浮かんだが・・・給金など禄に出せないだろうと悩むが正直可愛い女の子と接点を持ちたいという邪な考えもあって彼女に聞いてみる事にした。
「俺の親父が魔道具店を開いてるが身の振り方を決めるまでそこで働くか? 給料はあまり出せんと思うが寝床と飯ぐらいなんとかなると思うぞ」
男の以外な提案に驚くが魔道具店というのが好都合と判断し是非お世話になろうと思ったが身分証のことを思い出し後で揉めるぐらいなら先に聞いておこうとサテラは懐から身分証を出して違反行為について話す。
「願っても無い提案で嬉しい限りです。是非お世話になりたいのですが・・・実は昨日怖い人に絡まれて咄嗟に魔法を使って逃げたのですが違反行為になってしまったようで・・・これでも仕事に就けるでしょうか?」
ちなみに、嘘は言っていない。逃げたか逃がしたの違いぐらいだ
男が身分証を見ると確かに魔言の不正使用と違反歴が記載されていたが彼女のいらぬ心配に兵は笑いで返す
「はっはっはっ!、気にする必要は無い。組合員成り立ての魔法使いには良くある事でこのぐらいの違反は魔法使いなら大抵のもんは付いてるし気にしないでいいぞ。それより絡まれたって大丈夫だったのか?」
事実組合員かどうかなど関係無く魔法使いにこの手の違反は付き物だった。
喧嘩などでうっかり魔法を行使してしまい違反など良くある事で、魔言の類となればおそらく低位の呪言魔法だろうと兵は勘違いしたが両者とも勘違いに気づかず話しは進んでいく。
「はい。争いは苦手なので直ぐ逃げたので顔もろくに覚えてません。それで・・・よろしければご実家のお店を紹介していただけないでしょうか?」
「ああ、どこかで腹ごしらえして早速行こう。其の前に自己紹介しておこう、ご覧の通りこの町で門兵をしてるコリンだ。よろしくな」
無骨に差し出した魔法使いに似付かわしくないゴツゴツした籠手越しに手を差し出し、サテラが両手で包み込み、返礼とローブの裾を付かんで一礼して自己紹介する
「ご紹介有難う御座います。申し送れました、サテラと申します。以後お見知りおきを」




