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臆病兎の錬金経営譚  作者: 桜月華
103/148

103話 夫婦の創世奇譚 07話 夫婦語2

シャルマーユの地に来て6日目、闘技大会開催日。


「では留守を頼むぞサテラ」


「なにか土産話期待してなさい」


「はい、いってらっしゃいませ。カレン様、シド様」


玄関で見送るサテラは格好だけは見間違える用になった。

血と泥で見るに耐えない有様に「使用人ならこれしかないわね」とカレンが2日掛けて用意したのはロングスカートランチェスター調の半袖使用人服だった。

黒のホワイトブリムは黒い兎の耳を際立たせ、白のエプロンに尻尾を出す穴を開けた黒いエプロンドレス、どちらも細部にレースが装飾されており、黒のストッキングとカレンとお揃いのブーツで露出は殆ど無い物のカレン(いわ)く「使用人に露出は不要でレース等の細かい細部で着飾るのよ」と無駄に熱弁された日を思い出す。


もしや名無し妖精にも着せてるのだろうか?


最上質の魔法絹で仕上がっておりカレンの魔法を組み込んで編まれたので着用者の総魔力増加(そうまりょくりょうぞうか)冥属性最強化(めいぞくせいさいきょうか)身体能力上昇(しんたいのうりょくじょうしょう)・不老化といったもはや奇跡に等しい効果を永続発揮できる神器(じんぎ)になってしまってる。

折角の綺麗な瞳を目立たせる為に胴体視力上昇(どうたいしりょくじょうしょう)の施された眼鏡も装着させてる。


別にサテラは視力が悪い訳では無いのにだ


あれから数日経ち、サテラの生気は大分取り戻したようだがやはり瞳の色は変わらずで妖艶な輝きを発している。髪もカレンと同色の銀髪だがクシャクシャに乱れてたものの、手入れされて元のストレートから臀部まで届く三つ編みお下げにされてる。


サテラにはまず書斎の仕組みを説明し書斎の整理整頓に専念させ、片手間に使用人としての技術を書籍から独自で学んでもらう事になった。書斎の整理には何十年と掛かると予想されるが、その間に服の効果で総魔力量が上がり魔法使いとしての器を底上げする算段だ。


「外には当面出れそうもないわね、まだ夜には泣いてるようだし」


リリーに騎乗して屋敷を出てカレンが口を開く。サテラは短い期間ながらも良く働いているが買出しだけはどうしても足が震えて無理との事でシドが行っている。


「あんな経験もすれば仕方ないだろうな、反面俺達に完全に依存してしまってるがどうせ旅行が終わればあの星に戻るんだし構わんだろう」


シドの言葉通りサテラは2者に完全に依存してしまい、始めは2者が出かけようとすると不安から挙動不審になり困惑してしまったがカレンがこの敷地には人避けの魔法かけたから、と説明してやっと安心して見送りできるようになった。旅行の間此処に滞在するだけで旅行が終われば別の無人の星に帰ると説明しても2つ返事で了承し納得してしまった。どうやら敷地内や屋敷内の空間を目の当たりにして2者が神との認識が益々強まってしまってる。


「今はいいけど(いず)れ私が魔法を叩き込む時には外に出てもらわないと困るわ、折角珍しい冥属性の魔女よ? 最高位の魔神に仕立て上げてみせるわ」


カレンの意気込みに書斎の手入れが終わった後のサテラの苦難を察して苦笑いで答えるしかないシド


「まぁそれは先の話だしな、今は旅行を楽しもう」


「そうね。折角久々にシドの雄姿を拝めるのだから、楽しみよ」


「対戦相手は自由に選べるらしいからな。噂の白風(はくふう)のアイリスとやらに挑んで、ついでに賭けて一稼ぎしよう」


ルルア渓谷から戻ってきてから何度か市場を周り、買出しのついでに闘技大会とアイリスについて調べていたシド

不定期に開催される闘技大会は国主催の大規模な物で皇国軍の参加は禁止されており賭けも行われている。アイリスについては聞かずとも勝手に耳に入ってくる。


見目麗しく、シドと同じ金髪碧眼で風属性の魔法を行使する傭兵騎士で16歳の若さで皇国軍の上部とも互角に渡り合う強者で軍を除けばシャルマーユ最強との噂だ。魔法と剣の腕に加えてその若さと可愛さに傭兵ながら首都でも看板娘の扱いをされてる。同じ風属性を行使する前衛と知って当初見栄で参加を決めたものの今では俄然(がぜん)興味が沸いている。


「賭けるって、参加者が賭けれるの? それにお金は土地を買って殆ど無いんじゃない?」


「当然参加者の賭けは禁止されてる。だからカレンに賭けて貰うのさ、これ渡しておく」


そう言って懐から取り出したのは大量に詰め込まれた金貨袋で前回利用した換金所で残りの手持ちの宝石を2日に分けて換金してもらい金貨3000枚が入っている。中身を見て準備がいいこと、とカレンが呆れ、代わりに大会での条件という名のお願いをする。


シドは秘星での生活と人からの変貌により金銭欲など失せてるのだが、それでも人の残滓というのも確かにあるので賭け事となれば多少は興味が沸いてしまう


唯・・・その残滓が良い事ばかりとは限らない


ルールやカレンといった規格外の戦闘を経た秘星での生活が当たり前になってしまったシドがやる気になった所で最早人間とは勝負にならないのを自覚できていなかった


・・

・・・

・・・・

・・・・・


控え室で溜息をつく美少女の姿があった。

見るものを魅了する女性のため息はそれだけで様になる、控え室に居る他の参加者達もその仕草に魅了されている。

彼女、アイリスの溜息の原因は今し方終えた3戦目に理由があった、対峙した瞬間に対戦相手は棄権してしまったのだ。1戦目で対戦相手を切り刻み、2戦目は魔法で場外に吹き飛ばした。そんな有様に3戦目の相手は始まる前から戦意喪失してしまった。


(はぁ・・棄権だと配当が下がるのよねぇ)


彼女は自分の実力の程を良く知っており、この大会には傭兵仲間に自分に掛けさせて荒稼ぎを目的として参加している。

彼女への配当の倍率は1.2倍とこの数字が実力を表している、小額なら小遣い稼ぎにもならないが預けた金と仲間内で出した金を合わせて金貨5千枚かけており、先の3戦で既に金貨3千枚近く稼いでいる。だがこの先は対戦相手の見込みはほぼ無く怒涛の荒稼ぎもここで終いかと諦めていた。


(強敵求めて挑んでくる奴はいないのかしらねぇ? 傭兵崩れに頼んでやらせをしようにも軍の目があるとデメリットが大きくて危険ですわ)


賭けが認められてる以上当然グルになってのやらせも発生する、実際今回の大会が始まって既に4人のやらせ行為があった。

だが軍の上層部が貴賓室から観覧しておりやらせ行為はすぐに見抜かれ、即座に兵士に連行されていった。


彼女は愛国心溢れる義勇でもなければ強者との戦いを只管(ひたすら)求める戦人でもない。皇国軍より傭兵のほうが自由も利いて大金を稼げるから傭兵稼業に身を置いてるだけで、何度か軍からの誘いもあったが跳ね除けた。彼女の胸中にあるのは唯一つ、一族の復権だ。


彼女の家計は貴族の血筋で元々大貴族の令嬢だった彼女は英才教育を受け魔法も剣も一流に師事していたが、母方の縁者が大罪を犯し連座刑で彼女の家も爵位を剥奪され取り潰しになってしまい、現在では彼女の稼ぎで両親と妹を食わせている。


(これで金貨6万枚は溜まったわ―――後4万枚で爵位を取り戻せる―――)


アイリス様。次の対戦相手が決まりました、準備出来次第舞台にお越しください。


(きましたわ! これでもう千枚は稼げるわね)


新たな金蔓の知らせに喜んで舞台に向かう白風(はくふう)のアイリス。




大歓声の中舞台にあがると異質な相手がいた。


お待たせしましたああ!! 皆さんお待ちかねの白風のアイリス様の登場です! 今試合はアイリス様の華麗な勇姿を期待できるでしょうっ! 対戦相手は既にお待ちかね、異国の大男! 見慣れない馬に乗る騎乗槍兵のシド選手っ!!


審判のアナウンスに合わせて再び喝采が起こる中、アイリスは驚き戸惑っていた。

見慣れない不思議な馬に乗った異国の大男に呆気に取られるが、馬の見事な馬装具に男が手にしてる2振りの短槍の凄まじさに困惑する。


(あの体格でこの狭い舞台で騎乗戦闘・・・・? 実践経験が無いのかしら? 確かに騎乗での参加も認められていますけど――そもそもあの黒い生物はなんなの? 翼があるけどさすがに飛びはしないわよねぇ? さしずめどこぞのボンボンが金に物言わせて揃えた装備で舞い上がってるのかしら?)


確かに戦闘面では体躯の大きさは有利になる

だがそれは死合いでの話でこの様な狭い闘技場ではかえって不利なのに加えて騎乗ともなれば言葉も無い

アイリスが魔力看破を行使してみれば魔力は並よりは高いが自分の様に吐出してる訳でも無い

呆れる相手だった


「あなた、実践の経験無いでしょう?」


「そう見えるか?」


「こんな狭い場所で騎乗戦闘選んでる時点で・・・ねぇ?」


「ふむ、これは可愛い妻にお願いされたのでな、なに期待外れにならぬよう努めるさ」


観察の為軽く声を掛けてみたが帰ってきた返事は妻のお願いと来た。いよいよ見掛け倒しの線を強めるがそれでもブラフを疑い警戒する。

最も彼は言葉通り妻に『久々にリリーに乗ったあんたの勇姿が見たい』と可愛くおねだりされたのだが・・・


審判の戦闘開始の合図と同時に距離を目一杯取り騎乗兵相手のセオリー通り、油断せず馬に風属性の斬撃魔法を叩き込む。


(強さが測れない以上は馬を潰すのが決まりですわ)


彼女の行使した魔法は馬の首に命中するが掠り傷1つ付ける事無く魔法は霧散(むさん)した。


(魔法抵抗が付与されてるっ?! 本当に装備は1級品のようねぇ)


アイリスが驚いてる合間に馬とは思えない初速で距離を詰められ馬上から槍での切り払いを許してしまったが咄嗟に剣で防ぎ見た目に勝る怪力によって後方に吹き飛ばされる


(・・っ―――馬装具に気を取られ油断したわぁ、、凄まじい膂力ですわ、私の剣が今の一撃で欠けるなんて・・・。打ち合いは不利ねぇ)


馬の速度は凄いが怪力は想定していた、ならば剣にも魔法をかけ避けながら手数で攻めるのみ、馬さえ封じれば怪力だけなら何とでもなる


風属性上位強化(かぜぞくせいじょういきょうか) 速度上昇(そくどじょうしょう) 白風付与(はくふうふよ)


属性を強化して移動速度を底上げし、剣に必殺の白風を付与させる。アイリス独特の付与魔導で剣を強化しカマイタチを飛ばす事も出来る。


アイリスの魔法行使を黙ってみていたシドは剣に吹き荒れる風が目に見えて纏っているのを視認し警戒を強める。


シドに向けてその場でカマイタチを一閃して飛ばし、距離を詰めようとするがシドの一閃によるカマイタチで封殺され相手の突進によるチャージと相打つが、馬の首を下段から跳ね飛ばそうと切り上げるがシドの青い槍で剣を防がれもう一方の赤い槍で利き腕の肩を穿たれる。


アイリスの負傷により悲鳴と歓声が巻き起こるが、アイリスは即座に距離を取り傷を確認する。


(・・これは使い物になりませんわ・・・魔法の行使を前に動かなかったのは騎乗の基本チャージに専念するためでしたのね、死ぬのはご免だから棄権したいのですが・・・せめて傷の分は返さないとこの先の傭兵稼業に関わりますわ)


右肩を大きく穿たれ出血と激痛が酷いが剣を左手に持ち替え、構える。

死ぬぐらいなら負けを認める所だが、相手を無傷で棄権したとあらば幾らアイリスでも風評被害を免れない。


「――棄権しないのか?」


「お生憎様ですわ、これでも名前で稼いでるからこのまま棄権する訳にはいきませんの」


ここにきてシドの気遣いはアイリスの反骨心を煽るだけだった。

そんなアイリスに「その気構え(いさぎよ)し!」と勘違いしたシドはチャージの体制に入る


「流石その名を(とどろ)かす強者だ! もう一手相手願おう!」


シドの圧倒的な威圧感を解放し、覇気に満ちた掛け声にアイリスは完全に居竦(いすく)まってしまいチャージに一瞬対応が遅れる、が、それでも白風の名は伊達ではなかった。チャージを右に大きく避け、白風を纏った剣でシドの右腕を切りつける。


それすらシドは感知し右の槍、月詠(つくよみ)で強烈な突きを放つ

その突きはアイリスの必殺の白風を纏った剣を容易く突き砕き、尚威力は殺されずアイリスの首を穿つ。


(―――ああ、棄権するべきでしたわ・・・ごめんね――)


回転する視界の中、家族の姿が過ぎり謝罪する。

美しい頭は無残にも宙を飛んだ後、地面に転がり落ちる。


こうして白風のアイリスは悲願を達成する事叶わず16歳と若い命を散らした。


・・・・・

・・・・

・・・

・・




試合に勝利し、アイリスの事を強者として胸に刻むと槍を掲げ観衆に勝利を捧げるシド。


観衆は声を殺して愕然としていたがシドの高らかにあがった槍を目にし一斉に声をあげる。



大喝采・・・などではなく大ブーイングに、野次、投げ込まれる品々。審判が場を収めようとするが全く効果が無く次第に罵詈雑言が増す一方だった。

シドもカレンもここにきてこの対応に頭の中は疑問符が乱れるが、世情に離れ隠居生活の長い2者はすっかり失念していた。


そう、ぽっと出の見知らぬ男に自国の英雄が試合とはいえ殺された事に怒り狂う観衆、賭けに負けて大損した衆人、憧れていた意中の女性が殺されて涙ながらに野次を飛ばす男達。

大会の進行所では無くなった事に(ようや)く気づいた審判はさっさとシドを控え室に下がらせる。


――

―――

――――

―――――


大会の中止から半刻後、2者の超越者(ちょうえつしゃ)は逃げるようにシャルマーユを飛び出した。

あの後カレンと合流したシドは漸く状況を理解し逃げるようにカレンの手をとり屋敷に戻ろうとするが、カレンがちょっと待ってなさいと呼び止めて受付に消えていく、暫くして大量の金貨袋を抱えたカレンが姿を現し、「金貨が4万枚も手に入ったわ、白風様様ね」と未だ状況を理解していないカレンを引き連れリリーに騎乗して人目も(はば)らず首都の中空(ちゅうくう)を翔けていく。


屋敷に戻り出迎えたサテラを屋敷ごと先に故郷に転移させるとそのままリリーに空を翔けさせ兎に角シャルマーユを飛び出し、カレンに状況を説明していた。


「つまり偶像(ぐうぞう)していたものが殺されてお(かんむり)ってこと? 新たな偶像が誕生しただけなのに大げさね」


「殺した俺が言うのもなんだが、そりゃ自国の可愛い看板娘が殺されたらなぁ、、、俺もこんな状況になるとは想定してなかった。せっかくの旅行なのに急かしてしまって済まないなカレン」


2者の想像を遥かに超えた混乱がシャルマーユでは起こっておりお祭り騒ぎから国を挙げての騒動に発展していた。

市民はアイリスの死を知り怒り狂い、群集がシドを血眼で捜し、観覧していた軍もあのアイリスを倒す異国の者がいると大騒ぎで皇国軍を挙げてシドを捜索している。


「構わないわ、夫の雄姿を拝めたもの」


シドの胸に体を寄せカレンの久々の甘えた様子にシドも大満足だった。


(偶に見せるこの仕草が堪らん!)


「満足してもらったようでなによりだ。それに大量の金貨も手に入ったしな、俺達には使い道無いがサテラがなにかしら使う事も有るだろう」


この世界の貨幣などこの世界から転移したら唯の(きん)でしかなく、錬金術で幾らでも練成できる2人には関心の無い品で唯ついでにと賭けてみたがシャルマーユを出た今無用だった。


「それで、探査魔法でドラゴンを探してしまっていいのね?」


「ああ、頼む」


カレンの探査魔法を行使すればドラゴン程の強者なら世界のどこに居ても一発で感知できる。今までそれをしなかったのは折角の旅行だからと気長に自力で探すつもりだったが、あんな騒動があっては旅行どころではないとサテラと一緒に自分達も戻ろうかと一瞬考えたが、せめて最後の思い出にドラゴンの肉料理で絞めを括りたかったシドはカレンに頼んだ。


カレンが魔法を行使し空の上にいる自分達の更に頭上に100m規模の大魔方陣が浮かび上がる。


「この世界にはドラゴンは3匹しかいないようね。2匹は力が弱いからまだ幼体でしょう、ここから北に3時間ほどの所に強大なドラゴンがいるわ」


カレンの大魔法とその精度に関心し、北に進路を取ってリリーを翔けさせる。




眼下では書物で見知った30m程の巨体で強大なドラゴンそのものが紅蓮の吐息を撒き散らしていた。

数分前に目的地に着きドラゴンを発見するが3名の若者と交戦しており、横取りは如何なものかと迷いながら観戦していた。


「――――なぁ、カレン。あの者達を見ていてふと思ったんだが」


「あら、なに?」


「アイリスもあの若者達もどう見ても10台半ばの子供にしか見えんのだが、もしかして強者の中で30近い俺は年食ってるほうなのか?」


この世界に限らず今まで渡り歩いた世界では強者の殆どがシドから見れば子供同然だった。この世界に来て物語に出てくるようなドラゴンに立ち向かう若者を見て自身の歳を考えてしまうシド。


「・・・そんな渋いあんたがいいのよ」


カレンの世辞に喜び半分もう半分はやはり歳食ってるのかと落ち込み項垂れてしまう。


「あ、ほらあの人間達敗れたわよ。若輩者に年季の違いを見せてやりなさい」


(見せるもなにもあれもう死んでるんだが・・・)


動体視力上昇(どうたいしりょくじょうしょう)を使うまでも無く黒焦げになった3人はピクリとも動かず絶命していた


「ま、まぁそういうことならもう一頑張りするか!」


「そうそう、ドラゴンって肉は勿論、血や内臓、鱗に角とどの部位も錬金術に使えるから無駄な傷は負わさないでね」


「ふむ、そういう事ならここから投擲(とうてき)で仕留めるか」


言うや否や天照(あまてらす)に全力を注ぎ足元のドラゴン目掛けて投擲する。

ドラゴンの頑丈な鱗も、固い皮膚も易々と貫き頭を貫き尚地面を穿ち続ける一槍




こうしてこの世界から1人の英雄が消え、また厄災の三竜のうち一匹が忽然と消えた。





ドラゴンを手土産に上機嫌で我が家に帰宅した一向。

リリーは長時間の飛行に疲れリリー用の小屋で休ませ、カレンとシドはサテラに出迎えられる。


「お帰りなさいませ。カレン様、シド様」


サテラの様呼びにまだ慣れてないシドは面映ゆいが我慢し、サテラに土産の自慢話をする


「ただいま」


「ああ、ただいまサテラ。表にでかい土産があるぞっ」


サテラはシドの玩具を自慢するような子供を連想させる笑顔で背中を押され表に出て見てみると30m程の巨大な生物の死骸があった。


「――――あの、シド様これは、、もしかして竜、ですか?」


噂で耳にした程度で実物を見たことは無いがどうみてもそれは竜以外考えられない生物だった。

数々の人里や街を襲いシャルマーユ皇国軍でも討伐に手を焼き、厄災の三竜と恐れられた竜が目の前で息絶えている。


「そうだ。以前一度だけ食べた事があるんだがとても旨くてな! こいつで夕餉を豪勢に味わおうじゃないか」


シド様の仰ってる事が良く理解できない――――――


あの厄災と恐れられた竜を仕留めた上に食べるんですか? この屋敷の外に広がる景色もそうですが神様が凄すぎて理解に追いつけそうにありません・・・


転移の前に事前に説明はされてたがいざカレンの大魔法を行使してる様を見て見蕩れてしまい、気がついたら見渡す限りの暗闇に星の光りが照らされてる大地に変わっており、数分間は絶句していたサテラだがここにきて更に驚かされる。


「凄いです神様! 竜なんて皇国軍でも討伐が難しいと言われてるのに仕留めてしまうなんて! やっぱり神様は凄い方なんですね!」


サテラの絶賛に神ではないのだが説明しようが無いので説明を先送りにしようと決めたシドだった。


「こいつの解体は貴重な部位が多くて大変だから3人で掛かるわよ」


カレンの掛け声に2人も準備をし、カレンの指示でドラゴンを解体していく。

その日の夕餉は3人で舌鼓を打ちシドに続いてサテラもドラゴンの肉の虜になってしまい、後の魔神への切欠の1つとなった。


「そういえばサテラ、これは竜ではなくてドラゴンよ」


「え、竜とドラゴンって違うのですか?」


「人と亜人ぐらい別物よ。恐らくあんたが想像してるのはドラゴンで竜の亜種や劣等種よ。何方も容姿は似ているから何処の世界でもよく混同視されがちだけど高位の竜種は流石に私達でも話にならないぐらい別格の強さよ」


「お前でも勝てないのか?」


「ええ、低位なら兎も角高位は先ず無理ね。それ以前にドラゴンと違って竜種はその殆どが神格があるから殺したら面倒よ」


「神格!? ま、待てっ。まさかこいつも神だったのか?」


「これはドラゴンで神格もなにも無い唯の蜥蜴よ。まぁ竜種は絶対数が極端に少ないから意図しないと先ず会う事は無いだろうけど竜種に蜥蜴は禁句よ。文字通りの竜の逆鱗に触れるから」



夫婦になって11年、サテラを迎えて半年が経つ頃


サテラは屋敷での生活に馴染み今日も何時もと変わらない平穏で幸せな朝を迎える。


2階の空き室を頂き使用させてもらってるサテラは目が覚めたら身だしなみを整えカレン様に作って頂いた使用人服に着替えカレン手製の眼鏡を掛け1階の台所へ向かう。材料の確認をして調理に掛かる、料理は屋敷に来て当初はシド様に教えてもらっていたが今では1人で任せてもらってる。準備が出来たらカレン様とシド様の部屋へ行きお二人を起こす、シド様は目覚めが良くカレン様は低血圧らしく朝は弱い。


お二人が降りてこられたら3人で食卓を囲う。これも最初は使用人の私はお二人の食後にと申したのですが「それは人間の貴族のルールでしょう? 私達には関係ないわ」とのお言葉で一緒に食事を取る事になった。お二人は強いだけでなくお優しいです。楽しく食事をしながら料理について3人で談義するのもよくある事で、普段は私が料理を任されてますが偶にお二人が作る時もあって、その時は素晴らしいご馳走です。料理の腕もお二人は超一流です。


食事を済ませ食器を片したら書斎に向かい私の仰せつかった役目に励みます。書斎では膨大な量の書物の分類分けと整理整頓、合わせて合間に使用人の仕事についての書物や錬金術・魔導書を見て勉強もします。玉兎(ぎょくと)の私は人間より魔法に精通してますがカレン様によると(めい)属性という珍しい属性らしく、この書斎の整理が終わったら魔法を教授してくださるそうです。とても楽しみですが―――この書斎の書物は日々増え続け、一向に整理の目処が着きません。書斎を整理するようになって半年ほど経ちますが20分の1も済んでいません。先は長いですが頑張りますっ!


お昼が近くなると昼餉の準備を行いお二人を探します。(たま)にお出かけする事もあり食事を抜かれる事もありますがその時は事前に伝えてくれます。今日はカレン様は自室で魔導書を読んでおり、シド様は地下工房で錬金術の研究に励んでおられました。3人で昼餉を取りこの時に書物で気になった所を訪ねるとお二人は親切に教えてくれます。


昼餉が済んだら屋敷の清掃です。最初は屋敷の広さに苦労しましたが今では慣れました。空き室が多いのも時間短縮になり最近では庭の庭園の手入れをする時間もあります。清掃が済んだら書斎の整理に戻ります。日増しに体の動きが良くなり整理も今では増える書物以上に整理できます。おそらくこの使用人服に掛けられたカレン様の魔法のお陰です。


夕方になると書斎の整理は辞め夕餉の準備に取り掛かります。今日はシド様が作って頂けるようでお手伝いをし美味しい夕餉を3人で囲みました。この後はお仕事は無いのですが私の自由時間ということでお二人のお部屋でお世話をさせて頂いてます。お二人はご夫婦で、結婚して10年ほどと伺いましたが今も仲睦まじい様子です。聞けばシド様の一目惚れで100年越しに添い遂げたとの事、神様のスケールは凄すぎます。


カレン様に庭園にお酒を運ぶよう仰せつかり、お酒と簡単な肴を用意して庭園に向かうとお二人が仲良く寄り添って景色を眺めておりました。お酒を飲み交わし少ない言葉を交わしています。夫婦ならではの雰囲気でしょうか? 私にはまだ判りません

お二人に休むよう言われて部屋に戻って今日のお仕事はお終いです。あの悲惨な有様からこのような幸福な時間を頂きお二人には感謝が絶えません。明日も頑張りましょう。



夫婦になって15年頃


シドは逼迫(ひっぱく)した状況に追い込まれていた。

サテラの部屋でカレンに床に押し倒され馬乗りにされている、その後ろではサテラが火照った顔で狼狽している。


――――なんでこうなってしまったんだ――――


―――

――


数ヶ月前、前々から計画していたことを実行に移した。

サテラの部屋へ行き、最初は戸惑い抵抗するサテラだったが拝み倒して堪能させてもらった。

以降偶にサテラの部屋へ行き満喫させてもらっていた。

最近はサテラもすっかり馴染んで喜ぶようになった。


俺の妙技(みょうぎ)も上達したものだ。サテラはよほど気持ちいいのか(つや)やかな嬌声(きょうせい)を出すようになった。


それからはほぼ毎日サテラの部屋へ行き行為を楽しんでいた。

勿論今日も楽しんでいた、サテラの嬌声を前に楽しんでいると突然カレンが押し入り、飛び跳ねたサテラはあうあうと口篭る。サテラを無視して俺に飛び掛ったカレンは馬乗りになって勢いでカレンの長髪が乱れ、数本の髪を咥えて俺を見下ろす。その様は普段なら(なまめ)かしいが今だけは恐ろしい・・・


――

―――


「それで? この状況を説明してもらえるかしら?」


カレンの有無を言わせぬ声に流石にシドもうろたえる。サテラは後ろであうあうしか口にしていない。


「待て待て、誤解だ! 誤解させるような事をしてたが違うぞ!」


サテラからこの状況の説明は無理と判断したシドは慌てて答えるが、自分で言ってて浮気現場を目撃された男にしか思えない。


「あら、なにが誤解なのかしら? 私は人間ほど器量が狭くないから側室の10人20人構わないけど本妻の私に黙ってとなると流石に・・・切れそうだわ」


カレンの始めてみせる怒りの形相に抑える気のない爆発的な威圧感にシドは余計に焦る、サテラは尻餅をついて床を小水で濡らしていた。


「側室などいらん! 俺はカレン一筋だ!! サテラとは――その、うさ耳を手入れさせてもらってたんだ・・・」


どんな言い訳が来るのかと思ったら予想外の台詞にカレンは銀の瞳をパチクリさせ黙ってしまう。


「そっ、、そうなんですっ! 耳を手入れしてもらってただけなんですっ!」


サテラの言葉もあって(ようや)く落ち着いたカレンはシドから退いてシドに説明を求める、居住まいを正そうとしたシドに「正座」と呟きいそいそと正座しながら口を開く


「その・・・実はだな、前々からサテラのうさ耳のブラッシングに興味が沸いててな、ほら俺リリーのブラッシング趣味みたいなものだろ? それでサテラの立派な耳に惹かれて前から(たま)にさせて貰ってたんだ」


カレンは怒りの余り気づかなかったがシドの手にはブラシが握られていた、横にはブラッシングセットまである。


「・・・はぁ、それでなんで私に黙ってたの?」


完全に冷静さを取り戻し、馬鹿馬鹿しくなって尋ねる


「その、リリーは兎も角サテラは女だろう? さすがにこういうのは言いにくくてな、、」


「―――リリーと違って耳だけでしょ? それって楽しいの?」


「病み付きになるくらいには・・・」


夫のそんな趣味を聞かされてどうリアクションすればいいのか解らない。まだ浮気のほうが理解できる。


「そ、それにシド様凄くお上手なんですよ! マッサージも兼ねてて気持ちよくて綺麗に手入れしてもらってオイルで艶々(つやつや)なんですっ!」


サテラの言にそうえば最近サテラの垂れた黒耳がやけに艶々してると思ったらこれが原因だったのかと肩を落とす。


「まったく、次からは堂々とやりなさい」


「わかった、誤解させてすまないな」


変わった趣味だと思うが夫のことなのだから慣れる努力をしようと嫁魂を燃やすカレンだが、それでも勘違いさせたこの苛立ちは(くすぶ)ってるので部屋を出る間際にシドに罰を告げるのを忘れない。


「そうそう、そんなに上手で獣耳の手入れが好きなら今度獣耳の神を呼ぶから好きなだけ手入れしなさい、罰も兼ねてるから忘れないようにね」


「はい・・・」



遠くない未来、獣耳のある神の間でブラッシング兼マッサージの上手な超越者(ちょうえつしゃ)として人気になる。



夫婦になって20年頃


屋敷にシドが居付いてから初めての来客が尋ねてきた。


昼食を済ませた3人はサテラは書斎に、カレンとシドは自室で寛いでいた所、突然カレンの様子が一変し魔法を行使させると驚きの一言を発する


「友が尋ねてくるわ」


「友?! 尋ねて?!」


珍しくシドの素っ頓狂な声を聞きカレンはくつくつと笑いながらシドに表で待つように言い、サテラに接客の用意を伝えに部屋を出て行く。


(友って昔カレンが言ってた超越者の2者のことか? 他に友なんて聞いたことないからそうだろうな、カレンの友なら敵じゃない事は確かだが俺はどういう立ち居地になるんだ――?)


自身も超越者になった事で敵対等しなければいいのだが、人は勿論のこと神すら同属で争うというのだからよく判らない超越者は尚更だ。

シドが一喜一憂しながらも屋敷の外で待つとカレンが出てくる。


「到着のようね」


その言葉で警戒すると前方に転移魔法が広がり男が姿を現す、カレンと同じ銀髪銀眼で荒々しいウルフヘアーが特徴の眉目秀麗な20歳前後ぐらいの青年だがカレンと同じく威圧感等無く一見では人間と区別がつかない。


「久しいなっ! カレンよ!」


男はシドより20cm程背が低く、威圧感も感じさせないのに見てるだけで星のような力強さを感じさせる男だった。


「久方ぶりねグシャ、相変わらず元気そうね」


「当然だろう、我だぞ?」


久しぶりの友との再会の筈なのにカレンは普段と何一つ変わらず接する。


「ふふっ目的は察してるけど先ずは夫を紹介するわ。シドよ」


「カレンの友と聞いてる。始めまして、夫のシドだ」


シドは前に出て男に手を向ける


「うむ! 我はグシャだ、宜しく頼むぞ!」


男、グシャはシドの手を力強く握り締める


「まずは中でお茶でも飲みましょう」


グシャをフロアに案内し席に着くと、サテラが紅茶を3人分入れ、紅茶で口を潤してから超越者の会合が始まった。


「本当に久しいな。何年ぶりだ? 120、、いや140億年振りか?」


「152億年ぶりよ、相変わらず大雑把ね」


「はあっはっはっはっ! そんな細かい事はどうでもいい。それより貴様、本当に(つがい)になったのだな。正直狂ったのかと勘ぐったぞ」


「失礼ね」


自分より遥かに年上だとは思ってたがカレンとグシャの会話の規模に改めて超越者とやらに絶句してしまう。

サテラも部屋の(すみ)で固まってしまう。


「くぁっはっはっ、そう拗ねるな。それで、シドといったか? 貴様も超越者なのだろう? 詳しく聞かせろ」


余り面白い話でもないぞ? と前置きし生まれの地フルーラから此処までの昔語をする。


「―――――っく、っくっくっ、くはっ! 貴様愉快すぎるぞっ! 奴隷から逸脱者、半神半人、魔神ときて超越者に成ったかっ! てっきりどこぞの逸れ神かと思ったが元人間とはなっ、それで妹分のカレンを100年掛けて口説いたか!! 良い、良いぞ。貴様を超越者とこの我が認め三千世界(さんぜんせかい)(とどろ)かせようぞ!!」


隣でカレンが「誰が妹よ、あんたこそ手の焼ける弟みたいなもんでしょ」と愚痴るがシドはそれ所ではないグシャの不穏な発言に身の危険を感じて慌てて止めに入る。


「認めてもらえたのは在り難いが、余り名を知られて余計な火種を抱えたくないのだが・・」


「それは諦めろ! 超越者に火種は付き物だ、まぁ神は我が創造した子らだから我の認めた貴様に手を出す阿呆はおらん」


止めるつもりがグシャの勢いに完全に押されてしまい、更に聞き捨てならない言葉が飛んできた。


「神を創造? グシャが神々を創ったのか?!」


「そうだ、愚者(ぐしゃ)が世界を管理する神を創るとはカレンのセンスも素晴らしいもんだ。そうだカレン、シドの役目も決めたらどうだ?」


「あら、それなら決まってるじゃない? 私の自慢の夫なのよ。役目は【守護者(しゅごしゃ)】に決まってるじゃない? 私だけのね」


重大な事柄をさらっと口にするグシャに、成程・・・確かに超越してるな、色々と・・・と突っ込む事を諦め、カレンの守護者とやらに悪い気など興る筈も無く、以前カレンにも尋ねた事をグシャにも聞く事にした


「役目? そうだ、グシャに尋ねたいことがあってな。カレンに聞いても要領を得なくてな、超越者について教えてくれないか?」


以前カレンに尋ねた時は判らないの一言で話が終わってしまった内容だ。


「ん? 妙な事を気にするのだな、まぁ我も詳しくは判らんがこの宇宙、三千世界といったほうがいいか? 無数にある世界と神とそれ以外を創ったのが我等だ。我の役目は【創造者(そうぞうしゃ)】だからあらゆる星々と神々を創造する。もう1者は【調停者(ちょうていしゃ)】だから神以外の生物や物を創造して管理する。カレンは怠け者だから【傍観者(ぼうかんしゃ)】そして貴様は【守護者】だが・・・ふむ貴様はカレンと違って役目を大いに全うするようだな、まぁ詳しい事は何れ逢うかもしれんもう1者に聞くがいい」


シドを鋭い目つきで観察するグシャがなにを見て取ったのか1者納得している


「ふむ、、いや凄まじい内容だが大分理解できた、感謝するぞ」


ここにきて更に驚く内容だらけだがさっきまでの会話で超越者とはこういうものだと察し始めたシドはなんとか冷静に返事を返せた。

尚、隅にいるサテラが口をパクパクさせてるがこういうものだと諦めてもらう、なにせ自身もその超越者なのだから


「ところで貴様は半神半人で風の魔法を幾つか司る魔神でもあるのだろう? 超越者も合わせて3つも名があると不便だろう? 半神半人と魔神を兼ねて神の一柱を授けてやろうではないか――――そうだな、時空神(じくうしん)だ。決まりだ。貴様は超越者で時空神の一柱シドだ」


「待て待てっ! いきなり神といわれても俺は神の役目など知らんし興味ないぞ!」


突っ込みを諦めたシドだったが流石に神まで成ったら溜まったものではないと、今度こそ力強く否定する、が・・・


「くははっ!! なに心配するな、時空を司る神として崇められて力が増すだけだ。貴様は気にせずここでカレンと宜しくやってればいい、それに神の位があればこの先なにかと便利だしな、、、時にそこの玉兎(ぎょくと)の娘!」


「っは、っはい!」


目の前で繰り広げられる途方も無い会話の主から突然自分が呼ばれ慌てて返事をするサテラ


「紅茶旨かったぞ。貴様珍しい属性を持っているな、()れをくれてやるからさっさと魔神にでもなってカレンとシドを支えてやれ」


「っわ、っとっと、あ、有難う御座います!」


グシャが身に着けていた指輪を1つ外しサテラに無造作に放り投げて渡す


「うむ。それでは我は帰るとするか! ・・・カレン」


「なに?」


「貴様もその内創造を担う神の位を取れ、――――番となったんだ、(いず)れ必要だろう?」


「・・・余計なお世話よ。今はまだこの時を楽しむわ―――何れね」


2者の会話に一瞬疑問符を浮かべるが直ぐに内容を理解しシドの顔が赤くなる。そんなシドを見て2者は笑みを零し、この2者には色々な意味で敵わんと乾いた笑いが出てしまう。


「うむ、楽しみにしてるぞ! ではな」


こうして初めての来客にして超越者の会合は終わった。

新たな神の誕生と、何れ誕生する神を告げて。

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