序章
序章
「「キィー、キィー」」
私は奇妙な音と共に目を覚ました。
ニ段ベッドの上からそっと覗くと、何やらトンガリ帽子のようなものをかぶった人影が数人いた。
時間は真夜中。少しの月明かりだけが部屋を照らしている。辺りはうっすらと見えるはずなのだが、人影は全身真っ黒。そして、今も鳴っている奇妙な音はこの人影が話しているように聞こえる。怖くなり頭から布団をかぶって、目をぎゅっと閉じて耳も塞いだ。
いつの間にやら、また眠っていたようで次に目を覚ました時には朝だった。
(昨夜のことはただの怖い夢。忘れよう。)
そう思い、いつものように下のベッドにいる兄さんを起こそうとしたのだが、すでに起きていたようでそこにはいなかった。
ニ階から降り、リビングに行くと両親がいつものように支度をしていた。しかし、そこに兄さんの姿は見当たらなかった。両親に起きてきているか尋ねてみると『まだだ。』と言う。
そして、どこを探しても兄さんはいなかった。
それ以来、兄さんは行方不明のままだ。
これが去年、私“水瀬さな ”が11才の出来事。
はじめまして。
つたない文章ではありますが読んでいただけたら幸いです。
コメントなどもいただけたら嬉しいなって。