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十二幕 誘惑ルージュ

 まずは明日の準備だ、門衛さんの話だと入国許可証を発行してもらわなければいけないけど、再発行してくれる騎士団詰所って要は警察署だろう? 根掘り葉掘り聞かれると思うけど、俺は出自の証明をする根拠がないし実際は盗まれてもいないわけだから、ややこしい事この上ない。


 密入国者みたいな扱いになったらまずいしな…。

 ここは考えてた通り公文書偽造のセンで行こう!


 便利な事に検索ワードで≪入国許可証≫を検索すると[騎士団長署名捺印付き]があったので生成する。

「何でもあるな!ホントに!」


 まったくもってご都合のいいスキルに甘えてここはこれをもって押し通す事にする。

 ギルドカードもあったけど、これはギルドの説明とかも少し聞きたいし、許可証があれば再発行は問題ないと思うので、新しく作って貰おう。これで余計な詮索を受けることもないかな?しかし、緊急逃走用の手段は考えておくか。



[姿くらましの外套]

 効果:身につけた者の姿を見えなくする。



[転移魔方陣]

 効果:対になる魔方陣と位置を結び、片方から片方へ空間を繋げ、移動できるようにする。

 片方の魔方陣が破壊されると、反対も崩壊する。

 使用方法:魔方陣に魔力を流すとゲートが発生する。

 一定時間、通過していないとゲートは閉じる。



[身代わりの指輪]

 効果:装備した者が致命的な攻撃を受けた際、身代わりに砕け散る。



 指輪は5個ほど作っておいた。

 念の為[麻痺玉]や、薬も追加しておく。



[転移魔方陣]は魔力を通すと一定時間空間に黒い穴が出来てもう一つ側の穴と交通する仕組みだった。

 試しに片方をアイテムボックスにしまってみると穴が出なかった。

 一対はこの部屋とつなげて置く。

 宿の人が掃除に入るかな?まあ見られても何かはわからないだろうし、起動もしないからいいか。

 他にも何対か作って、明日どこかいい場所を探してみよう。

 それともう一つ、身代わりの指輪を検索していた時におもしろそうな物を見つけていた。



[時戻りの結界水晶]

 レベル:1

 対象:使用した生物

 効果:対象のみに結界を張り時間を巻き戻す。効果時間分遡った時にいた場所に戻る。対象に起きた出来事、記憶は失われる。

 効果時間:7秒

 使用方法:砕いた水晶の破片を対象に振りかけ魔力を通す。



 これは凄い役に立ちそう。

 これは凄い役に立ちそう。ホントに。

 しかも効果時間も変更できた。上限は999秒まで。



 レベルの表記がある物は初めて見た。他にもあったのかもしれないな。詳細を開かないと検索画面ではわからないから。


 レベルの変更はできなかった。


 効果時間上限でも上がるのかな。でももう既に約15分間遡れるとしたら十分な気がするけど…。

 いずれにしても要実験だなあ、明日町の外で試してみようか。


 また、これも身代わりにいいかもしれない。

 サファイアを売る際にはおそらく効果を見せる必要がある。できれば実際に魔法をかけてみせるのがいいと思う。


[ゴーレム生成魔方陣]

 効果:魔力を通すと、ゴーレムが生成される。



「あとは仕掛ける攻撃魔法だけど、魔力は何となく操作できるけど魔法はよくわからんのよな」


 奥義書でスキルを習得するより、魔力を流すだけで魔法が使える杖かなんかないかな?



 検索≪魔法 杖≫



 めちゃめちゃ強そうな名前でキンキラな杖が並ぶ。

「これ、最強魔法とか使えちゃう奴だろ、そんなヤバイのはいらん。」


 初級も初級の杖でいい。……どんどんスクロ-ルしていくと大分下の方にあった。

「並べ替えとか、フィルタとかかけられたら便利なのになあ…。」


 ぼやきながら生成を進める。



[ウォーターロッド]

 攻撃力:15

 付加:水魔法Lv1自動発動

 効果:魔力を流すと〔ウォーターボール〕が発動し術者正面方向に飛んでいく。



 これでいけるかな…。


 明日の準備を終え人心地ついていると、ノックの音がした。

 扉を開けると酒瓶と杯二つを持ったルーゼが、大分酔っているようで目が座っている。


 着替えたのかさっきと服装が違い、半分下着のような露出の高い服装だ。

 口元には目を引くような真っ赤なルージュ。

「アタシをおいて部屋に戻るなんて、つれないじゃないさ。」


 いたずらっぽく笑うと部屋に入ってきた。

「いやあ、ウィルソンには言ったけど明日約束があってさ。あんまり呑んでいられなかったから」


 俺の精一杯の抵抗を無視してベッドに腰掛けて、酒を注ぎ始めている。

「ちょ〜っとぐらい、いいでしょ?」


 と言って杯を差し出す。仕方なく受け取って乾杯した。

「ははは…、酒好きだねえ、じゃあ一杯だけ。」


 こういう時の一杯だけ、が一杯だけにならない事は経験からわかっていた。

 うーん、どうしたものか…。正直なとこルーゼはかなり美人だ。それもグラマーなタイプだ。嫌いじゃないです。


 しかし、まだこの世界に来たばかりで色恋ざたは正直面倒くさい。若い子なら有無もなくガッツいてるんだろうけど…。こう見えてもうアラフォーなんです。色々慎重なんです。


 …というわけで、ルーゼ嬢のお誘いは華麗にスルーしますよ。


「皆はどうしたの?」


「まだ下で馬鹿騒ぎしてるよ。金が入った時は大抵こんなさ。このあと野郎どもは色街に繰り出すのさ。レンジさんは行かないのかい?」


「はは…。そういうのは、ちょっとね。」


「へえ、商売女は御免ってわけ?」


「まあ、そんなところかな…。」


 誤魔化しつつ、アイテムボックスから打開アイテムを探す。



[睡眠玉]

 対象:使用された者

 効果:対象にぶつける事で相手を一定時間睡眠させる



[麻痺玉]を作った時ボツにしたアイテムだ。

 悪いけど眠ってもらおう、安らかに。一度眠ればこの泥酔ぶりだ。朝まで寝るだろ。



「ね、レンジさん、アタシみたいな女は嫌いかい?そりゃいいとこの娘っこに比べりゃ、ガサツもいいとこだけどさ。」


 と、艶めかしい上目遣いで擦り寄ってくる。

 おっと!と驚いたフリをして杯を取り落とす。


 我ながら下手くそな演技だったが「大丈夫?」と心配してくれているので笑ってごまかす。

「何か拭く物を…。」と言ってさりげなく死角へ回り込む。


 気付かれないように睡眠玉を取り出し、背中にぶつける。少し様子を見ていると杯を落として眠ってしまった。

「悪いね、君はとても魅力的だけど。」


 そっと杯を拾い上げると、そう言い残して部屋を出て下に降りていく。


 人恋しかったのは事実だがここまでの付き合いは求めていない。

 正直言ってこの流れに乗っていくと、寂しさから、好きでもない相手にのめり込んでしまう気がした。


 それは経験した中で所謂『うまくいかなかったケース』の代表格だ。精神やコミュニケーションが未熟な時分は心の交流がないまま状況が関係を推進してしまう事があった。


 こんな異世界にやってきてまでそんな事を繰り返す気はサラサラない。

 危ないトコロだったけど!


 食堂に出ると先程の席に皆いた。少し眠そうにしているアリシアを見つけた。

「アリシア、お姉さんと呑んでいたら眠ってしまったんだけど、部屋に戻すのを手伝ってくれない?」


 苦笑いでそう話しかけると、ため息まじりについてきた。

「まったく、お姉ちゃんたら、レンジさんの部屋でなにやってるのかしら!」


 俺の部屋で豪快に眠るルーゼを見て、呆れたようにうなだれる。

「疲れていたんだろう急に眠ってしまってね。運ぶよ。部屋はどこかな?」


 アリシアの案内の元、ルーゼを部屋に運んで、アリシアと別れ自分の部屋に戻った。




「はあ、ちょっと疲れた…、風呂に入ってから寝よう。」


 マギー達と会ってから今まで入ってなかったからちょっと気持ち悪い。

 明日は色んな人と会うから清潔にしておきたい。


 バスタブは森の中でも使っていたが、溢れたり流したりする心配をしなくてよかったが、ここで入るなら排水をどうするか、考えなくてはならない。


 濡らしたら悪いから、溢れるどころか、飛び散るレベルで防がないと。

 何か良い物はないか…。

 水を吸収する、何か…。


 《水 吸収》でとりあえず検索してみる。


 水魔法を吸収する盾、結界、そういった類が並ぶ。

「うーん、どれも合わないなあ。ん?これは?」



[水飲み石]

 効果:一定量の水を吸い込む。水以外は飲み込まない。



 これはいけそう…。

 生成すると拳ぐらいの普通の石が現れた。試しにバスタブの中に置いて、水袋(お湯バージョン)の湯をかけてみた。


 確かに吸い込んでいる。やがて吸い込まなくなったが、このバスタブ分くらいは吸い込みそうだ。

「でも、これじゃあ範囲が狭くて床が水浸しになっちゃうな。」


 うーん難しい。敷物ぐらいの大きさがあるといいけど、それはなかった。


 ちょうどいい物が見当たらなかったので、普通の敷物を敷いて仕方なくなるべく溢れないように少ないお湯で洗って、最後に水飲み石で吸った。髪の毛につけてもタオル代わりに効果を発揮した。


 どんどん乾いていく。

 少し飛び散ったお湯は上がってから掃除した。


 大変だな…。

 まあ清潔にはなったからいいか。


 言いながらベッドに沈んでいった。


 大分疲れていたのか、すぐに意識は遠のいた。

次回、少し時間あきます

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