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異世界のヤツらに情報を制するものが世界を制するって教えてやんよ!  作者: 新開コウ
最終章 魔王と勇者

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第9話 涜神

 母ちゃんと婆ちゃんにガエルを預けた後、ゴードン村の様子を見ながらカール達のいる鍛冶屋まで歩く。


 村人のほとんどは広場に集まり、いくつかのグループに分かれて瞑想めいそうを行っていた。


 輪になって地面に座っている彼らの中心には1人の指導役がいて、父ちゃんや兄ちゃん達も担当をしてくれている。

 母ちゃんと婆ちゃんもさっきまでは同じようにやってくれていた。


 うんうん。さすがゴードン村の皆。順調に魔力を増やしてくれている。

 ボズの襲撃以降、この村の皆は父ちゃんを通してのアカシャの情報で大きな恩恵を受けてきた。

 他とは信用が違う。


 スルト統一以降、セントル大陸全土がアカシャの情報による恩恵で急激な発展を遂げてきたけれど、それはあくまで全体で見ればの話で。

 個々人ではスルト王家や報道局を信じていない者なんていくらでもいる。


 報道で大多数の国民は味方に付けられているようだけど、現状の試算では、まだ足りない。


 協力的でない者の情報はアカシャが出せるから、ネリーを中心とした仲間達が各地を巡って説得に当たっている。

 ()()()()()必ず本人の同意がいる。

 無理やり連れてきても何の意味もない。


 余さず全員を味方に付ける必要こそないものの、多ければ多いほど良いことは間違いない。

 残り時間で、できる限り多くの協力者を集め、できる限り鍛える。

 それが、対魔王で最も勝率が高い方法だ。



「カール! 約束通り来たぞー!」


「セイか。今行くぜー」



 鍛冶屋に入って声をかけると、奥からカールの声が聞こえた。


 カウンターに誰もいないけど、いいのか?


 …いや、オレのせいか。

 カールとカールの父ちゃんのこの鍛冶屋は、ほとんどオレ専属の実験工房みたいになってるからなぁ。

 充分な報酬は払っているつもりだけど、一般のお客さん向けの商売に関しては思いっきり邪魔しちまってるよな。


 とはいえ、オレとカールの仲だ。

 嫌なら言ってくれてるさ。きっと。



「見ろ、セイ! これがついさっき仕上がった、魔封大剣まふうたいけん。名は『涜神とくしん』。神に愛された者をとす剣だ。狙った付与効果が付いていれば、だけどな!」



 カールが抱えて来たのは、全長2メートル30センチの鈍く光る黒の大剣。

 狙った性能ならば、史上初めての武器付与効果『スキル無効化』を持つ秘密兵器。


 現状魔王を倒す手段は存在しないが、ないなら創るしかない。そういう発想の元にずっと研究と試行錯誤を続けてきた集大成だ。


 今日は半日使ってコレの性能試験をするのだ。

 カールと相談しながら。



 カールと色々話しながら、剣の効果や振った感触を確かめていく。


 オレが片手であっさりとこの剣を持ち上げたり振ったりするのを見て、カールは最初こそはしゃいでいたものの、だんだんと顔色が悪くなっていった。


 アカシャがこの剣に触っても、全く変わらないように見えたからだ。

 オレが刀身に触れても、同様だった。


 でも、それはカールから見て、の話だ。



「おい、アカシャ。これってもしかして…」


「ええ。さすがカールの魂の一振りです。0.001秒だけですが、わたくしの能力が封じられました。成功しております」



 オレの目には、ほんの一瞬ではあるがアカシャが点滅して見えた。

 アカシャに確認してみると、やはり一瞬ではあるが能力が封じられていたらしい。



「0.001秒…? くそっ!! すまねぇ、セイ。オレの力が足りないばっかりに…。お前の力に、なってやりたかったのに…」



 カールが結果に悔しがって、店のカウンターに拳をぶつける。


 オレとアカシャの会話を聞いて、0.001秒では足りないと思ったのだろう。


 違う。違うよカール。0.001秒だけでも、凄いことなんだ、これは。



「カール。十分じゅうぶんだ。十分だよ。ありがとう。これは歴史的偉業だ。もしかしたら、これ以前と以後で分けて語られるかもしれないくらい、凄いことだよ」


「えっ?」



 オレが感動に打ち震えながら話すと、カールは意外そうな顔でこちらを見つめてくる。


 だってこれは、才能が絶対だったこの世界に一石を投じる発明だ。


 正直、5年程度で作れるものじゃないって思ってた。


 いくらアカシャが試されたことのある組み合わせを全て除外できたとしても、分量を含めれば過去に試されていない組み合わせなんて、生きている内には試しきれないほどあったのに。



「カール。君は、天才だ⋯。たぶん、これまでオレが出会った誰よりも⋯」


「えっ?」



 カールは状況を把握できていないようだ。


 問題は、涜神(これ)をどう使うかだ。



「カール。オレはね、"雷纏かみなりまとい"を使った時、秒速200キロメートルで動けるんだ。つまり、0.001秒あれば200メートル動けるんだよ」


「はっ?」



 もっと、様々なパターンの性能試験をする必要がある。


 この剣は、ゲームチェンジャーとなる可能性を秘めているのだから。






お読みいただきありがとうございます。


いつも様々な形での応援ありがとうございます。

いつも力をいただいております。


収益化の新機能面白そうですね。趣味がお小遣いになるなら嬉しいですが、どんなものなのでしょう。


次回更新は10/24(金)予定です。

よろしくお願いいたします。


※本日10/24(金)に予定しておりました更新ですが、延期させていただきます。

申し訳ございません。

改めての次回更新は10/28(火)予定です。

よろしくお願いいたします。

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